2014年8月28日

コミュニケーション能力と「予材資産」【バックトラッキング】

● 今回のテクニック:【バックトラッキング(19)】

バックトラッキングとは、NLP(神経言語プログラム)のペーシングでもよ
く使われる「おうむ返し」のこと。

相手の言葉をそのまま流用し、「質問形式」にして返す。こうすることで、相
手は「イエス」としか返答することができない。

イエスセットを効果的に実践するときに使うテクニックで、

上司や部下とのコミュニケーションのみならず、お客様や家庭などでも応用で
きる。

「……ですね?」「……ですよね?」と確認するように尋ねるのが基本。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「うまくいきませんでした……」


マネジャー :
「そうか。【うまくいかなかったんだね?】」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「デートは何回目だっけ」


部下 :
「2回目です。映画の選択がマズかったのでしょうか」


マネジャー :
「【2回目で、映画の選択がマズかったと思っているんだね?】何を観にい
ったんだ」


部下 :
「『るろうに剣心』です」


マネジャー :
「【『るろうに剣心』なんだね?】。映画は観たことないけど、主題歌を歌
っているワンオクはいいよな」


部下 :
「まァ、はい。でも、そんなこと、どうでもいいです」


マネジャー :
「そうだよな。【『るろうに剣心』の主題歌を歌っているのがワンオクだっ
てことは、どうでもいいよね?】」


部下 :
「ええ。どうでもいいと思います。僕はワンオクよりマンウィズのほうが好
きですけどね。そんなことより係長、何が問題なんでしょう? 帰り際に夕
食を誘ったら、『もういい』って言われたんです」


マネジャー :
「【帰り際に夕食を誘ったら『もういい』って言われたんだね?】」


部下 :
「はい。あきらめず、もっとガンガン攻めたほうがいいんでしょうか。営業
もそうですよね。ガンガン攻めたほうが仕事とれますよね」


マネジャー :
「【恋も営業も、ガンガン攻めたほうがいいと思っているんだね?】」


部下 :
「係長だって、すごく攻めてるじゃないですか。営業成績はダントツだし」


マネジャー :
「【そうだね。俺はけっこう攻めてるよね?】」


部下 :
「はい。それに係長ってすごくモテるじゃないですか。学生時代からもモテ
モテだったんでしょう?」


マネジャー :
「それはちょっとわからないが……。恋愛で悩んだことは、ないかな」


部下 :
「超うらやましいです。このまま一生彼女ができないんじゃないかと悩んで
ます」


マネジャー :
「君は何歳だっけ?」


部下 :
「24です」


マネジャー :
「【24歳だよね?】」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「サッカーやテニス、スノーボード、ゴルフ……学生時代からなんでもやる。
スポーツ万能。帰国子女で英語とフランス語がペラペラ。国立大学も出て頭
脳明晰。ファッション雑誌の読者モデルになったこともあるイケメンだ」


部下 :
「イケメンかどうかは知りませんが、大学時代に芸能プロダクションにお世
話になっていたことはあります」


マネジャー :
「それでも彼女ができないんだよね?」


部下 :
「ここ2年以上、いません。口下手だからでしょうか? コミュニケーショ
ン能力を上げようと思い、営業を希望したのですが、営業でもこの2年、ま
ったく成績が上がりません」


マネジャー :
「【そうだよね。コミュニケーション能力に問題があるよね?】」


部下 :
「えっ! やっぱりそうですか?」


マネジャー :
「そうそう。そうなんだよね」


部下 :
「『話し方教室』とか通ったほうがいいんでしょうか」


マネジャー :
「【『話し方教室』とか通ったほうがいいと思ったんだね?】というより、
その態度をあらためたほうがいいよ」


部下 :
「えっ、態度?」


マネジャー :
「焦り過ぎだよ」


部下 :
「焦り……」


マネジャー :
「営業も恋愛も『予材管理』をしたらどうかな」


部下 :
「予材管理……」


マネジャー :
「彼女の予材はどれぐらいあるんだ?」


部下 :
「彼女の予材って……」


マネジャー :
「俺は常に5人ぐらいの予材を持ってた。狙っている、というんじゃなく、
仲が良くて、いつでも会える女性が、ってこと」


部下 :
「彼女の予材って聞くと、めちゃくちゃ不謹慎に聞こえますね」


マネジャー :
「そうだね。言葉の使い方に気をつけないといけないけど、営業と同じで、
短期的な結果を求めすぎると余裕がなくなる。余裕がなくなるからこそ焦り
が出て、その態度が伝わっちゃうんだよな」


部下 :
「うーん。短期的な……」


マネジャー :
「君を見ていると、誰でもいいから彼女になってくれっていう空気を感じる。
それって相手に見透かされるんだと思う」


部下 :
「……そうかも、しれません。正直、今は誰でもいいです」


マネジャー :
「営業も、何か月も何年もかけて『予材資産』を積み上げておけば、その資
産が余裕をもたらしてくれる。その余裕がお客様とコミュニケーションして
いるときににじみ出ていくんだよ」


部下 :
「だから売れる営業は売れるし、売れない営業は売れないんですね」


マネジャー :
「そう。【売れる営業は売れるし、売れない営業は売れないんだよな】。モ
テる奴はモテるし、モテない奴はモテない……」


部下 :
「彼女の予材かァ……」


マネジャー :
「手当たり次第に声をかけろってことじゃないぞ」


部下 :
「さすがに、それぐらいわかりますよ。でも、確かに焦っているせいか、誰
も僕に寄りつかないんですよね。女子の友達も少ないです。反省です」



……余裕がないと自信を失い、自信のなさが相手に伝わり、結果的にコミュニ
ケーション能力が落ちていきます。

営業もそうですね。

結果が出なくて焦っていると、営業の提案内容ではなく、営業自身が放つ「非
言語データ」にお客様は感化されてしまいますから、

余裕を作るには「資産」が必要です。それは「金融資産」「関係資産」「自分
資産」の3つ。

目先の結果が出ていなくとも、この3つの資産があることで余裕が生まれ、焦
らずに済み、自然と自信がわき出てきて、人間関係を良好にするコミュニケー
ションができるようになると私は思います。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

先日、みずほ総研主催の講演がありました。

場所は日比谷公会堂。250名以上の方がいらっしゃいました。3月にも同じ
場所で講演があり、今回が追加講演。ほぼ同規模の集客がありました。

前回と今回との違いは、講演後の「名刺交換」した人の数です。

前回は、200名以上の方が来場したというのに、5~6名としか名刺交換が
できませんでした。

ところが、

今回は「83名」の方々と名刺交換が実現しました。これは過去最高記録です。
(これまでの記録は日経BP社主催の講演時で「76名」。講演会場の外にま
で名刺交換のための行列ができた)

講演のタイトル、内容もほぼ同じ。

にもかかわらず、これだけ名刺交換に来られた方が激増した理由はいろいろあ
りますが、そのひとつに裏方の人の努力がありました。

実はこの講演チラシには「途中入退室禁止」と書かれており、みずほ総研の事
務局の方が講演会場の扉に張り付き、「遅れて会場へやってきた人」に事情を
説明し、会場に入れないようにされたようです。

名刺交換に20分以上費やし、控室に退いてから、先方の部長にその話を聞き
ました。

私は驚き、「そんなことして大丈夫だったんですか?」と尋ねると、「途中入
室は禁止と事前に伝えてありますし、私が丁寧に謝って事情を説明しました」
と言うではありませんか。

