2014年10月31日

「そこまでするか?」と上司に言わせる快感【ミステイク・オン・パーパス】

● 今回のテクニック:【ミステイク・オン・パーパス(9)】

ミステイク・オン・パーパスとは、わざと事実と異なることを言って相手に修
正させ、リーディングする技術。

相手に確認したくても確認しづらい場合などに使うと効果的である。

たとえば、相手に依頼したことでまだ着手さえもされていないとわかっている
場合に、「どうもありがとう、けっこうはやく終わったみたいだね」とわざと
言ってみる。

すると相手は「あ、まだやっていませんが」と素直に答えるだろう。「依頼し
たことをやったのか、どうなのか」と質問するよりも「カド」は立たない。

押しの弱いマネージャにお勧めしたいテクニック。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「11月から私が新しく君の上司となる。よろしく頼むよ」


部下 :
「支店長、よろしくお願いします」


マネジャー :
「私は何事に対しても先入観を持たないようにしている。人にレッテルを張
るのはよくない」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「他人の噂話など、気にしない。自分の目で確認しなければ、わからないこ
とが多々ある」


部下 :
「私もそう思います」


マネジャー :
「前の支店長が言うには、君はなかなかお客様のところへ行かないそうじゃ
ないか。本当にそうなのだろうかと思い、朝からずっと君のことを見てきた
が、出社してからパソコンの画面ばかり見ている。もう11時半だ。いつに
なったらお客先へ出かけるんだ」


部下 :
「13時にアポイントがありますので、その時間に間に合うよう、事務所を
出ます」


マネジャー :
「それで午前中は事務所の中なのか?」


部下 :
「そうですね」


マネジャー :
「前の支店長の言っていたとおりだな。どうも君はお客先へ行きたがらない
性格のようだ。いいか、私が支店長になった以上、行きやすい先ばかりには
行かせないぞ。覚悟しておくんだな」


部下 :
「かしこまりました」


マネジャー :
「返事だけはいいな。最初のうちは厳しく、君も苦労するかもしれないが、
大丈夫だ。半年ぐらいすれば私のやり方にも慣れてくるから」


部下 :
「ところで、決済していただきたいことがあるのですが、新しい支店長にい
えばいいのでしょうか?」


マネジャー :
「おう。私でかまわん。なんだ?」


部下 :
「午前中に、4種類の案件申請書を作りました。目を通していただき、問題
なければ部長に承認申請をお送りします」


マネジャー :
「案件申請書? 確か1000万円を超えなければ案件申請なんてしなくて
いいはずだが……。この支店には別の基準があるのか?」


部下 :
「いえ。同じです。1400万円の案件、1250万円の案件、3070万
円の案件、4700万円の案件の4つです」


マネジャー :
「え? え? え? え? 何それ?」


部下 :
「A社に1400万円の見積りを提示しています。B社には1250万円、
C社には3070万円の案件、D社には4700万円の案件の見積りを出し
ています」


マネジャー :
「な、な……何だって? 見積りを出すのは勝手だが、そんな大規模案件の
見積りをジャンジャン出してしまっていいのか?」


部下 :
「すべて受注できる見通しです」


マネジャー :
「ええっ!? ……確かこの支店の営業の目標は全員2億円だろう? そん
な案件がボンボン決まったら、すぐに達成していまうだろうが」


部下 :
「そうかもしれません。昨年度も目標2億のところ、8億2000万円の実
績でしたから」


マネジャー :
「……え」


部下 :
「明日までに、後2つ案件申請書を作りますので、そちらも目を通していた
だけませんか。2100万円の案件と、4900万円の案件です」


マネジャー :
「き、君のように、お客先に全然行かず、どうしてそんな大規模な仕事がと
れるんだ?」


部下 :
「私は1日に8件の既存顧客の訪問、100件の既存顧客の電話フォローを
しています。新規顧客へは1日22件の訪問です」


マネジャー :
「え……。だって、今日は朝からずっと事務所にいたじゃないか」


部下 :
「この3日間、ほとんど夜中まで客先で作業をしていました。今日も朝の2
時までD社にいました。その後、サウナへ行って仮眠し、そのあと出社した
のです。前の支店長から、案件申請書がたまっているから出しておけと言わ
れたので、先ほどまで資料作りをしておりました」


マネジャー :
「夜中まで客先にいる? しかも毎日?」


部下 :
「私のお客様の工場はだいたい24時間稼働しています。私は日中のほとん
どを営業活動に費やしていますので、お客様にワガママを言って、夜中に現
場の工場を拝見させていただいています」


マネジャー :
「……」


部下 :
「支店長のおっしゃるとおり、やはり現場にいるといろいろな案が浮かんで
きます。工場長などと夜中じゅうに話し込み、どんな提案なら仕事をいただ
けるか一緒に考えてもらっています」


マネジャー :
「家には帰っていないのか?」


部下 :
「1週間に2度ぐらいは帰ります。サウナで仮眠するのに慣れてるから大丈
夫ですよ。それにまだ24歳ですし。30歳までは修行です」


部下 :
「24歳? 24には見えないな……」


マネジャー :
「ああ……。髪をちょっと染めてるんです。少し白髪が混じったほうが、老
けて見えるでしょう? 24歳の若造だと思われると、お客様になめられる
ので」


マネジャー :
「ど、どうしてそこまでするんだ?」


部下 :
「どうしてそこまで……? じゃあ、お聞きしますが、どうしてそこまでし
ないんですか?」


マネジャー :
「え」


部下 :
「今回の支店長も、私と現場まで足を運んでくださるんですよね。ありがと
うございます。以前の支店長からそのようにお聞きしております」


マネジャー :
「え、私が?」


部下 :
「違うんですか?」


マネジャー :
「ええと……」


部下 :
「自分の目で確認しなければ、わからないことが多々ある、と先ほどもおっ
しゃられていました。夜遅くまでお付き合いいただくこともあるでしょうが、
どうぞよろしくお願いいたします」


マネジャー :
「あ、ああ……。ところで、全然お客先に出向かない営業がいると、聞いて
いたが……」


部下 :
「おそらく、それは、私のことではない、と想像しますが」



……圧倒的な結果を出し、

上司から「そこまでするか?」「そこまでやらなくてもいいよ」「どうしたら
そこまでできるんだ」と言われる快感を、

多くの人に味わってほしいと思います。

上司からのそれらの言葉が、「報酬系」と呼ばれる脳の神経系を刺激し、さら
に意欲的になるからです。

(もちろん、体力的に無理なことをする必要はありません)


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 【66点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

今週は、福岡、岡山、仙台……と大規模講演が続いています。

それぞれ「225名」「153名」「69名」の出席者があり、私が名刺交換
した方の総数は、244名(114+102+30)でした。

東京、名古屋、大阪、以外でも、かなりの方が足を運んでくださいます。

本当に嬉しいですね。

大勢の方々のエネルギーをもらい、私の脳の「報酬系」が刺激され、ますます
意欲がアップします。

(阪神タイガーズは残念ながら負けてしまいましたが……)

2014年10月27日

「融通」の利かない人の問題点【ディレイテクニック】

● 今回のテクニック:【ディレイテクニック(10)】

ディレイテクニックとは、怒りを感じたとき、感情に任せて言葉を発しないよ
う、心のなかで別の事柄を思い浮かべて落ち着きを取り戻す方法。

イエスバット法を心掛けようと思っても、自分の感情をコントロールできない
と相手の言葉を「受け止め」にくい。

このためディレイテクニックなどを使って、自分自身を落ち着かせてから反論
する


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「本部長から、やはり来週の会議に出てほしいとのことだ。予定をしておい
てくれ」