時間に間に合わず会場へ来た人は10人程度いて、その中には怒って帰ってい
た方もいるそうです。しかし部長さんが「私がフォローしておきますから、横
山さんは心配されなくても大丈夫です」と言います。

みずほ総研の部長といったら、それなりの地位の方です。

その部長が会場の扉に立ち、時間に間に合わなかった人ひとりひとりに頭を下
げ会場入りさせなかった事実を知り、私はプロ意識を感じました。

確かに、前回の講演とまったく違ったのは会場の中の雰囲気です。「場の空
気」です。

大ホールに途中で入室した人はゼロ。途中退室した人もゼロです。

張りつめた空気の中で講演できた私は、その空気に感化されて、いつも以上に
アグレッシブに場を作ることができたと思います。

講演後、鳴り止まない拍手の中、檀上から降りて「絶対達成名刺」を取り出す
と、席を立ちあがって名刺交換に集まる方々が列を作り、その列は2つに分か
れ、いっぽうは東の扉へ、いっぽうは北の非常口へと続きました。

その後、講演のときより、名刺交換のときに「ありがとうございました」と連
呼したせいか、声が枯れてしまいました。

やはり「場の空気」というものは、多くの人の手によって作られるものですね。
そしてそれが大きな力となって、多くの人の心にインパクトを与えるのだと思
います。

いつの時も、裏方の人たちに感謝・感謝です。

2014年8月24日

打ちのめされたとき、どうするか?【ダブルバインド】

● 今回のテクニック:【ダブルバインド(20)】

ダブルバインドとは一般的には「二重拘束」を指す。

そのダブルバインドの理論を精神治療用に変化させたのがミルトン・エリクソ
ンであり、迷える相手を「二者択一」の質問をすることにより、催眠誘導する
技。

相手がまだ決断をしていないにもかかわらず、「Aがよいか、Bがよいか」と
迫るため、リーディングするまでは十分にペーシングしておくことが不可欠で
ある。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「課長、何してんの」


マネジャー :
「デスクの片付けだ」


部下 :
「整理整頓は日ごろからやっておかないとね」


マネジャー :
「このデスクそのものを片付けるんだ」


部下 :
「お払い箱ってこと?」


マネジャー :
「デスクではなく、私自身が、だ」


部下 :
「課長、何か悪さでもしたわけ? 社長の彼女に手を出したとか」


マネジャー :
「……相変わらずだな」


部下 :
「朝早くから出社して、夜遅くまで仕事して、それでもお払い箱にされる。
残念な結末じゃないですか」


マネジャー :
「本当に、残念な結末だ」


部下 :
「どこへお払い箱に?」


マネジャー :
「お払い箱は、お払い箱だ。それ以上でも、それ以下でもない」


部下 :
「マイホームを建てたばかりだったでしょ? 部長はそのタイミングを狙っ
てたのかな」


マネジャー :
「明日のビッグサイトでのイベントは、もう終わりだ」


部下 :
「ああ、あれの話?」


マネジャー :
「とぼけるな。業績が上がらないため、起爆剤の一つとして私が提案した。
それなりの投資が必要だったが、来場者を正しくフォローすれば、見込み客
は増えると算段した」


部下 :
「課長、4月から必死で訴えてたもんね。社内でも有名でしたよ」


マネジャー :
「無関心だけなら、まだましだった」


部下 :
「そうだろうね……」


マネジャー :
「部長が、金融機関を後ろ盾にした社長の講演会を同日に開催することを決
めた。そして全社員も参加必須とした」


部下 :
「そうそう」


マネジャー :
「しかし私はビッグサイトへの出展をすでに決めていて、後戻りできなくな
っていた」


部下 :
「そりゃあ、それなりの投資だから」


マネジャー :
「今年の初めからずっと準備してきた。部課長全員はもちろん、社長も知っ
ていた」


部下 :
「俺も知ってたよ」


マネジャー :
「うちの課だけでなく、会社全体の波及効果も考えての行動だったんだ。に
もかかわらず、誰もこの会社の業績のことを考えていない」


部下 :
「……」


マネジャー :
「全社員どころか、主要取引先も社長の講演会に参加する。だから明日のビ
ッグサイトのイベントへの告知や集客ができなくなった」


部下 :
「部長から目をつけられたのは?」


マネジャー :
「3年前からだ」


部下 :
「嫌がらせを受けてきたってわけか」


マネジャー :
「ここまでされたことはない」


部下 :
「メソメソすんなよ。イベントは明日だろう? 明日のイベントが成功すれ
ば文句はないはずだ」


マネジャー :
「……相変わらず、君は口のきき方を知らん男だな。君はまだ20代前半だ
ろう? 20歳近く年上の私に、よくそんな話し方ができるもんだ」


部下 :
「入社したとき、課長が俺に言ったんじゃないですか。上司と部下の関係じ
ゃなく、会社を発展させるための仲間だと思ってくれって」


マネジャー :
「そりゃあ、言ったが」


部下 :
「口のきき方を遠慮してたら、あなたみたいに、周囲になめられてしまうか
もしれないだろ」


マネジャー :
「ちっ。じゃあ、どうやって成功させればいい? 当初、私が立てた集客目
標は300人。しかし、現時点で集客見込みは47人だ。当社のブースは閑
散とするだろう」


部下 :
「社長の講演会は盛り上がるのに、イベントのブースは閑古鳥。おもしれー
現象だな」


マネジャー :
「社員は誰も来てくれない。課長らも、今月に入ってから私と誰も口をきか
なくなった」


部下 :
「社長の講演会は、業績アップにまるで寄与しない」


マネジャー :
「……その通りだ」


部下 :
「先代の社長が昨年末に死に、俺と同い年の息子が代表権を持った。しかし
実際は部長が実権を握っている」


マネジャー :
「今の社長は、親父さんと違って目立ちたがり屋だ。チヤホヤされるのが好
きなんだ」


部下 :
「会社の業績のこともまったくわかっていない」


マネジャー :
「正直なところ、部長もだ。単に自分の権力を見せつけたいだけだ。部長の
やり方に異を唱える私を粛清しようとしている」


部下 :
「物騒だな」


マネジャー :
「明日のイベント、300人の集客ができなければ私は責任をとることにな
っている。だからもう、お払い箱だ」


部下 :
「サラリーマンっていうのは、大変だなー」


マネジャー :
「君は、本当に変わってるな。正直なところ、普通のサラリーマンじゃない
ほうが向いてるんじゃないのか?」


部下 :
「失礼だな。俺にぴったりの職業だよ」


マネジャー :
「君は不思議な奴だった。君みたいな奴は、何年経っても、意外と忘れない
だろう。私は明日、ビッグサイトでのイベントが終わったらそのままオフィ
スには戻らない。会うこともないだろう」


部下 :
「会うだろ。何を言ってんだ」


マネジャー :
「……?」


部下 :
「明日、ビッグサイトへ行くよ。俺も」


マネジャー :
「……何?」


部下 :
「あの社長の話なんて聞いてられるか。ビッグサイトのイベントを手伝う」


マネジャー :
「……」


部下 :
「じゃあ、これから敬語を使って喋りまーす!」


マネジャー :
「何ィ?」


部下 :
「課長、こちらのリストをご覧ください。4月から順次私が声をかけて集め
てきたお客様でございます。こちらの項目には、お客様のポテンシャルデー
タも記載しております」


マネジャー :
「……」


部下 :
「質の高い見込み客を215社選定し、そのうち課長職以上の2765名に
ご案内し、478名を明日のイベントに集客できる見込みです」


マネジャー :
「……」


部下 :
「つきましては、営業第1課から第4課までの若手17名を、明日のイベン
ト対応させることになっておりますので、明日はぜひよろしく管理統制をお
願いいたします」


マネジャー :
「な、何の話だ……? 明日は全社員、社長の講演へ……」


部下 :
「管理部の次長を私が説得いたしました。そこで課長に相談したいことがあ
ります。明日のイベントの後、先代の社長の弟さんと次長との話し合いに付
き合っていただくか。それとも現経営陣を除く社員の前で、今後この会社は
どうあるべきか語ってもらうか」


マネジャー :
「……」


部下 :
「なんて顔をしてんだよ。クーデーターだ、課長。楽しそうだろ」


マネジャー :
「……」


部下 :
「どうする? 次長に付き合うか? それとも若手社員を鼓舞するか?」


マネジャー :
「わ、若手社員を鼓舞する……」


部下 :
「じゃあ、俺もそっちに付き合う」


マネジャー :
「どうして、だ」


部下 :
「入社したときに課長が俺に言ったじゃないか。『分解』と『再構築』って。
何度分解してみても、俺の考えはあんたの考えと同じように『再構築』され
ていく。だから、これでいいんだよ」



……「打ちのめされる」ような出来事があったとき、どうするか?

私はセミナーでよく、「分解」と「再構築」を繰り返して、想像力が成長して
いく、と話しています。

既成のものを、いったん「分解」し、新しい概念を付加して「再構築」しない
と、新しい発想はできないからです。

何かをキッカケに、「打ちのめされる」ときはあります。

その時は、既成の概念が一度破壊され、「分解」されたのだと私は受け止める
ようにしています。

これまでの自分が間違っていたのなら、新しい概念を受け入れて「再構築」す
ればいいでしょう。

しかし、そうでないのなら、また同じ自分の思想や主張をまた「再構築」すれ
ばよいと思います。

そうすることで、自分の「信念」は強固なものになっていくでしょうから。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

8月25日(月)の朝、名古屋駅近辺のカフェで「朝会」があります。

私がスピーカーとなり、朝7時から8時まで、著書「空気で人を動かす」を
テーマにお話をさせていただきます。

このメルマガが配信される頃には、終わっていることでしょう。

その「朝会」には、事務局を除いて28名の方が参加する見込みなのですが、
よくもまあ、集客できたなと思います。

主催者の方がフェイスブックで告知し、たった5時間ぐらいで27名の定員が
満員です。(1名は無理やり入れる?)

場所は名古屋駅近辺です。しかも時間帯は朝の7時から8時。事前告知せず、
いきなりFBでアナウンスして満員ですから、スゴイ!

フェイスブック、あなどれませんね。

ちなみに、メルマガよりもフェイスブックのほうでセミナーや講演を先行案内
することもあります。

たまにチェックいただけると嬉しいです。

■ 横山信弘のフェイスブック
http://www.facebook.com/nyattx

2014年8月21日

「ゴルフ」と「絶対達成」の共通点【アズ・イフ・フレーム】

● 今回のテクニック:【アズ・イフ・フレーム(18)】

アズ・イフ・フレームとは、「もし……だったとしたら、どのように……する
か」「もし……実現したら、どのような気持ちとなるか」等と質問をすること
により、相手がかけている色眼鏡(フレーム)をはずさせるテクニック。
(アウトフレーム)

相手の先入観/固定概念を打破するために有効な、魔法の言葉。

通常は、実現したい目標がかなっている「未来」までイメージの中で空間移動
し、そのシーンを十分に味わってもらってから、それまでの実現プロセスを語
ってもらう。そのことにより「ドツボ」にはまっているフレームから抜けやす
くなる。

ただ、言葉だけを使ってもうまくはいかない。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「どうして本部長はゴルフをされないんですか」


マネジャー :
「どうして……?」


部下 :
「他の部長や課長も、みんなゴルフをされてますよね。9月に私も誘われて
いるんです。本部長はご一緒しないと聞きまして」


マネジャー :
「君は上手らしいな」


部下 :
「35歳を過ぎてから始めたんですが」


マネジャー :
「じゃあ、もう6年か」


部下 :
「はい。今じゃあゴルフのない人生なんて考えられないですね」


マネジャー :
「それぐらい熱中できるなんて、いいじゃないか」


部下 :
「本部長もやりましょうよ。マラソンや水泳もされていると聞きました。運
動神経いいんでしょう?」


マネジャー :
「まあね」


部下 :
「あんなに楽しいのに」


マネジャー :
「そりゃあ、そうかもしれないが」


部下 :
「ゴルフのセット、お貸ししましょうか?」


マネジャー :
「持ってるからいい」


部下 :
「えっ? 持ってるんですか? それなら、なおさら行きましょうよ。ゴル
フに行かない理由がないじゃないですか」


マネジャー :
「全然うまくないんだ」


部下 :
「練習すれば、絶対にうまくなりますよ」


マネジャー :
「君たちはもう上手だから、そんなことが言えるんだ。足手まといになって
しまう」


部下 :
「最初は誰だってそうですよ。ゴルフのセットをお持ちだと聞いたからには、
もう引き下がれません。やりましょう。練習を重ねれば、絶対にうまくなり
ます」


マネジャー :
「ゴルフをやってて楽しいと思ったことがない」


部下 :
「それは、ゴルフが上達する前の話でしょう?」


マネジャー :
「うーーん……。そりゃあ、そうだが」


部下 :
「少しでもできるようになったら、絶対に楽しくなりますよ。絶対ですっ
て」


マネジャー :
「君は意外と、しつこい性格だね」


部下 :
「ゴルフ愛に限って言うなら、当社の中でもナンバー1だと思います」


マネジャー :
「そのしつこさを、営業に生かしたらどうなんだ?」


部下 :
「それを言われたら立つ瀬ないです。目標が高すぎるんですよ」


マネジャー :
「何を言ってるんだ。他の営業だって、同じような目標を掲げてやってる。
私だって目標を持ってる」


部下 :
「そうそう。そうですよね? 本部長ご自身も目標を持って、お客様のとこ
ろへ回ってるそうじゃないですか。どうしてご自身でも目標を持って動いて
るんですか」


マネジャー :
「どうしてって」


部下 :
「社長が依頼してもいないのに、本部長ご自身で目標をお持ちとか」


マネジャー :
「そう」


部下 :
「他の人に任せればいいじゃないですか」


マネジャー :
「ゴルフと同じだ」


部下 :
「え……?」


マネジャー :
「楽しいから」


部下 :
「……」


マネジャー :
「目標が達成すれば楽しいんだよ。誰かから認められるとか、給料が増える
とか、そういうことじゃない。ゴルフのスコアと同じだろう? 前よりも上
達していると確認できることが、楽しくてたまらないんだ」


部下 :
「ゴルフと営業とは、違う気が……」


マネジャー :
「君ももっと打ち込みたまえ。営業成績がアップすれば、もっともっと楽し
くなる」


部下 :
「うーん……。そうでしょうか」


マネジャー :
「自分の力で目標を達成させたときの感動、達成感、君は想像できるか?
君がゴルフに熱を入れているように、目標を次々と達成していく喜び。何に
も変えられない楽しさだ」