部下 :
「え?」


マネジャー :
「ほら、来週の会議だよ」


部下 :
「何を言ってるんですか。本部長自身が出なくていいと私に言ってきたんで
す」


マネジャー :
「そうだけど……。お前に出てほしいんだろ」


部下 :
「出ませんよ」


マネジャー :
「え?」


部下 :
「新しい事業のために、食品業界に絞り込んで新規開拓をしてくれと本部長
は言いました。だから私は昨年の10月から6ヶ月間、毎月60社を定期的
に訪問活動してきました」


マネジャー :
「そう、そうだ。何度も聞いたよ」


部下 :
「ところが、なかなか結果が出ないとわかると、いつまで食品業界にこだわ
ってるんだ、他の業界にも目を向けろと本部長は言ってきました。ですから
今年の4月から他の5業界にも目を向けて、毎月90社、訪問活動を続けて
きました」


マネジャー :
「そう、そうだな」


部下 :
「ところが、なかなか結果が出ないとわかると、本部長は既存顧客をまわっ
ていない私に雷を落としたんです。それが先月末の会議です」


マネジャー :
「そうだ」


部下 :
「お前なんて2度と営業本部の会議に顔を出すな、部長や課長が全員いる中
で言われたんですよ。絶対に、その会議には行きません」


マネジャー :
「君の気持ちはわからないでもないが、わかるだろう。本部長はああいう性
格なんだから」


部下 :
「冗談じゃありませんよ。本部長は言ってることがコロコロ変わるので、私
は言いつけられたこと、すべて文書にして本部長に渡しています」


マネジャー :
「確かに、その……」


部下 :
「本部長と話をしていても会話が噛み合わないんですよ。昔自分が言ったこ
とを忘れて、いま自分が関心あることしか話さないじゃないですか」


(怒)マネジャー :(心の中で)
 カーッと怒りが湧き上がってくるのを抑えようとする。
(クライマックスシリーズ広島戦の阪神先発はメッセンジャー、それに能見
……)


マネジャー :
「そこまで言う必要はないだろう。既存顧客のフォローを一切していなかっ
たという事実は、本部長でなくとも、私だって驚いたよ」


部下 :
「何を言ってるんですか。新規開拓に注力するなら、既存顧客の対応がおろ
そかになるのは当たり前ですし、そのことも本部長に伝えてますよ」


(怒)マネジャー :(心の中で)
 カーッと怒りが湧き上がってくるのを抑えようとする。
(CSファイナルステージの阪神の先発は、藤波、岩田、メッセンジャー、
能見……)


マネジャー :
「君の仕事は目標予算の達成だ。目標がなかなか達成しないから、新事業で
新しい顧客を掴めと本部長が言ったんだ」


部下 :
「ですから、言われたとおりに新事業を一所懸命やってきたじゃないですか。
それは課長だってわかってるはずです」


マネジャー :
「わかってるよ」


部下 :
「新事業のための顧客開拓だけに専念していいんですね、と聞いたら、本部
長はそれでいいと言いましたよ」


(怒)マネジャー :(心の中で)
 カーッと怒りが湧き上がってくるのを抑えようとする。
(ソフトバンクとの日本シリーズの阪神先発は、メッセンジャー、能見…
…)


マネジャー :
「じょ、冗談じゃない。たとえ本部長がそう言ったからといって、君の既存
顧客は45社もあるんだ。そのケアを怠っていいだなんて、あり得ないだろ
う」


部下 :
「本部長に確認してもらいたいですが、本部長と話をしていても、いつも会
話が歪んできます。本部長の頭も歪んでいるんです。ですからもう話もした
くありません」


マネジャー :
「会話が歪んでいるのは君のほうだ」


部下 :
「ええっ!?」


マネジャー :
「思考が歪んでいるのも君のほうだ」


部下 :
「どうしてですか」


マネジャー :
「君は融通が利かなさすぎる。そして表面的な言葉しか捉えていない。本来
の目的を見失っているから、相手の言うことがコロコロ変わっているように
見えるんだ」


部下 :
「……ちょっと待ってくださいよ」


マネジャー :
「本部長の発言は確かにコロコロ変わる。しかしそれは枝葉だ。風が吹けば
枝葉が揺れるのは当然だ。しかし幹はまったくぶれていない」


部下 :
「……」


マネジャー :
「もっと順応性を高めてくれないと困る。お客様に対する対応も、常に杓子
定規だ」


部下 :
「本部長が揺れるたびに、私も揺れたらいいんですか」


マネジャー :
「揺れるのは枝葉だけだ。違うか」


部下 :
「そう、ですね」


マネジャー :
「枝葉までガチガチに固まっていたら強い風をまともに受けて、根こそぎ倒
れてしまうぞ」



……融通が利かない人は、表面的な言葉のみをとらえ、柔軟性をなくしてしま
う可能性があります。

その言葉の奥にどんな意味があるのか、先を見通す力が失われていくのです。

方針転換を繰り返すマネジャーも問題ですが、それを杓子定規にとらえて批判
するばかりでは、組織の空気はいつまで経ってもよくなりませんね


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 【58点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

ちょうど1ヶ月前に、大阪投資育成のマネジャー特訓コース(6ヵ月間)が終
了し、受講者とともに打ち上げがありました。

そのとき、私が阪神ファンということもあり、タイガースの話で盛り上がりま
した。

「横山先生、ペナントレースはあかんかったですけど、日本シリーズで優勝す
りゃあ、ええやないですか。それで阪神ファンはハッピーなんですわ」

と言い、「ワハハハハハ」と高らかに笑っていた部長さんがいらっしゃいまし
た。

私は「そうですよねェ」と言いながらも、心の中で「日本シリーズで優勝なん
て、1%の可能性もないでしょう」なんて、思っていました。

しかし……

ご存知のとおり、阪神タイガースは無敗で日本シリーズに勝ち進み、宿敵?
ホークスと戦っています。

幼いころから阪神ファンの私には、奇跡? だと思っています。いまだに信じ
られない気持ちでいっぱいです。

タイガースのすべての選手を応援していますが、特に岩田投手には頑張っても
らいたいです。

高校時代から1型糖尿病を患い、1日4回のインスリン注射が欠かせないと聞
いています。同じ病の人たちのためにも応援したいです。

2014年10月23日

あなたは「1秒」で答えられるか?【Iメッセージ】

● 今回のテクニック:【Iメッセージ(14)】

Iメッセージ(アイメッセージ)とは、「私」を主語にして相手の行動を促す
メッセージ。相手が行動することによって「私」がどう感じるのかを言葉で表
現することにより、相手が自主性を失わず承認に結びつく。コーチングの基本
テクニックであり、会話の中にさりげなく織り込むのがコツ。

反対にYOUメッセージ(ユーメッセージ)とは、「あなた」を主語にするメ
ッセージ。例えば「早くやりなさい」「報告・連絡・相談をしっかりしろ」
「きっちりやるように」などである。「私」と「あなた」との繋がりが断絶さ
れているので、相手に抵抗が生まれ、反発が生まれやすい。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「部長、こちらの資料、作っておきました」


マネジャー :
「おう、ありがとう」


部下 :
「うちの課のメンバーにも資料をメールで送っておきます」


マネジャー :
「頼んだよ」


部下 :
「それでは、これから顧客訪問がありますので、失礼します」


マネジャー :
「……ああ、あのさ」


部下 :
「え」


マネジャー :
「今期の君の目標って、いくらだ?」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「今期の君の目標だよ」


部下 :
「ええっと……。今期の目標と言われましても、いろいろあるので、どれを
言えばいいか……わかりませんが」


マネジャー :
「君は、自分の名前が言えるか?」


部下 :
「もちろんです」


マネジャー :
「すぐに言えるよな」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「1秒以内に、自分の名前を言えるはずだ」