部下 :
「自分の力で目標を達成させたときの感動、達成感……」


マネジャー :
「商品力にも頼らない。会社の歴史にも頼らない。自分の主体的な行動で
次々と仕事がとれ、他の営業からも羨望の眼差しで見られ」


部下 :
「他の営業からも羨望の眼差しで見られ……」


マネジャー :
「『40歳を過ぎてから、いきなり人が変わったように営業に熱を入れ始め
てどうしたんですか? しかもたった1年で営業部のトップになった。ぜひ
コツを教えてください』と言われる自分の姿がイメージできるか?」


部下 :
「ぜひコツを教えてください……」


マネジャー :
「気持ちいいだろう?」


部下 :
「はい……。なんか、ゴルフよりも楽しそうな気がします」


マネジャー :
「楽しいに違いない」


部下 :
「ゴルフよりも楽しそうなことを、会社の中でできるなんて、なんか凄く得
ですね。営業って」


マネジャー :
「その単純な性格が、君のいいところだよ」



……私もゴルフをやらないので、多くの人から勧められます。

「ゴルフをやらないから、あの楽しさがわからないんですよ」

と言われます。きっとそうなんでしょう。

おそらく楽しいんだろうなと思うのですが、楽しいと感じるまで時間がかかり
そうですし、それなりの労苦を味わうだろうと思うと二の足を踏んでしまいま
すね。

でも、目標の「絶対達成」も同じですよね。

過去に「無理だろう」と思っていた目標を自分の力で達成した喜びは、味わっ
た人しか理解できないものでしょう。

楽しくて仕方のないことなんですが。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

先日、号外メルマガで紹介した「絶対達成LIVE2014」はおかげさまで
申し込みが殺到しています。

東京は相変わらず反響が大きく、即日満員御礼。

毎回、東京では追加講演を緊急開催するなど対応してきましたが、今年は私の
スケジュールが埋まっているため、予定はありません。

今年4月からスタートした「絶対達成セミナーシリーズ」は、「マーケティン
グ編」を除き、すべて定員の2倍以上の集客を記録しました。会場に入りきれ
ないため、いつも募集打ち切り。(東京地区)

これだけセミナーの集客が良いのは、

メルマガの案内を待たず、以下のセミナー一覧ページをチェックして、お申込
みする方が近年とても増えているからでしょう。

※ 2014~15年のセミナー一覧
http://attax-sales.jp/seminar/single/schedule/s_2014

今秋から来春にかけ、すでに上記ページで公開しています。

ご興味のあるセミナーがありましたら、早めにお申込みをいただけると嬉しい
です。(特に東京地区で受講をお考えの方は)

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2014年8月18日

お客様の心を打つ「提案」の方法【プリフレーム】

● 今回のテクニック:【プリフレーム(18)】

プリフレームとは、打合せや商談に入る際、もしくはそれよりも前に、これか
ら話す内容の意味(フレーム)を明確に伝えておくことである。

それによって、相手の視点をフレーミングし、主導権を握ることが容易になる。

冒頭に趣旨をしっかりと説明するだけであるため、非常に簡単なスキルである。
メールと効果的に組み合わせることにより、より有効性が増す。

「DVD4」でも紹介しているとおり、相手を説得するうえで、最も簡単で、
最も強力なコミュニケーション技術である。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例 【 プリフレームを使わない例 】


部下 :
「どうしたら、お客様のハートを掴めるんでしょうね。もう、わからなくな
ってきました」


マネジャー :
「どうしたんだ」


部下 :
「お客様にヒアリングし、その通りに提案書を作って持っていったんです。
しかし、結局はライバル会社に負けてしまいました。4月からもう0勝7敗
です。全然、ダメなんです」


マネジャー :
「うーん……。君はどうしてダメだったと思うんだ?」


部下 :
「ちゃんとヒアリングはしたんですよ。そのヒアリング通りの提案書は作成
しました。けっこう時間はかかったんですよ。2、3日かかったと思いま
す」


マネジャー :
「2、3日ね……」


部下 :
「ここに提案書があります。見てもらえませんか」


マネジャー :
「うーん……。だいたい、君は今回の提案をするのに、どれぐらいお客様の
ことを調査したの?」


部下 :
「ですから2、3日はかけました」


マネジャー :
「提案書を作るために要した時間ではなくて、お客様の業績のことや、業界
のことは?」


部下 :
「それは調べてません。どうやって調べるんですか?」


マネジャー :
「この会社の規模であれば、ホームページにIR情報が掲載されている」


部下 :
「ああ、そうなんですか。でも、そんなことを調べる必要があるんでしょう
か」


マネジャー :
「業績が下降ラインを辿っているのか、上昇しているのか。人員を増強しよ
うとしているのかはわかるだろう。業界を詳しく調べれば、他社の取組みも
判断材料になる」


部下 :
「そこまで提案書に盛り込むと、ページ数が増えすぎてしまうと思います」


マネジャー :
「商品アイテム、ラインアップも調べたか? 店頭販売されている商品は、
店頭をいくつかまわってみたか?」


部下 :
「何のために、ですか」


マネジャー :
「このお客様の商品の売れ筋をチェックするためだ。実際に店頭に並んでい
るかどうか。店頭でどれぐらいの扱いをされているのかもチェックしたらい
い」


部下 :
「それが提案の内容に関係するんでしょうか。私はお客様にヒアリングした
内容に沿って提案書を作ったんです」


マネジャー :
「お客様から聞いた内容を裏付ける意味で、必要だと思ったんだ」


部下 :
「店頭まで足を運んで、具体的に、どんな提案をすればよかったんです
か?」


マネジャー :
「それはわからない。現場へ行くことで、何か気付きが得られたのかもしれ
ないというだけだ」


部下 :
「そこまでやっても意味がないですよ。だいたい、これは営業第2課のKさ
んが作成した提案書を参考に作ったんです。Kさんが過去に成功した提案書
をひな形にしてるんですから、これでいいんですよ」


マネジャー :
「他人の猿まねの提案書では、お客様の心を打つことなんてできないだろ
う」


部下 :
「お客様の心を打つ? 何度も言いますが、私はお客様にちゃんとヒアリン
グしてるんですよ。ヒアリングした内容を忠実に再現したんです」


マネジャー :
「じゃあ、どうして契約がとれなかったんだ?」


部下 :
「そんなこと知りませんよ。だから課長に相談してるんじゃないですか」



● 今回のコミュニケーション例 【 プリフレームを使った例 】


部下 :
「どうしたら、お客様のハートを掴めるんでしょうね。もう、わからなくな
ってきました」


マネジャー :
「どうしたんだ」


部下 :
「お客様にヒアリングし、その通りに提案書を作って持っていったんです。
しかし、結局はライバル会社に負けてしまいました。4月からもう0勝7敗
です。全然、ダメなんです」


マネジャー :
「なるほど。それは落胆するよな。私が営業をはじめたころも、そういうこ
とが多かった。0勝7敗どころか、0勝20敗ぐらいだったんじゃないか」


部下 :
「課長が、ですか?」


マネジャー :
「そうそう。その当時、お客様にヒアリングして、ヒアリングした中身のこ
とをそのまま提案書に記していた。もちろんデザインや様式、どうやったら
相手に伝わるだろうかと、文章も常に工夫をし続けたが、結局それ以上のこ
とはしなかった」


部下 :
「それ以上のこと?」


マネジャー :
「当時の営業部長に教えられたよ。お客様のために『汗』をかいてるか?
って……。お客様のところへ足を向け、体力的に疲れて汗をかく、というこ
とだけではなく、お客様が口にしない業界の動向だとか、売れ筋製品の反応
だったりとか、そういうものを調べているか? ということだった」


部下 :
「……」


マネジャー :
「相手との信頼関係を構築するときは、単純に接触するために足で稼ぐって
ことが必要だけど、その『単純接触』をしている間に、お客様のことをよく
調べておき、いざ提案となったときに慌てないようにする姿勢が必要だった
んだろうな。若いころの私には理解できなかった」


部下 :
「はァ」


マネジャー :
「今になってようやくわかってきた。お客様のこと、業界のことを徹底的に
調べても、その調べ上げたことを提案に盛り込むかどうかは別。しかし、そ
の営業プロセスは伝わり、結果的にその姿勢がお客様の満足度を高めるのだ
と思う。営業が醸し出す空気でわかるんだよ。やっつけ仕事で作った提案な
のか、それとも徹底的に調査して作成した提案なのかは」


部下 :
「……なる、ほど」


マネジャー :
「だから提案書はメールとかで送ってはダメなんだ。必ず対面で、キチンと
説明しなくてはならない。営業に自信があるなら、どんな質問をされても問
題ないと思うだろう。その『非言語データ』が対面なら伝わる」


部下 :
「空気で、お客様を動かす、ということですね?」


マネジャー :
「空気……。確かに、極端な表現をするとそうかな」


部下 :
「参考になりました。私は必要のない情報を入手しても、相手に言語データ
として伝わらないのなら意味がないと思っていました。やっつけ仕事で提案
書を作ってきたわけではないですが、なぜ提案で負け続けているのかわかっ
た気がします」



……営業はお客様を満足させるために、徹底的に準備する必要があります。

もちろん準備した内容がお客様のニーズと合致するように努力するわけですが、
たとえ合致しなくとも、お客様を満足させようとしたそのプロセスそのものは、
お客様に伝わります。

お客様のために「100」のことを準備し、その「100」のことがお客様に
伝わらなくても、「100」準備したという営業の自信が「非言語データ」と
なってお客様を満足させ、この人は信頼できるという安心感・誠実さを与える
からだと思います。

ところで先週の号外メルマガで案内した下記コラムは、お盆休みなのに2日間
で「2万5000PV」を記録しました。

この内容でこのPV数は記録的です。

否定的な反応は想像以上に少なく、「もっと激しく書いてもよかったのに」と
いう声が多勢でした。ご参考まで。


■ 現代の「営業」にとって最も重要なこと
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140815-00038258/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

昨日(8月17日)、知的障がい者のボランティア活動がありました。今年で
24年目となります。

ところが、ここ3年以上続けてきた「皆勤賞」が先月に途絶え、意気消沈して
いたのですが、今月からまた復活。

昨日、活動へ顔を出したら、多くの人から、

「横山くん、ついに皆勤賞、なくなったなー」

と言われました。保護者の方からも、

「横山くんが来な、はじまらんがね」

とも言われました。ありがたい言葉です。

昨日は料理室で「冷やし中華」を作り、保護者の皆さんを含め30名ぐらいで
食べました。

自分の年齢よりも続けているボランティア活動。

これまで何度も辞めようと思ったかわかりませんが、今では、最高の気分転換
の「場」のひとつとなっています。

私が心から楽しんで参加していると、それが伝わるのか、障がいを持った人々
も楽しそうに笑ってくれます。

それがたまらなく嬉しいですね。

2014年8月14日

「綺麗ごと」の営業改革【マイ・フレンド・ジョン】

● 今回のテクニック:【マイ・フレンド・ジョン(10)】

マイ・フレンド・ジョンとは、「話し手」の知人や知人を介して聞いた話、も
しくは「一般論」の中に、相手をイメージ誘導させたい内容を意図的に含ませ
る方法。

他人の体験も、自分の体験のように聞こえてしまい、「話し手」が直接的にリ
ーディングせずとも相手を誘導できる、説得技術。

「お客様の声」というのは、まさに「マイ・フレンド・ジョン」の典型例。

相手との深い信頼関係(ラポール)が必要であることが前提である。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「あ、部長」


マネジャー :
「おお、どうした。お盆休みなのに出社してきたのか」


部下 :
「ええ、雑務がたまっているものですから」


マネジャー :
「それにしても、参ったよ……」


部下 :
「どうかしたんですか」


マネジャー :
「先週末、広島の実家に戻って同窓会に参加した」


部下 :
「そういえば部長って、広島出身でしたよね」


マネジャー :
「そう」


部下 :
「同窓会で何があったんですか?」


マネジャー :
「地元で社長になった幼馴染から相談を受けた。営業組織を立て直したいっ
てな」


部下 :
「へえ」


マネジャー :
「私が営業部長になったと言うと、これからどう営業改革するかを聞いてく
れと言いはじめた」


部下 :
「同窓生の中でもリーダー的存在だったんですか?」


マネジャー :
「うーん、まァ、頼りにされることは多いかもしれん」


部下 :
「それで、その方はどんな営業改革をされようとしていたんですか」


マネジャー :
「これまで、時代に合ったスマートな営業活動をもっと目指すべきだと思い、
仕組みを活用した営業、お客様のニーズを聞き出して提案営業をしてきたら
しい」


部下 :
「へえ。うちと似ていますね」


マネジャー :
「具体的には、インターネットを活用したり、営業に情報武装させたりして、
けっこう投資をしてきたようだ」


部下 :
「なるほど……。その点も当社と似ていますね」


マネジャー :
「ソリューション営業をするための研修も、何度か実施したようだ」


部下 :
「そこも、当社とそっくりですね。私も盆明けに研修を受講します」


マネジャー :
「そいつ、全部ムダな投資だった、と言うんだ」


部下 :
「ええっ!」


マネジャー :
「その理由はひとつしかない。結果が出ていないからだ」


部下 :
「結果が、出ていない……」


マネジャー :
「スマートな営業を目指しすぎて、営業が大事なことを忘れたというんだ
よ」


部下 :
「大事なことって?」


マネジャー :
「つまり、その『結果』だ。『結果を出す』という意識が薄れた。仕組みや
提案……といった手段に営業の意識が向きすぎた、って」


部下 :
「……おおお」


マネジャー :
「社長になったその同窓生は言うんだよ。今回のことで、つくづく人は感情
で動くとわかった、と」


部下 :
「感情で?」


マネジャー :
「そう。これまで、どんな営業改革をしようとしても言うことを聞かなかっ
た営業が、ネットやチラシ、提案書を最適化して、時代に合ったスマートな
営業をしようと言ったら、とたんに前向きになったと」


部下 :
「……まるっきり、当社と同じじゃないですか」


マネジャー :
「つまり、その営業の意思決定そのものが『感情』によるものだ、と」


部下 :
「げ」


マネジャー :
「俺、そいつの話を聞いていて、汗が出てきたよ」


部下 :
「心なしか、私も汗が出てきました」


マネジャー :
「先月、そいつが営業部長を呼び出し、具体的な結果が出ていなくてもいい
が、今回の改革でどれぐらいの見込み客、どれぐらいの商談が増えるのか、
仮説でいいから言ってくれと問い掛けたら、まったく答えられなかったらし
い」