部下 :
「そりゃあ、そうでしょう」


マネジャー :
「いわゆる即答ってヤツだ」


部下 :
「自分の名前を聞かれたら、即答できますよ。誰だって」


マネジャー :
「いろいろ名前があるから、どの名前のことを言ってるのかよくわからない、
という事態に陥ることはないよな」


部下 :
「そりゃあ」


マネジャー :
「もう一度尋ねるが、君の今期の目標は?」


部下 :
「ええと、ですから……」


マネジャー :
「君の今期の目標、いろいろない。一つしかない」


部下 :
「いや……。売上とか利益とか、在庫とか、工場の稼働率とか……」


マネジャー :
「時間稼ぎをするな」


部下 :
「時間稼ぎではありませんよ」


マネジャー :
「君の名前はなんだ? と質問されて、『名前と言われても、私の氏名なの
か、子どもの名前なのか、会社の名前なのか、取り扱っている商品の名前か、
わからないじゃないですか』なんて言うヤツはいない」


部下 :
「……」


マネジャー :
「なぜ、そんなに時間がかかる? 君が考える今期の目標を言ってみたま
え」


部下 :
「ええと……。確か10月の営業部会議で予算配分を決定すると言っていた
はずです」


マネジャー :
「その通りだ」


部下 :
「その会議の結果をまだ私は受け取っていません」


マネジャー :
「だから?」


部下 :
「だから……」


マネジャー :
「だから、君はまだ自分の名前を言えないわけだ。1秒以内に」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「期の目標と、自分の名前は同じようなものだ。私は、君が連絡されていな
いから知らないと平気で言えることをとても悲しく思う」


部下 :
「……」


マネジャー :
「大切な君の目標だ。自分のほうから取りに来てもらえると、私は嬉しいん
だが」


部下 :
「あ……あの、今期の、私の目標は……」


マネジャー :
「売上目標、2億7000万円だ。前年度より2000万円アップ」


部下 :
「2億7000万円」


マネジャー :
「突然質問されても、1秒以内で答えられるようになってくれると、私はす
ごく嬉しい」



……「目標に焦点を合わせろ、と言われても、どのように焦点を合わせればい
いかわからない」

と、コンサルティング先の営業部長に言われたことをキッカケに思いついたの
が「目標を1秒以内で答えられるか?」という問いです。

にわかに信じがたいかもしれませんが、

自分の目標を「1秒以内」に答えられない営業は、非常に多いのです。

「先日、予算編成会議があったようですが、まだ知らされていません」「確か
予実績管理の資料に書いてあると思うので、確認しましょうか?」

等と、まるで他人事のように言う人がいます。

目標を達成するかどうか以前に、自分の年間目標ぐらい即答できるように習慣
化しておきたいですね。

この「目標に焦点を合わせる」ことの大切さを記した私の処女作『絶対達成す
る部下の育て方』の【第12刷】が、昨日、決まりました。累計4万2000
部です。

2011年12月に発売されてから増刷を重ね、第11刷が13年1月です。

それから実に1年9ヶ月経って、昨日、再び増刷がかかりました。長く売れて
いることが本当に嬉しいです。

私の処女作であり、「絶対達成」&「予材管理」の教科書。

台湾や韓国でも翻訳版が出版されています。今後ともどうぞよろしくお願いい
たします。


■「絶対達成する部下の育て方」
  ――稼ぐチームに一気に変わる新手法「予材管理」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478016828/attaxsales-22/ref=nosim


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 【29点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

「絶対達成する部下の育て方」は、3つのことが書かれています。

「目標に焦点を合わせる」「大量行動」「予材管理」の3つです。私のみなら
ず、アタックス・セールス・アソシエイツが開催するセミナーや研修、コンサ
ルティングの基本中の基本が書かれており、

当社全サービスの「土台」となる書籍です。

この書籍のおかげで、多くの企業で使われるようになった言葉が、

「現状維持バイアスをはずす」「インパクト×回数」「行動をロックする」の
3つ。

私が知っているだけでも、複数の大企業でも流行語になるほど、組織内の共通
語として使われているようです。

中でも、

「現状維持バイアス」という、普段聞き慣れないこの言葉は、本書のおかげで
相当、普及しました。

多くの企業で普通に使われるようになりました。

「絶対達成」とはまた違った意味で、横山の代名詞的な存在となったと思いま
す。

「目標の2倍の予材を積み上げて絶対達成する予材管理のためには、大量行動
が不可欠。圧倒的な数のKPIを設定して行動をロックする。インパクト×回
数で習慣化し、現状維持バイアスをはずす。そうしていると、目標に焦点が合
うようになる……」

これが「絶対達成する部下の育て方」の要旨です。「ツイスター型の営業チー
ム」にするための行動計画のあり方、タスク管理、会議のやり方、ツールの設
計方法等、

「組織営業力アップDVD」1~4までを網羅した内容となっています。

他の「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成する決断力のつけ方」「脱会
議」……等の書籍は、本書からスピンアウトした内容であり、

やはり今でもこの書籍が売れ続けているのは、絶対達成の基本が詰め込まれて
いるからだと思います。

2014年10月20日

「デメリット」を伝える価値とは?【PREP法】

● 今回のテクニック:【PREP法(7)】

PREP法(プレップ法)とは、自身の主張を相手に伝えやすくする話法、文
章術のこと。

以下のような流れで話をすることである。非常に簡単だ。

主張(Point)→ 理由(Reason)→ 具体例(Example)→ 主張(Point)。

はじめと終わりに「主張」または「結論」を持ってくることが秘訣である。

例としては、

「私はこの仕事が好きだ。なぜなら遣り甲斐があるからである。1ヶ月に1回
はお客様から感謝の手紙がもらえるし、先日などは私の手を握ってまで『あり
がとう』と言ってくれるお客様がいた。だから私はこの仕事が好きだ」

「インパクト×回数」が大事。主張はとにかく繰り返すことだ。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「私はすごく部長を尊敬しています。以前、課長だったころに、10年連続
で課の目標を達成させたと聞きました。どの課に異動になっても、すべて達
成。本当に凄いです」


マネジャー :
「ありがとう」


部下 :
「お客様の前で堂々とプレゼンする態度も、本当に見習いたいです」


マネジャー :
「ありがとう」


部下 :
「分け隔てなくフレンドリーに声をかける姿勢がいいんでしょうか、人脈も
多いですよね。酒の席でのお話も上手だし、部長のすべてを盗みたいです」


マネジャー :
「ありがとう。君はいつもそんな風に、人を褒めるそうだな」


部下 :
「決してゴマすりではありません。本心でそう思っているので、ついつい言
ってしまうのです」


マネジャー :
「そうそう。本当にいい奴だ。でも友達は少ない」


部下 :
「そうなんです」


マネジャー :
「営業成績もイマイチ」


部下 :
「そうなんです」


マネジャー :
「どうしてだか、わかるか?」


部下 :
「うーむ……。褒める達人になりたくて、人を見るたびに褒めて褒めて褒め
て褒めまくっているんですが、どうしてもうまくいきません。感情が入って
ないからでしょうか?」


マネジャー :
「じゅうぶん、感情が入っているよ。気持ち悪いぐらい、感情が入ってた」


部下 :
「なら、どうしてでしょうか?」


マネジャー :
「そりゃあ……ほれ、胡散くさいからだろ」


部下 :
「ウサン、クサイ……」


マネジャー :
「褒められて悪い気はしなかったけど、なんかシックリこないんだよな」


部下 :
「そうですか」


マネジャー :
「当社の商品をお客様に紹介するときも、商品をべた褒めするだろ?」


部下 :
「もちろんです! 私は当社の商品が大好きでありますから!」


マネジャー :
「愛社精神があってよろしい。でも、それとこれとは違うんだ」


部下 :
「ああああああ。どうしたらいいんでしょう。努力しているつもりなんです
が、うまくいきません。本音で話しているのに」


マネジャー :
「人と信頼関係を築くためには、お互い腹の探り合いをなくすことが重要だ。
なぜなら相手が何を考えているかわからなければ、人は安心・安全の欲求が
満たされないからだ」