部下 :
「つまり、営業の皆さん自身が、まったく論理的に考えていないということ
ですね」


マネジャー :
「もし俺が社長に呼び出され、そう問い掛けられても、答えられん」


部下 :
「……わ、私も」


マネジャー :
「感情に訴えるだけではダメだけれど、営業にとって大切なことを私は忘れ
ていたかもしれん」


部下 :
「営業もお客様も人間ですからね。反省します」


マネジャー :
「お盆明けから、当社も考え直さなくいけないな」


部下 :
「はい」



……人は「感情」によって動く生き物です。お客様も、何となくの「感情」に
よって意思決定をすることが多いのです。

すべての選択肢を吟味したうえで「経済合理性」に基づいて判断しているわけ
ではありません。

にもかかわらず、お客様が「論理的」に意思決定しているものだとし、「売れ
ない理由」が「品質」「価格」「納期」(いわゆるQCD)にこそあると思い
込む営業がいます。

そして、もっとお客様のニーズに合った提案をしなければと悩み、泥臭い営業
ができなくなっていきます。

この営業の悩みこそが「経済合理性」に基づいておらず、単なる「感情」に左
右されていることが多いのです。営業に、今の活動の論理性を尋ねれば、すぐ
に判明します。

明日の「号外メルマガ」で、詳しく解説します。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

これまで「絶対達成マネジャー特訓コース」という連続講座を当社で開いてき
ましたが、

10月からは「予材管理インストラクター養成コース」も併設する予定です。

これは社内で「予材管理」を普及するための知識と、社内特有の事情も踏まえ
たうえで予材管理をカスタマイズできる力を備えることがゴールのコースです。

「絶対達成マネジャー特訓コース」は、部下の行動をロックすることを義務付
けていますが、

「予材管理インストラクター養成コース」は知識習得が目的ですので、講座を
連続受講する必要はありません。「単位性」です。

しかしながら「テスト」に合格しなければならないこと、社内での適用状況を
レポートするなどの義務を課す予定です。

また、メルマガにてアナウンスしていきます。

2014年8月11日

ブチ切れる社長、職場放棄する部長【恐怖アピール】

● 今回のテクニック:【恐怖アピール(5)】

恐怖アピールとは、相手の恐怖感情や危機意識をアップさせることで説得効果
を得る方法。

恐怖喚起コミュニケーションとも言う。

「もしもこうしたら/もしもこうしなかったら、どうなるかわかるか?」とい
う、表現で相手をリーディングする。

恐怖体験が臨場感たっぷりに味わえるかどうかがポイント。

当然のことながら多用は禁物。多用すれば、当然のことながらラポール(信頼
関係)は崩れていく。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「課長、まだ帰国されませんか?」


マネジャー :
「ああ。まだだ」


部下 :
「社長がアメリカへ行ってから、もう1週間が過ぎました」


マネジャー :
「そうだな……。本当にマズイ」


部下 :
「正直申し上げて、社長には失望しました。どうせなら、もう少し違う行動
に出てもらいたかったです」


マネジャー :
「う……ん」


部下 :
「そう思いませんか、課長」


マネジャー :
「経営会議で完全にブチ切れたからな……。業界の伸長率と比べても、4月
から業績は悪化の一途。まァ、わからないでもないけど」


部下 :
「それにしても、海外へ逃避行するなんて……」


マネジャー :
「一応、アメリカへの出張扱いだよ。『ブチ切れ出張』であることは間違い
ないけど」


部下 :
「連絡は取れないんですか?」


マネジャー :
「部長だけが行先を知ってる」


部下 :
「部長はどうしたんですか」


マネジャー :
「部長は……長期休暇だ」


部下 :
「そうですよね。長期休暇ですよね」


マネジャー :
「ああ」


部下 :
「どうなってるんですか、この会社……」


マネジャー :
「社長の意向で、業績回復のため、部長がいろいろな行動計画を設定したの
に、誰も言うことを聞かない。ある意味、しょうがないだろう」


部下 :
「しょうがないって……職場放棄でしょう」


マネジャー :
「一応、体調不良ってことになってる」


部下 :
「体調不良って……この前の週末、スポーツジムでばったり会ったと、経理
の人が言ってましたよ」


マネジャー :
「そ、そうか」


部下 :
「ヒドすぎませんか? 社長も、部長も」


マネジャー :
「ヒドい、か……」


部下 :
「ヒドい、でしょう」


マネジャー :
「……」


部下 :
「……」


マネジャー :
「……」


部下 :
「いやァ……」


マネジャー :
「……」


部下 :
「私たちも、ちょっと、ヒドかったかも……」


マネジャー :
「そうだな」


部下 :
「……」


マネジャー :
「社長が期待していたことを裏切ったのは私たちだし、部長が指示したこと
を無視し続けたのも私たちだ」


部下 :
「ええ……」


マネジャー :
「もう、何度も言われたものな」


部下 :
「はい。何度も、何度も、言われました」


マネジャー :
「そのたびに、何度も、何度も、『できない理由』を言い続けた」


部下 :
「はい。言い訳ばかり言い続けました。わかってるんです……」


マネジャー :
「そりゃあ、もうブチ切れるって」


部下 :
「3年ぐらい前から、ずっと社長は根気よく待っててくれたのに」


マネジャー :
「あの温和な社長がブチ切れたんだ。よっぽどだろう」


部下 :
「責任感の強い部長も、そうですよね。私たちが依存し過ぎたんでしょう。
なんでもやってくれました。何か困ったことがあると、お客様のところへも
駆けずり回ってくださいました」


マネジャー :
「昨日、経理部の課長が銀行に呼び出されていた」


部下 :
「……え」


マネジャー :
「社長が海外へ行く前、当社の財務内容をすべての社員に開示しただろう」


部下 :
「はい……。あまり、よくわかりませんでしたが」


マネジャー :
「借金や資本はこれだけあるから、後は何とかしろ、というメッセージかと
思った」


部下 :
「マジ、ですか」


マネジャー :
「社長と部長を除く幹部は、財務のこともよくわからない。重要顧客とのリ
レーションも取れない」


部下 :
「このまま社長と部長が現場復帰しなかったら、どうなるんですか? 会社
は倒産するんですか?」


マネジャー :
「会社が倒産するとか、そんなこと以前に、株を持っている社長の親族が黙
っちゃいないぞ。銀行への対応も誰がやるのか。それに9月になったら新入
社員が2人入ってくる」


部下 :
「……」


マネジャー :
「会社を立て直すことより、会社を清算することのほうがよっぽど大変だ。
法的手続きなど、どうすればいいかまったく見当がつかない」


部下 :
「何だか、私も逃げたくなってきました」


マネジャー :
「君が受け持っている顧客は40社あるはずだ。その40社のことを考えた
ことがあるか?」


部下 :
「……ああ」


マネジャー :
「その40社との取引き、やめられるのか?」


部下 :
「や、やめられるわけありません。ものすごく迷惑をかけることになりま
す」


マネジャー :
「そうだろう?」


部下 :
「あああ、こんなことなら、社長をブチ切れさせるんじゃなかったです。と
いうか、部長が仰ってきたことをもう少しマジメに聞けばよかった」


マネジャー :
「部長は特にこの2年間、6回、私たちと大きな話し合いを持った。ひとり
ひとりと面談をして、懇切丁寧に組織改革の必要性を訴えてきた。にもかか
わらず、私たちは無視し続けてきたんだ」