部下 :
「へええ」


マネジャー :
「たとえば、ある企業から私どもの商品を無償で販売する、売れた代金はす
べて渡す、と言われたら怪しいと思うだろう。何か『裏』があると思ってし
まうからだ。しかし、その代わりに当社の顧客管理システムを導入してほし
いと言われたら合点がいくはずだ。だから、人と信頼関係を築くためには、
お互い腹の探り合いをなくすことが重要だ」


部下 :
「なるほど……」


マネジャー :
「うちの部のアシスタントもすごく私のことを褒めてくれる。素直に嬉しい
と感じるのは、『人を惹きつける話術は素敵なんだから、もっと身なりをキ
チンとすればいいのに』と、短所まで言ってくれるからだ」


部下 :
「へえ。短所ですか」


マネジャー :
「そうだ。当社の商品も、9割は長所を言いたまえ。しかし1割は短所を言
えばいい」


部下 :
「9:1の法則ですね」


マネジャー :
「そんな法則があるかどうかわからんが、メリットばかりではなくデメリッ
トも伝えたほうが信用される」


部下 :
「部長、実は前から言おうと思ってたんですが……」


マネジャー :
「なんだ」


部下 :
「口が臭いです」


マネジャー :
「……!」


部下 :
「本音で話しています!」


マネジャー :
「……な」


部下 :
「本当なんです。本当に臭いんです」


マネジャー :
「……お前とはもう2度喋らん」


部下 :
「ええええ。ちょ、ちょっと待ってください。1割の短所を言ったつもりで
すが……」


マネジャー :
「一番気にしていることだ! 私にとっては9割の短所だよっ!」



……相手と信頼関係(ラポール)を構築するためには、「安心・安全の欲求」
が満たされていないといけません。

「安心・安全の欲求」を満たすために、営業はお客様に顔や名前を憶えてもら
おうとすべきですし、

いいことばかりではなく、包み隠さず本音で話すときも必要ですね。


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 【38点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

いつもセミナーでは、「3つの資産」の話をします。「金融資産」「関係資
産」「自分資産」の3つです。

最近、年齢を重ねたせいか、それとは別の「青春資産」について、よく意識す
るようになりました。

先日、日経BP社主催の「180日間特訓コース」の1回目が八ヶ岳山麓でス
タートしました。

久しぶりの晴天に恵まれたせいか、色とりどりの紅葉を目にし、

結婚するまで36回も通い続けた清里のことを思い出しました。そしてここ数
年、感受したことのない強いノスタルジーを覚えました。

また、週末に24年前から続けている知的障がい者のボランティア活動に参加
したとき、10年近くお会いしていなかった保護者の方と再会しました。

以前は、お互い性格の不一致でぶつかり合った仲です。笑顔で再会。そのお母
さんから「私ももう80だがね。少しは変わったでよー」と言ってくださいま
した。

「膝の調子はいかがですか」と聞くと、「腰よりも膝だわ。膝はまあ、言うこ
ときかんでかんわ」と言った後、ガハハと豪快に笑っていらっしゃいました。

楽しいことよりも、ツラいことのほうが多かった時代に築いた資産は、今の自
分の確かなリソースになっています。

また、「青春資産」に投資したいという気持ちになってきました。

2014年10月17日

会議の「スパン・オブ・コントロール」【譲歩の返報性】

● 今回のテクニック:【譲歩の返報性(6)】

譲歩の返報性とは、「返報性の原理」のひとつ。

相手に譲歩することで、相手もこちら側に譲ってくれる可能性が高まる。

相手とペースを合わせる「ペーシング」の基本。

コミュニケーション相手の言い分をまず受け止めることは、こちらの主張をい
ったん飲み込んで譲歩することと似ている。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「10月から組織風土委員会の委員長になったそうだな」


部下 :
「そうです。どうして私なんかが委員長なのかわかりませんが、任せられた
からには、頑張ってやり遂げます」


マネジャー :
「気合が入っていていいんだが、委員会のメンバーから相談があった」


部下 :
「何ですか?」


マネジャー :
「会議が終わる時間が遅いらしいじゃないか」


部下 :
「ああ……。でも、仕方がないですよ。いろいろな部署から集まってもらっ
ているわけですから、どうしても開始時間が夜の7時を過ぎてしまうんで
す」


マネジャー :
「終わるのは10時過ぎらしいじゃないか」


部下 :
「それも仕方がありませんよ。いつも顔を合わせている同じ部署のメンバー
と違い、いろいろと調整しなければならないこともあるんですから」


マネジャー :
「それにしてもダンドリが悪いと聞いた」


部下 :
「そうでしょうか」


マネジャー :
「もう会議を4回やってはいるが、何も進んでないんだろう」


部下 :
「そりゃあ……個人個人の認識合わせからスタートするので、最初は多少の
時間がかかって当たり前だと思います」


マネジャー :
「毎回、来る人と来ない人の差が激しいらしいな」


部下 :
「そうなんです。メンバーが多いので、毎回、情報共有から始まって……」


マネジャー :
「委員会は何人だ」


部下 :
「14人です」


マネジャー :
「14人!? 多すぎるだろう!」


部下 :
「そうですか? 各部署から2名出してもらってますので、14人になりま
すよ」


マネジャー :
「スパン・オブ・コントロールを超えている」


部下 :
「スパン・オブ……?」


マネジャー :
「『統制範囲の原則』だ。統制できる人数には限界がある。5~6人にしな
いと、統制できないぞ」


部下 :
「5、6人ですか」


マネジャー :
「それだけの人数がいると、意見も出てこないだろう?」


部下 :
「まったく出てきません。たまに質問をしてくれる人もいますが、いつも決
まった人です」


マネジャー :
「それは『社会的手抜き』という現象だ。人が多くなると、どうしても無意
識のうちに手を抜いてしまう」


部下 :
「へええ。部長、いろいろなことをよく知っていますね」


マネジャー :
「前の会社で、徹底的に会議マネジメントを学んだ。会議は、会議中ではな
く、会議と会議の間が勝負だ」


部下 :
「会議と会議の間が勝負?」


マネジャー :
「そうだ。会議と会議の間で、メンバーにどう動いてもらうかですべて決ま
る。『会議マネジメント』と言っても、会議中のファシリテーションの話で
はない」


部下 :
「なるほど」


マネジャー :
「気合が入っているのはいいが、正しい知識を身につけてくれ。君に会議マ
ネジメントを学んでもらいたい」


部下 :
「え……。私が会議マネジメントを、ですか」


マネジャー :
「面倒でも、将来のために覚えておかなければダメだ。そんなに多くのメン
バーに夜遅くまで残業させるわけにはいかない」


部下 :
「ううう……ん」


マネジャー :
「私が会議マネジメントの手ほどきをする。会議の事前準備と、その後のフ
ォローについて年内はしっかりとサポートするから」


部下 :
「え、部長が?」


マネジャー :
「最初は慣れないだろうから、手取り足取りになるだろう」


部下 :
「そこまでしてくださるのなら、わかりました。ぜひ教えてください」


マネジャー :
「とにかく事前準備と、会議の冒頭の挨拶を気を付けてくれ。そして会議後
のフォローだ」


部下 :
「かしこまりました」



……たかが「会議」。されど「会議」です。

場当たり的な会議は、組織の空気を悪くしていきます。

会議の問題ベスト3は、「報告で終わっている」「目的がよくわからない」
「ネクストアクションが決まらない」です。

これらの問題をどう解決するのか、11月のセミナーで詳しく解説します!