部下 :
「うううう、自業自得かも……。社長と部長を責められませんね」


マネジャー :
「いずれにせよ、私たちが大幅に行動を変えない限り、2人の現場復帰はな
いと思わないと」


部下 :
「もう、こうなったら、何でもやりますよ――」



……現実的に、このようなことはあり得ませんが、何か(誰か)に依存し過ぎ
ると人は傲慢になります。

自分の主体的な行動によってどれぐらいの成果が出ているか、わかりづらくな
るからでしょう。

寄りかかっていたものがなくなったときはじめて、その存在の大きさ、自分の
愚かさに気付くのでは遅いですね。最悪の事態になる前に、謙虚さを取り戻す
きっかけが欲しいです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

フェイスブックにも書きましたが、この週末、私はかなり料理をしました。

具体的には、

ニラが多めの餃子、エビとマッシュルームのアヒージョ風オイル漬け、トウモ
ロコシ2本使った卵スープ、餃子の具材で作った麻婆豆腐、余った餃子と野菜
のスープ、ナスの厚切りステーキ、そして食パンをオーブンで焼いてラスク風
にし、砂糖とバターと牛乳で作ったキャラメルソースに絡めたおやつ……など。

(ナスをごま油でじっくり焼き、ポン酢につけて食べる簡単レシピが意外と美
味しかった)

すべての料理が成功したとは言い難いですが、それでも集中して繰り返してい
ると、準備 → 調理 → 片付けなどの「ダンドリ」が少しずつ上手になってい
きますね。

複数の料理をマルチタスクで処理するとき、限られた台所スペースに、どのよ
うに材料を置くか、調理具を配置するかを考えようとします。

片づけをしながら料理するのが下手でしたが、それも少しずつできるようにな
ってきました。

もっと美味しいものを作りたい、もっと効率的に調理したい、冷蔵庫にある限
られた素材でできるものは何か? ……などと考えていると、楽しくなってい
きます。

「より成長したい」という意識をもって「場数」を踏んでいると、成長の実感
が感じられて楽しくなりますね。

2014年8月7日

3種類の「表情」で人を動かす【プラシーボ効果】

● 今回のテクニック:【プラシーボ効果(14)】

プラシーボ効果(プラセボ効果・偽薬効果)とは、実際には効き目のない偽薬
を処方しても、薬だと信じて相手が服用することで、何らかの治療効果がみら
れることを言う。

暗示効果のひとつである。

もちろんのことだが乱用はご法度だ。

行動を変革させるためとはいえ、相手を騙すことにかわりはない。営業マネー
ジャが「狼少年」にならないよう気をつける必要がある。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「何が違うんでしょうね。私にはいっこうにわかりません」


マネジャー :
「何が?」


部下 :
「Tさんです。私もTさんも女。年齢も25歳。営業トークの内容も同じで
す」


マネジャー :
「営業トークが同じ?」


部下 :
「そうです。私もTさんも、J課長の門下生です。トークスクリプトを作っ
て徹底的に練習して体で覚えています」


マネジャー :
「なるほど」


部下 :
「にもかかわらず、営業成績が全然、違うんです」


マネジャー :
「今期は差がついたなァ。3倍ぐらいか」


部下 :
「そうです。3倍ですよ、3倍」


マネジャー :
「そうだよなァ、驚いちゃうよ」


部下 :
「部長はどうしてだと思いますか? お客様の選定に問題があるのかと思っ
たんですが、絶対にそれだけじゃないんです」


マネジャー :
「うーん……」


部下 :
「部長は、何かわかってるんですよね?」


マネジャー :
「え」


部下 :
「私とTさんとの差です」


マネジャー :
「ああ」


部下 :
「顔に出てますよ」


マネジャー :
「えっ」


部下 :
「『俺は君たちには決定的な違いがあることを知っている』という表情をし
ています」


マネジャー :
「表情、か……」


部下 :
「部長はすぐ顔に出るんです」


マネジャー :
「その、表情だよ」


部下 :
「え?」


マネジャー :
「Tさんと、君との違いは、表情の違いだ」


部下 :
「表情……?」


マネジャー :
「ちょっと実演してもらいたいんだけど、君がお客様から注文をもらったと
き、どんな風になるか、表現してくれたまえ」


部下 :
「わかりました」


マネジャー :
「本気でやってくれよ」


部下 :
「『お客様、ご注文ありがとうございます。それでは、これから諸手続きに
ついてご説明を――』」


マネジャー :
「はいはい、ダメダメ」


部下 :
「ええっ!」


マネジャー :
「本気でやってくれ、と言ったじゃないか」


部下 :
「本気でやりましたよ」


マネジャー :
「じゃあ、もう1回やってみて」


部下 :
「ええー……」


マネジャー :
「やれないか?」


部下 :
「だって恥ずかしいじゃないですか。何度やってもさっきと同じです」


マネジャー :
「うん。そうだよね。たぶん、そうだと思う」


部下 :
「部長、やっぱり何か知ってるんですね? 私の問題点を知ってるんでしょ
う? 部長の表情が物語っています」


マネジャー :
「だから、その『表情』だって。君の表情だよ」


部下 :
「ひょ……」


マネジャー :
「君は表情がない」


部下 :
「えっ……」


マネジャー :
「表情の変化が乏しいんだ。ちょっと、笑ってみて」


部下 :
「……は?」


マネジャー :
「笑ってみてよ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「笑ってるように見えないな」


部下 :
「突然、そんなこと言われても、無理ですよォ」


マネジャー :
「Tさんは、できる」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「さっきから気になってるんだけど、君はどうして恥ずかしがるんだ? Tさんは恥ずかしいと思っても、必ずやるよ」


部下 :
「ええ……」


マネジャー :
「生理的に受け付けないようなことをお願いしているわけではない。お客様
にわかるように『笑顔』を作ることに恥ずかしがるなんて、プロとしておか
しいだろう」


部下 :
「プロ……」


マネジャー :
「君はプロの営業だろう? 表情をもっと豊かにし、『ギャップ』を創造し
て相手に心理的インパクトを与えるんだ」


部下 :
「わ、わかりました」


マネジャー :
「君は高校、大学時代、演劇部だったんだろう?」


部下 :
「そうなんです」


マネジャー :
「だからこそ、言うんだ。恥ずかしがるなんておかしいよ。Tさんは演劇も
落語も習ったことがない。毎日鏡を前にし、1年以上かけて、表情を作って
きたんだ」


部下 :
「そんな努力をしていたんですね」


マネジャー :
「表情には『オープンフェイス』『ニュートラルフェイス』『クローズドフ
ェイス』の3種類がある。これを使い分ければ、絶対にうまくいく」


部下 :
「表情の変化でうまくいくんですか」


マネジャー :
「表情の変化さえできれば、何事もうまくいくよ」


部下 :
「わかりました! そう信じて練習します!」


マネジャー :
「その表情、すごくいいねえ」



……「オープンフェイス」「ニュートラルフェイス」「クローズドフェイス」
の表情を活用して『ギャップ』を創造し、人を動かす技術をコラムで紹介しま
した。


■3種類の「表情」で人を動かす技術
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140807-00038064/


また、表情に関わるコミュニケーション技術は、DVD4でも詳しく実演つき
で解説しています。「サイクロプステクニック」「コンピタンス」「ライカビ
リティ」……等。

表情に関して無頓着な人が多いですが、人を動かすうえで、とても大きな要素
です。知識だけでも知っておけば、これまで意識してこなかったことが意識で
きるようになりますね。

◆ Vol.4「主導権を握る! 科学的な説得/コミュニケーション技術」編
http://attax-sales.jp/products/911.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