■ 絶対達成する営業会議の進め方&予材管理概説
【大阪 11/6】http://attax-sales.jp/seminar/1775.html
【名古屋 11/13】http://attax-sales.jp/seminar/1771.html
【東京 11/20】http://attax-sales.jp/seminar/1763.html

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 【13点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

もう45歳です。

そろそろ髪の毛のことが気になる年頃です。

先日、美容院へ行ってカットしてもらっているときに、私の髪の状態を聞いて
みました。(ちょっと勇気が要りますね)

そうしたら、

「正直言って、めちゃくちゃ髪の量がありますね。白髪もほぼゼロ。この年齢
では珍しいです」

と言われました。

ただ、ケアも必要だと言われましたので、その場でお勧めされるままに、スカ
ルプケア用のシャンプーとか、諸々の商品を買いました。

髪の量が多いので、いつも美容院へ行くと、髪を少なくするために梳(す)か
れます。

そんな私がスカルプケアが必要なのだろうか……。

2014年10月14日

「ラクして儲ける方法」をロジカルに検証してみる【ロー・ボール・テクニック】

● 今回のテクニック:【ロー・ボール・テクニック(15)】

ロー・ボール・テクニックとは、まずは相手が受け取りやすいボールを投げて
から、徐々にオプションを増やしていく方法である。

説得される側は、気がついたときには最初の条件よりも吊りあがっているため、
騙されたと感じるかもしれず、リスクは高い。

フット・イン・ザ・ドア・テクニックよりも強力な説得技術と言われているが、
多用は禁物である。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「お前とこんな風に外で会うなんて、考えたこともなかった」


部下 :
「そうですか、部長。いや、もう部長じゃないか……」


マネジャー :
「いつも、こんなカフェを使うのか」


部下 :
「そうです。会社を辞めてから、このカフェに入りびたりです。パソコンが
ネットワークに繋がれば、どこでも仕事ができますから」


マネジャー :
「お前のラフな恰好は初めて見る」


部下 :
「ようやく会社を辞めることができました。本当に嬉しいです。もう自由の
身ですよ。ネクタイを締めなくていいですし、サンダル履きで外に行ける」


マネジャー :
「まるでさっき起きたみたいだな」


部下 :
「実際にそうです。昨夜から今日の朝まで飲んでたんで、今日は昼の2時ま
で寝ていたんです。ヒゲも剃ってなくて申し訳ありません」


マネジャー :
「いや」


部下 :
「平日の火曜日に昼の2時まで寝てたんですよ、天国だと思いませんか?」


マネジャー :
「最近、天国には行ってないから、よくわからない」


部下 :
「満員電車に乗らなくていいし、これ以上の働き方ってないです」


マネジャー :
「インターネットの商売でどれぐらい儲かるんだ」


部下 :
「うまくいけば月商100万円は軽く超えるそうです」


マネジャー :
「君がやっている事業を試して、月商100万円に達する確率はどれぐらい
だ?」


部下 :
「確率ですか」


マネジャー :
「そして月商100万円に達するまでの平均期間はどれぐらいだ?」


部下 :
「平均期間……」


マネジャー :
「1000人がチャレンジしたとして、100人ぐらいが月商100万円ぐ
らいに到達すると思うか?」


部下 :
「……うーん。そんなには無理だと思います。20人とか、10人とか」


マネジャー :
「50人に1人か、100人に1人という計算だ。期間はどうだ。事業をは
じめて1ヶ月で到達するのか」


部下 :
「1ヶ月で月商100万円は……いく人もいると思います」


マネジャー :
「どのように?」


部下 :
「どのように……って」


マネジャー :
「外国から雑貨や衣料を輸入し、ネットで売る事業だろう。商品の平均単価
はいくらだ? それを月に何個売ったら100万円となる?」


部下 :
「1万円ぐらいの商品を100個売ったら、100万円は超えます」


マネジャー :
「事業をスタートさせて、その状態になるには何日かかる?」


部下 :
「何日?」


マネジャー :
「初日から、君が外国から仕入れた雑貨や衣料が売れ始めるのか?」


部下 :
「それは……ないと思います。まずは認知してもらわないといけないので」


マネジャー :
「話は変わるが、月商100万円となると、君の財布に入る金額はいくら
だ」


部下 :
「え……。ですからうまくいけば100万円って」


マネジャー :
「それは君が事業で稼ぐ金額だろう。仕入れや諸経費や税金のことは考えて
いるのか」


部下 :
「そりゃあ、ええと、考えてはいます……」


マネジャー :
「もう一度聞こう。月商100万円まで事業が大きくなったとして、君にど
れぐらいのお金が入るんだ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「君が言う自由というのは何だ?」


部下 :
「……」


マネジャー :
「働き方が自由であれば、生活は不自由になってもいいのか」


部下 :
「どうして、生活が不自由になるって」


マネジャー :
「この3連休、私は父の入院先へ通っていた。アルコール依存で、最近、入
院したんだ」


部下 :
「そ、そうですか」


マネジャー :
「暇さえあれば病院だ。最近は時間外労働など、ほとんどできない」


部下 :
「部長が残業しないんですか」


マネジャー :
「しないというより、できない」


部下 :
「……ごほっ、ごほっ……すみません」


マネジャー :
「痰が絡むのか」


部下 :
「え?」


マネジャー :
「お前の体から、馴染みのある匂いがする。このカフェにいても、よくわか
る」


部下 :
「……」


マネジャー :
「朝まで飲んでいたんじゃない。お前もまた病院へいた。お子さんに付き添
うために」


部下 :
「……部長」


マネジャー :
「生まれつきの難病だろう。消火器や呼吸器の働きが悪いので、痰が絡み、
なかなか寝付くことができない。そんなお子さんのずっと近くにいたい。そ
れがお前の希望だ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「『もっと自由な働き方をしたい』と言って会社を辞めた。その理由はお子
さんにある」


部下 :
「……」


マネジャー :
「奥さん、8月から別居中か」


部下 :
「どうしても、息子と一緒にいたいんです。少しでも」


マネジャー :
「しかしお前は数字で考える習慣がない。それだと事業はうまくいかない」


部下 :
「……」


マネジャー :
「誰に勧誘された? そしてその事業を始めるのに、いくら支払った?」


部下 :
「ひゃ、130万円です……。相手は誰か知りません。ネットで知り合った
だけなので」


マネジャー :
「それが奥さんが出ていった理由かはわからんが、大金であることは間違い
ない」


部下 :
「……そうです」


マネジャー :
「私の知っている建設会社で、短時間でも雇ってもらえるところがある。そ
こで働け。カフェでパソコン見ながら商売する事業とは違うが、確実に日銭
が手に入る」


部下 :
「部長」


マネジャー :
「その建設会社の社長に言っておく。『日本であんたの次にクソマジメな奴
を紹介する』って。かなり不器用だが」


部下 :
「……」


マネジャー :
「来週から行け。大丈夫。お子さんの病院へは通えるから」


部下 :
「あ、ありがとうございます」


マネジャー :
「そうだ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「その建設会社で現場経験を2年ぐらい積んだら、我が社に戻ってこい。ポ
ストは空けておく」


部下 :
「そんな」


マネジャー :
「これが中小企業の良さだ。みんな、お前を待ってる」


部下 :
「……」


マネジャー :
「ウチの社長も不器用だ。俺にこんなことを言わせるなんて」



……数字で物事を考えるためには、物事を分解していかなければなりません。

そして分解するためには適切な「切り口」が重要です。

そして「切り口」は「フレームワーク」によって表現されることが多く、この
「フレームワーク」をいくつ知っているかで、

事業が安定するか、再現性が高いかを推し量ることができます。

何事も「空回り」を避けるために、物事を分解する物差しを、たくさん手元に
置いておきたいですね。


【参考コラム】「ラクして儲ける方法」という商材をロジカルに検証してみる
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20141014-00039942/

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 【62点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

今回のメルマガから、横山のお気に入り度を100点満点で表現したいと思い
ます。

これは「お役立ち度」ではなく、横山が気に入っているかどうかの基準のみで
点数をつけます。

本メルマガをスタートしてから6年半。

一貫して、守り続けているポリシーがあります。それは「楽しめるかどうか」
です。

継続しなければメルマガなど意味がないと思っていますので、配信者である私
自身が楽しいと思えることをやっていきたいと考えています。

今回のメルマガ本文の「お気に入り度」は【62点】。

まあまあですね。なぜこの点数なのか、理屈はありません。何となくです。

書いてからしばらくして客観視すると、意外と気に入らない、というときがあ
ります。

自分で書いた文章なので、平気で【9点】とか【15点】とかつけられます。
今後も、メルマガ本文に自分の「お気に入り度」を点数表現していきたいと思
います。

どうぞお付き合いください。

2014年10月9日

「個人ROA」は高ければいいのか?【マイ・フレンド・ジョン】

● 今回のテクニック:【マイ・フレンド・ジョン(11)】

マイ・フレンド・ジョンとは、「話し手」の知人や知人を介して聞いた話、も
しくは「一般論」の中に、相手をイメージ誘導させたい内容を意図的に含ませ
る方法。

他人の体験も、自分の体験のように聞こえてしまい、「話し手」が直接的にリ
ーディングせずとも相手を誘導できる、説得技術。

「お客様の声」というのは、まさに「マイ・フレンド・ジョン」の典型例。

相手との深い信頼関係(ラポール)が必要であることが前提である。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「資産には3種類ある、という話をしたと思う」


部下 :
「はい。金融資産、関係資産、個人資産の3つですよね」


マネジャー :
「そう。いわゆるお金という名の金融資産。人脈や、人との信頼という名の
関係資産。そして自分の能力や習慣といった自分資産だ」


部下 :
「自分資産を積み上げていくことで、人との信頼関係ができていきますよ
ね」


マネジャー :
「そうそう。やるべきことをキッチリやる。決めたことを先送りしない。
日々勉強を怠らない。正しく健康管理する……こういった当たり前のことが
できることで自分資産が貯まっていく」


部下 :
「ホント、そうですよね。自分資産が多くある人は、良い人脈がありそうで
す。お客様からも信頼されますよね」


マネジャー :
「そう。『信頼』という名の関係資産があることで、最終的に金融資産が積
みあがっていく。自分も磨かず、人から信頼もされていないのに結果を出す
のは難しいな」


部下 :
「そうですね……。自分資産に、関係資産か」


マネジャー :
「私がいた前の会社の部下で、こういう奴がいた」


部下 :
「どんな方だったんですか?」


マネジャー :
「『それで本当に結果が出るんですか?』が口癖の部下だった」


部下 :
「へえ……」


マネジャー :
「もっと読書をしろと言っても、『本当に役立つ本なら読みますが、そうで
なければ読みません』って反論してくるし」


部下 :
「あああ」


マネジャー :
「人脈を広げろと言っても、『取引きが増える人脈ならいいですが、そうで
ない人脈など必要ありません』って」


部下 :
「おおお」


マネジャー :
「もちろん、確実に仕事をくれるお客様のところにしか行きたくないって部
下だった」


部下 :
「あちゃあ……」


マネジャー :
「残念な部下だった」


部下 :
「それじゃあ、その人は」


マネジャー :
「もちろん、全然、営業成績が上がらなかった。そして、それは日々の自己
投資が足りないことに原因があるのではなく、商品や外部環境のせいだと、
ずっと愚痴をこぼしていた」


部下 :
「残念な感じの方ですね」


マネジャー :
「そうだな。残念ながら、彼の『自分資産』は随分少なかった。だから信頼
する人も少なく、『関係資産』も積みあがらなかった」


部下 :
「……確かに」


マネジャー :
「目先のリターンばかり考えていると、そうなる」


部下 :
「耳が痛いですが」


マネジャー :
「ところで、君はどのような自己投資をしているんだ」


部下 :
「えっ」


マネジャー :
「読書をしろと言ったが、月間、何冊本を読んでいる?」


部下 :
「読書ですか……。しかし、何かの役に立つ本なら読みますが、そうでない
なら……」


マネジャー :
「何?」


部下 :
「いやっ! あの……その」


マネジャー :
「役に立つ本なら読むが、そうでないなら読まないって言った?」


部下 :
「いやいや、そんなことは言いましたっけ」


マネジャー :
「先日、私が紹介した財務分析の本はどうした?」


部下 :
「ああ、あの本ですか。私は営業ですから、財務のことなんて知らなくても
仕事はできますし……」


マネジャー :
「何?」


部下 :
「いやっ! あの……その」


マネジャー :
「仕事に役に立つ本なら読むが、そうでないなら読まないって言った?」


部下 :
「いやいや、そんなことは言いましたっけ」



……ROA(総資産利益率)とは、企業の経営効率性をはかる、重要な指標の
一つです。

企業ではなく、個人のROAを考えたとき、

自分の総資産(金融資産、関係資産、自分資産)が、どれぐらいの利益(リ
ターン)に結びついているか、という指標にもなりますね。

この「個人ROA」を高めようと思うなら、自分の総資産を減らせばいいとい
うことになります。

つまり、自己投資を怠るということです。「結果に結びつく読書しかしない」
「結果に結びつく人脈しか要らない」「結果に結びつく営業活動しかしない」
という発想で日々生きていれば、「個人ROA」……つまり総資産に対するリ
ターンの効率性が向上します。

しかし、確実にリターンの絶対値は下がります。

目先の利益ばかりを追い求め、自己投資を怠り、個人の総資産を減らし続けれ
ば、

結果的に将来のリターンが枯凋していくことでしょう。

今月の絶対マインドセミナーでは、この「個人ROA」についても語りたいと
考えています。


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【編集後記】

目標の「絶対達成」を公然と唱えていると、

当然のことながら、その思想に共感を持ってくれる人が集まってきます。そし
て、共感を持てない人が遠ざかっていきます。

私にとって、かけがえのない資産ですね。

その資産があるからこそ、確実なリターンが得られます。

これを読むと驚くでしょうが、

これを読むと奇妙に思われるでしょうが、

これを読むと怪しいと思う人もいるでしょうが、

本当のことを今から書きます。

アタックスグループにとって新しい期が10月1日からスタートしました。

まだスタートしたばかりですが、わがアタックス・セールス・アソシエイツは、
すでに今期の目標を大幅に達成する見込みです。

目標予算自体が、昨年度の目標の1.25倍となっていますが、それでも達成
見込みです。

「予材管理」でいう予材(見込み・仕掛り・白地)の「見込み」の部分が、す
でに今期目標を大幅に超えているからです。

現在決まっている今期のコンサルティング案件や、研修案件が契約破棄されな
い限り、達成します。

1年間、当社の業績のことを心配しなくてもいいからこそ、クライアントに質
の高いサービスができるのです。

私個人や部下たちの自己投資も促すことができます。

リターンをいきなり2倍、3倍にするテクニックではありませんが、確実にリ
ターンを増やしていく方法を「予材資産」という形で私たちは表現し、その手
法をセミナーやDVDを通じてご紹介しています。