私だけかもしれませんが、有吉弘行さんのラジオを聴いていても、あんまりイ
ンパクトがありません。

コラムにも書いたとおり、やはりテレビで、あの表情の変化を目の当たりにす
るから、あの毒舌が生きてくるのだと思います。

リアクション芸人に代表されるように、表情を変化させることで、周囲に大き
な影響を与えられる。芸能人の所作は参考になりますね。

いつも「コミュニケーション研修」の中でリアクションの取り方をレクチャー
します。

芸能人のように大げさにやればいいというものではないですが、ほとんどの人
が「他人から見てリアクションしているように見えない」ことが大きな問題だ
と感じています。

2014年8月4日

誤解されてもいい人(3つのパターン)【ランチョンテクニック】

● 今回のテクニック:【ランチョンテクニック(13)】

ランチョンテクニックとは、飲食をともにしながら相手と交渉するテクニック
を言う。

料理を楽しみたいという思いから、食事の最中は対立を避けようとするため、
要望や交渉事が受け入れやすくなる。

心理学者のグレゴリー・ラズランが研究し有名となった技。料理のみならず、
その場の雰囲気も楽しみたいという生理的欲求も湧き上がるため、できれば格
式の高いところを選ぶのが良い。

政治家がよく使う手法である。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「ここの寿司屋、来たことがあるか?」


部下 :
「今日がはじめてです。このちらし寿司すごいですね」


マネジャー :
「これが伊勢海老、煮穴子、車海老、いくら、雲丹こっちが子持ち若布だ。
意外と豪華だろ?」


部下 :
「味もいいですが、見た目が豪華です」


マネジャー :
「そうそう。このちらし寿司は目を楽しませてくれるよ」


部下 :
「こんなに見た目が派手だと、味はイマイチかと思っていましたが、意外と
そうでもないですね」


マネジャー :
「食べてみないとわからないものだけど、そういう誤解はあるよな」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「ところで、総務の係長とのことだが」


部下 :
「ああ……正直言って引きずっています。いまだに許せない気持ちが大きい
です」


マネジャー :
「もう一本、ビール飲むか?」


部下 :
「あ、はい。……すみませーん、ビールもう一本追加してください」


マネジャー :
「何が発端だったかは、もういい」


部下 :
「そうでしょうか。もう一度、私の話を聞いてもらいたいです」


マネジャー :
「気持ちがおさまらないか?」


部下 :
「係長は私よりも10歳以上、年上ですし、社歴も長いですから、それなり
に敬う気持ちはあります。しかし、誤解も甚だしいですよ」


マネジャー :
「A社の2000万は、確かに君の案件だった」


部下 :
「そうです。それをMさんの案件だったと言い張るんです、係長は」


マネジャー :
「君がA社の予材をいったんはM君に渡した。M君の目標が達成しそうにな
いから、君が保有していた予材資産をおすそ分けしたんだ」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「ところがMさんは全然スピード感がない。A社の担当の要望に応えられな
かった」


部下 :
「A社から直々に連絡があり、私に対応してくれと指名されたんです。仕方
なくMさんと一緒にお伺いしました」


マネジャー :
「すると、A社は『Mさんと一緒には来ないでくれ』と」


部下 :
「よほど、Mさんはひんしゅくを買ってたんでしょうね。私ひとりでA社の
案件に対応して2000万円の仕事をとりました。でも、最初はMさんにそ
の数字はつけたんです」


マネジャー :
「ところが営業部長が君の数字にしたんだ」


部下 :
「はい。ややこしい話になるんで、Mさんの数字でいいと私は言ったんです
が」


マネジャー :
「しかし、その判断は部長が正しいだろう。M君はこの案件にほとんどタッ
チしていない」


部下 :
「まァ、そうですけど、結局そのせいで、話がねじれてねじれて……」


マネジャー :
「まさか総務の係長が出てくるとはな」


部下 :
「Mさんと係長が同期なんですよね?」


マネジャー :
「そうそう……。おいおい、そんなに一気に飲むな」


部下 :
「総務部長が社長にまで進言した、と聞きました」


マネジャー :
「ああ、そうだよ」


部下 :
「そうですか……。総務の中で、私はひどい悪者なんでしょうね」


マネジャー :
「そんなに飲むなって」


部下 :
「社長には、本当にお世話になってます。中途採用の面接のとき、社長だけ
が私を評価してくれたと聞きました」


マネジャー :
「そうか」


部下 :
「この会社に入れたのは、社長のおかげです。私が迷っていたとき、いつも
社長から声をかけてくれました」


マネジャー :
「うん」


部下 :
「今朝、社長に呼び出されました。『お前がそんな奴だとは思わなかった。
とても残念だ』って」


マネジャー :
「そうか」


部下 :
「誤解、なのに」


マネジャー :
「そうだ。これは誤解だ」


部下 :
「何だか、ものすごく悔しいです」


マネジャー :
「そうか?」


部下 :
「……は?」


マネジャー :
「君の直属の上司は、課長の私だ。そして私の上司は部長だ。私たちは君の
ことを誤解してはいない」


部下 :
「……」


マネジャー :
「あのA社の案件は、君の手柄だ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「あのままM君に任せていたら、とれなかった」


部下 :
「はい……」


マネジャー :
「社長が君の実績から2000万円を差し引くと言っていた。この措置がと
られると、君は今期の目標が未達成に終わる」


部下 :
「はい。それはいいんです。もともとMさんに渡すつもりでしたから。私の
力不足です」


マネジャー :
「自動的に、今期の評価は2段階、落ちるだろう」


部下 :
「……」


マネジャー :
「残念か」


部下 :
「……どう、でしょうか……」


マネジャー :
「……」


部下 :
「私に、力がないから、仕方がないんじゃないでしょうか」


マネジャー :
「……」


部下 :
「今日は、飲ませてください……。お願いします」


マネジャー :
「今期の評価が落ちるだけだ。それだけのことだ」


部下 :
「それだけの、こと、ですか……」


マネジャー :
「ビールではなく、お茶でも飲むか?」


部下 :
「けっこうです」


マネジャー :
「……」


部下 :
「評価なんて、どうだっていいんです」


マネジャー :
「これは、まだオフレコにしてもらいたいことだが」


部下 :
「え」


マネジャー :
「2年後に、営業部長が社長に就く」


部下 :
「ええっ!」


マネジャー :
「君は、誰に誤解されていいか、誰に誤解されていけないかを知っておくべ
きだ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「さあ帰れ。君が一番誤解させてはならないのは、君の家族だ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「部長と、私に任せておけ」



……他人から「誤解」されることを100%避けることはできません。

「距離感」「接触頻度」「重要度」の3つのファクターで、誤解されてもいい
人、誤解されてはいけない人を区別しましょう。

ちなみに、

私はネット上でいろいろな情報を配信していますので、良くも悪くも誤解され
ることが多いです。

そんなとき、いつも頭に思い浮かべる名言があります。それは孫正義氏の「高
次元の批判は成果を高め、低次元の批判は忍耐力を高めてくれる」です。


■「誤解されてもいい人、誤解されてはいけない人(3つのパターン)」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140508-00035116/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

8月29日(金)に、第3回目となる『絶対達成ウーマン養成講座』を開催し
ます。
http://wa-mama.com/schedule/yo0035/

私の草の根活動のひとつです。すでに定員の20名は超えていますが、追加募
集します。

5月に開催された2回目の講座レポートは、こちらです。
http://wa-mama.com/report/yo0034/

やることが多すぎて頭が整理できない人は、「りんご管理」で脳のワーキング
メモリーをデトックスしましょう。

(女性限定です)