早期に目標達成見込みとなると、経営者は本当に、精神的にラクになります。

2014年10月6日

「小さく見積もる癖」は危険【ロミオとジュリエット効果】

● 今回のテクニック:【ロミオとジュリエット効果(7)】

ロミオとジュリエット効果とは、ある目的を達成するまでのプロセスにおいて、
障害や阻害要因が多いほうが、達成意欲が高まるという心理効果。

無論、シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」から由来。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「A社に通いはじめて、もう何か月になる?」


部下 :
「かれこれ4ヶ月になりますね」


マネジャー :
「もう4ヶ月か」


部下 :
「申し訳ありません。すぐに商談が決まると思っていたのですが、時間がか
かってしまって」


マネジャー :
「いやいや。焦る必要はない。焦りはお客様に伝わる。結果を焦り過ぎては
ダメだ。他にも膨大な予材があるのだから気にしないことだ」


部下 :
「はい。予材がたくさんあると、精神衛生上ラクですね」


マネジャー :
「ところで、A社の商談をどれぐらいの規模にしたいと思ってるんだ」


部下 :
「そうですね……。200万円ぐらいかと考えています」


マネジャー :
「200万円? 本当に?」


部下 :
「そうですね、とれても200万円かと思っています。現実的に」


マネジャー :
「誰が現実的な話をしろと言った」


部下 :
「え」


マネジャー :
「君の希望を聞いているんだ。200万円が希望なのか」


部下 :
「いえいえ。そりゃあ、できるものならもっと大きな商談にしたいと考えて
います。しかし現実的には……ちょっと難しいのかなと思って」


マネジャー :
「また、現実的に、か」


部下 :
「いえいえ。もちろん、頑張ります。そりゃあ200万円以上の仕事をとり
たいと考えています」


マネジャー :
「それなら、いくらぐらいの仕事をとりたいんだ」


部下 :
「そうは言っても、200万円ぐらいが妥当な線かと」


マネジャー :
「……心のリミッターをはずしなさい。A社の規模を考えたら、もっと仕事
がとれてもいいはずだ」


部下 :
「しかし、もし大きなことを言って、とれなかったら……」


マネジャー :
「私に期待させて、その通りにならなかったらバツが悪いのか」


部下 :
「いや、その」


マネジャー :
「そんな考えで、営業活動ができるか。だいたい競合他社のZ社が、A社か
ら毎年6000万から7000万ぐらい仕事をもらっているだろう。どうし
て当社が200万なんだ」


部下 :
「……まァ、確かに」


マネジャー :
「私だったらA社から4000万はとりたい、と答える」


部下 :
「ええっ。4000万円!」


マネジャー :
「競合のZ社が独占している案件を奪い取りたい」


部下 :
「そんなの無理ですよ……」


マネジャー :
「どうして無理なんだ。それに、私は希望を言ってるだけだ」


部下 :
「希望……。希望、ですか」


マネジャー :
「予材は、現実的にとれる数字を意味していない。営業の希望だ。論拠に基
づいた希望と言ってもいい」


部下 :
「論拠に基づいた希望、ですか」


マネジャー :
「確かにZ社が独占している案件を当社がとるために、どうすればいいか今
はわからない。しかし不可能ではないだろう」


部下 :
「そうですね……。不可能ではない、ですね」


マネジャー :
「臭い言い方だが、希望が未来を切り開く。予材を積めば積むほど、希望が
増えていく。現実的でとれそうな案件だけに焦点を合わせていると、ポジテ
ィブな思考にならない」


部下 :
「かしこまりました。Z社が独占している案件を何とかとりたいと思います。
燃えてきました」


マネジャー :
「ありがとう。君が燃えてくると、私も燃えてくる」



……可能性があるのに「現実的に」という言葉を使って小さく見積もる癖はな
くしたいですね。

自分自身の可能性まで低く見積もることになります。

心のリミッターをはずしましょう。

予材は「論拠のある希望」です。目標を絶対達成させるために、目標の2倍の
予材を積み上げる「予材管理」は、

希望に満ちたマネジメント手法とも言えるでしょう。

個人の自己管理術としても「予材管理」を活用してもらえるセミナーを11月
に開催します。

※こちらはセミナー年間チケット(10回分)の対象セミナーです。


■ リアルトップセールスの自己管理術「予材管理」
【名古屋 11/4】http://attax-sales.jp/seminar/2919.html
【大阪 11/7】http://attax-sales.jp/seminar/3063.html
【東京 11/11】http://attax-sales.jp/seminar/2917.html


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【編集後記】

10月4日(土)に、アタックスグループの全社方針発表会がありました。
(全社員160名規模)

税理士法人、管理会計、再生、IPO、M&A……などの会計コンサルティン
グ部隊、人事コンサルティング部隊、そして我ら営業コンサルティング部隊…
…。

それぞれの14年度の振り返り、15年度の方針発表がありました。

さらに金融コンサルティング部隊、海外サポート部隊、事業承継コンサルティ
ング部隊……から、

コンサルティング部隊をバックで支える広報や総務などの各部署、さらに各種
委員会やプロジェクトの発表がありました。

新しい役員、それに今期入社した面々の紹介もありました。

長い1日でした。普段は立って喋ってばかりいる私にとって、1日座って、誰
かの話を聞き続けることは意外と大変です。

しかし、飽きさせないポイントがありました。

それぞれの責任者のプレゼンを聞いていて、つくづく感じました。

手前味噌ですが、「みんなプレゼンが上手だなァ~」と。

当社のコンサルタントは、ほぼ全員が人前で研修やセミナーの講師ができます。

日ごろから、いろいろな企業の社長や経営陣と対等に話すプレッシャーに直面
しています。

当然といえば当然なのですが、それでも関心させられます。

コンサルタントのみならず、バックで働くスタッフも、今年新しく入ってきた
若い税理士や会計士の方々も、全社員の前で、落ち着いて、理路整然とプレゼ
ンができます。

プレゼン能力が低いとコンサルティングはできませんし、そういうコンサルタ
ントたちをバックで支えるスタッフたちも、そこそこのコミュニケーション能
力がないと務まりません。

当社グループのスタッフは粒ぞろいだと、改めて認識いたしました。

ちなみに、アタックス・セールス・アソシエイツは新取締役となった水田裕木
が担当。

7分間のプレゼンの時間を、あえてストップウォッチで計測。7分終了のビー
プ音とともにプレゼンを終了するという離れ業を披露しました。

部下のこの芸当には全社員がどよめき、私も「あっぱれ!」と叫んで拍手しま
した。

2014年10月2日

「話せばわかる」は幻想か?【エレベーターピッチ】

● 今回のテクニック:【エレベーターピッチ(8)】

エレベーターピッチとは、起業家が、あるプロの投資家と偶然エレベーターに
乗り合わせた際、エレベーターが目的の階に着くまでのわずかな時間(数十秒
から1分以内)で、自身のビジネスプランの魅力、優位性を伝えられるか?
伝えられるか伝えられないかでビジネスの明暗を分ける、と言われたことに由
来するプレゼンテーションスキルの概念。

営業がお客様に商材のトピックを伝えるときはもちろんのこと、マネージャの、
部下に対するコミュニケーションにおいても同じことが言える。

短い時間でポイントを正しく伝えることの大切さをあらわしている。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「君は、どういう風にお客様にわが社の商品を売り込んでいるんだ。ちょっ
とポイントを整理して言ってみてくれ」


部下 :
「ああ……。まァ、当社の商品なら、いろいろなお客様への導入実績がある
と言いますね。たとえば建設会社とか、あと、意外に商社とかも」


マネジャー :
「うーん……。相変わらず君との会話は歪んでしまうな。ぜひ、歪みを補正
したい。私が聞いているのは、当社商品のセールスポイントだ」


部下 :
「セールスポイントってことは、他社と差別化できるポイントってことです
よね。やっぱりお客様に合わせて提案できるところじゃないでしょうか。そ
こはけっこう評価されていると思います。たとえば建設機械のB社さんとか、
すごく喜んでくださってます。今回の夏の商談だって……」


マネジャー :
「もういい、もういい。全然ダメだ。会話が歪みっぱなしだ。全然私が望ん
でいる答えが返ってこない」


部下 :
「そうですか……。私も課長が何を聞きたいのかわかりませんが」


マネジャー :
「セールスポイントだよ。お客様を前にして、たとえば1分しか時間がなか
ったら、どんな風に伝えるんだ?」


部下 :
「1分ですか? そんなシチュエーションなんて実際にはないじゃないです
か」


マネジャー :
「たとえば1分しかなかったら、どうアピールするんだって聞いてるんだよ
っ」


部下 :
「買ってください、……と連呼します。買ってください! 買ってくださ
い! 買ってください! 買ってください! ……と言います」


マネジャー :
「……」


部下 :
「これでいいですか?」


マネジャー :
「もういいよ」


部下 :
「どうして、そんな疲れた顔をしてるんですか。だって1分しか時間がなか
ったら、それぐらいしか言うことないじゃないですか」


マネジャー :
「当社のセールスポイントを言ってくれって」


部下 :
「ですから……」


マネジャー :
「『買ってください』はセールスポイントじゃないだろう!」


部下 :
「あああ……。確かに。でも、要するにアレですよね。セールスポイントが
あってもなくても売れるときは売れますし、売れないときは売れない。ここ
が営業活動の難しいところです」


マネジャー :
「何を言ってるんだ?」


部下 :
「だってそうじゃないですか。セールスポイントがどれぐらい大切かと聞か
れても、私はそれほど大切じゃないとしか答えられません」


マネジャー :
「だーかーらー……! セールスポイントの大切さなんて聞いてないって!
君がお客様に当社のセールスポイントを1分間で伝えるなら、どういう風に
なるかって聞いてるんだ」


部下 :
「何を言ってるのか、全然わかりませんが」


マネジャー :
「どうしてわからないんだよっ!」


部下 :
「じゃあ、課長だったらどう言うんですか?」


マネジャー :
「『当社が扱う油圧駆動システムのセールスポイントは2つです。1つめが
小型。2つめが遠隔操作です。1つめの小型というのは、油圧ポンプの大き
さであり、他社製品と比較して3分の2の大きさで1.3倍の力を発揮する
ことができること。2つめの遠隔操作というのは、独自遠隔操作システムに
より油圧を間接制御できること。これにより特殊な用途で開発された機械へ
の搭載も可能となりました。当社の油圧駆動システムのセールスポイントは
2つで、小型と遠隔操作です。もう一度繰り返します、小型、遠隔操作、で
す。ぜひ覚えてください』」


部下 :
「ふーん……」


マネジャー :
「私は君に、こう言って欲しかったんだ」


部下 :
「それぐらい言えますよ」


マネジャー :
「言えても言わなかったじゃないか」


部下 :
「言えても言わなかった? どういう意味なんですか」


マネジャー :
「私は1分間でセールスポイントを言ってくれと言ったんだ。問題は、私が
言っていることを歪んで受け止め、いつまで経っても私が期待した回答を言
わなかったことだ」


部下 :
「課長が言っていることを歪んで受け止め……ですか? 申し訳ありません
が、さっきから課長、何を言ってるのかさっぱりわかりません」


マネジャー :
「何を言ってるかさっぱりわからないって……」


部下 :
「だってそうでしょう。セールスポイントを1分で話せと言われても、何が
なんだか……」


マネジャー :
「もういい。わかった……。君は本当にお客様と正しくコミュニケーション
できているか、本当に心配だよ。ところでK社の部長との会食はセッティン
グできたのか」


部下 :
「K社の部長でしたら昨日、電話しました。お体もずいぶん良くなられたそ
うです」


マネジャー :
「ああ、確かに体調を崩されていたからな。それでK社のM部長との会食は
セッティングしたのか、と聞いてるんだ」


部下 :
「K社の商談について知りたいのでしたら、営業支援システムで報告させて
いただいてますが。何か補足説明でも?」


マネジャー :
「何を言ってるんだ、一昨日、M部長との会食をセッティングしろとメール
で指示したじゃないか」


部下 :
「K社との商談が暗礁に乗り上げていることを懸念されているのでしたら、
安心してください。抜かりなくやってますから」


マネジャー :
「だから何をさっきから言ってるんだ。私はM部長との会食をセッティング
しろと言ったんだ。商談について懸念しているわけじゃない。K社のM部長
は私の大学時代の先輩で、この業界に詳しい人脈があるから紹介してほしい
からだ、とメールに書いただろう」


部下 :
「この業界に詳しい人脈、と申しますと?」


マネジャー :
「そんなことはいい! とにかく、一昨日頼んだM社のK部長との会食をセ
ッティングはどうなったと聞いてるんだ。私の質問に答えてくれ」


部下 :
「ははは。課長。M社のK部長じゃなくて、K社のM部長ですよ」


マネジャー :
「もういい! 私が自分でやる!」



……現場でコンサルティングをしていると、上司と部下、営業とお客様……い
ろいろなパターンで「会話が歪んでいるな」と認識することがあります。

正しく会話のキャッチボールができないのに、それにさえ気づかない人もいま
す。

単なる雑談なら問題ありませんが、チームで目標を達成したい。問題を解決し
たい、というときに困りますよね。

私は会話の「歪み度」を個人的に数値化しており、「歪み度」が高い人には気
を付けて話をするようにしています。

決して、メール等の一方通行のコミュニケーションだけに頼らず、リアルレス
ポンスが戻ってくる面談か電話で、ミスコミュニケーションを回避しようと心
がけます。

「話せばわかる」とよく言いますが、「歪み度」が高い人とぼんやり話をして
いてもわかり合えないですから。

歪みを「補正」する技術が必要です。


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【編集後記】

ありがたいことに営業の現場にいると「言い訳」や「作話」が、常日ごろから
飛び交っており、

「言い訳研究の第一人者」を自認する私としては、恵まれた環境にいるなと受
け止めております。

(もちろん、言い訳ばかりに触れ続けているとストレスがたまるわけですが)

「言い訳」もある意味「歪み」です。

日々の会話が歪んでいると、思考も歪んできますから、平気で言い訳ができる
ようになってきます。

ちなみに「会話」の歪みは、こちら側の努力で、ある程度「補正」することが
できます。

しかし、私がいつもストレスを感じるのが「スピード」です。

他人のスピード感を変えるのは難しい。

動きが遅いことを認識している人はいいのです。自覚があるので「補正」しや
すいのですが、

動きの遅さを自認していない人の行動スピードを「補正」するのは、けっこう
難しいですね。

もちろん部下の動きは「補正」できますが、パートナー企業やクライアント企
業で、動きが恒常的に遅い人とは、なかなかうまくやれませんね。

ただ「遅い」というだけで、成し遂げられるはずのことが成し遂げられなくな
るというストレスは大きいです。

とても残念なことです。

ということは、

「スピード」という武器を持っている人は、それだけで、相当なアドバンテー
ジがあるという事かなとも思います。

(短期的に見ると、必ずしもスピードが速ければいいというものではありませ
んが、中長期的な視点で見ると、スピードが速いというだけで、物事の成功確
率は飛躍的に伸びていきます)