2014年7月30日

「私ばっかり」という人へ……【エレン・ランガーの循環論法】

● 今回のテクニック:【エレン・ランガーの循環論法(6)】

「それらしき理由」がある場合、人は説得されやすくなる。これを証明したの
がエレン・ランガーであり、エレン・ランガーの循環論法とも言う。

循環論法とは、結論の真理が前提の真理に依存し、その前提の真理はそのまた
前提の真理に依存する……。というように、AだからBであり、BなのはCだ
からであり、CなのはAだからである……というように、論拠がぐるぐる循環
していること。

思い込みが思い込みを呼び、頭をどんなにひねっても、その思い込みの根拠が
別の思い込みによって証明される場合、解決しようがない。

ここで紹介するランガーの循環論法は、少し乱暴な説得技術のように聞こえる
が、人間は説得される「理由/証明」を探しているのかもしれない。

「コピーをとらせてもらえませんか?」

と聞くと60%の承諾率だが、

「コピーをとらないといけないので、コピーをとらせてもらえませんか?」

と質問すると承諾率は93%に跳ね上がる。「理由」になっていなくても、
「それらしき理由」があれば、人は説得されやすくなる。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「どうして私が1億2000万円の目標なんですか? 他の営業は、全員1
億円なのに」


マネジャー :
「君の場合、すでに1億円が見えている。他の営業とは前提が違うんだ」


部下 :
「しかし、それは私が過去、お客様と関係を構築してきた歴史があるからで
す。その分だけ私の目標が引き上げられるなんて、おかしいじゃありません
か」


マネジャー :
「おかしいかな」


部下 :
「おかしいですよ。結果を出せば出すほど、目標が引き上げられるんだった
ら、結果を出さないほうがラクです」


マネジャー :
「……うーん」


部下 :
「それに、今度の新商品発表会のプロジェクト、私がプロジェクトリーダー
に任命されました」


マネジャー :
「君が適役だと思ったからだよ」


部下 :
「毎年プロジェクトリーダーは開発部から選出されたと思います。どうして
今年は営業部からなんですか」


マネジャー :
「だから、君が適役だと思ったから私が推薦したんだ」


部下 :
「課長が推薦した? どうして私ばっかり、こんな仕事をやらされるんです
か?」


マネジャー :
「こんな仕事?」


部下 :
「いや、こんな仕事、というのは言い過ぎかもしれませんが、いくらなんで
も不公平です」


マネジャー :
「そんなに不公平か?」


部下 :
「不公平ですよ。同期入社した人の中でも、私ばっかり負荷が大きい気がし
ます」


マネジャー :
「負荷って、どういう負荷なんだ」


部下 :
「先ほども言ったとおり、私は同期はおろか、先輩よりも高い目標を言い渡
されています。さらに、より責任の重い仕事も任されています」


マネジャー :
「それが負荷なのか」


部下 :
「そうですよ。給料なんてそんなに変わらないじゃないですか。それだった
ら、仕事をこなすだけ損するばかりです」


マネジャー :
「本当に、そうなの?」


部下 :
「え」


マネジャー :
「本当に、損なのか?」


部下 :
「……」


マネジャー :
「君は、本当に、他の人よりも、損をしているのだろうか?」


部下 :
「……」


マネジャー :
「君はすごくテキパキと仕事をこなす。だから少なくとも他の人よりも労働
時間は長くない。残業もほとんどない」


部下 :
「そりゃ、そうでしょう。それだけ創意工夫しているからです。他の人だっ
て、もっと効率的に仕事すればいいんです」


マネジャー :
「まったくその通りだ。まったくその通り」


部下 :
「だったら……」


マネジャー :
「先日、君が全同僚に配布したレポートを読んだ。どのように業務効率化す
ればいいかを、実体験に基づいて記してあった。あの7枚のレポートを作る
のに、どれぐらいの時間がかかった?」


部下 :
「あれは45分です。レポートに書いたとおり、作業をする前に、どれぐら
いの時間がかかるか仮説を立てていますので、明確に覚えています」


マネジャー :
「うん、そうだな。あの7枚のレポートを45分で作成するんだ」


部下 :
「ゼロから作ったのではなく、本を読ん得た知識を自分なりにカスタマイズ
した内容です。ですから45分でできて当たり前です」


マネジャー :
「内容もそうだが、文章も読む人がわかりやすいように工夫してあった。フ
ォントのサイズ、装飾、そしてイラストまで挿入されていた」


部下 :
「あれぐらいのレポートなら、簡単にできますよ」


マネジャー :
「簡単か……」


部下 :
「そうですよ、簡単です。あんなの」


マネジャー :
「それが簡単じゃない人も、いるんだよ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「君は入社したときから、人前でプレゼンさせても上手だった。よどみなく、
自分の考えを整然と話すことができた。はっきり言って社会人としてポテン
シャルが高く、おそらく営業だけでなく、何をやらせてもうまくいくタイプ
だ」


部下 :
「そうでしょうか? 私は誰でもできることをやってるだけです」


マネジャー :
「意外と、できないものなんだ」


部下 :
「それって、ただの努力不足じゃないんですか? 私は同期と比べて有名大
学も出ていませんし、すごい資格を持っているわけでもありません。普通に
仕事をこなしてるだけです」


マネジャー :
「ただの努力不足って……」


部下 :
「だってそうじゃないですか。不公平ですよ。私ばっかり、大変な仕事がま
わってくるんですから」


マネジャー :
「そうだなァ……」


部下 :
「……」


マネジャー :
「そこまで言うなら、目標を下げてみるか。そしてプロジェクトリーダーも
降りてもらおう」


部下 :
「……」


マネジャー :
「確かに、私は都合よく、君にばかり仕事を押し付けてきたかもしれない」


部下 :
「……じゃあ」


マネジャー :
「……」


部下 :
「ど、どうするんですか。目標とか、プロジェクトは」


マネジャー :
「私がやるよ。私の目標を上乗せする。プロジェクトも私の管轄とする」


部下 :
「そんな……。他にも、できる人がいるはずです」


マネジャー :
「君の目にどう映っているかわからないけれど、他のメンバーも大幅にやる
ことを増やしてるんだ。その人のポテンシャルとペーシングしなくちゃいけ
ない」


部下 :
「だ、だって……。課長も、ものすごく仕事を抱えてるじゃないですか」


マネジャー :
「私にもそれなりのポテンシャルがある。あんなレポートを45分では完成
できないけど」


部下 :
「……」


マネジャー :
「正直なところ、私には、そんなに大変な仕事には思えないんだ。だから君
に任せた。君ならできると思ったから。本当に、それだけなんだよ。大して
理由などない」


部下 :
「……でも、課長ばっかり仕事を抱え込んで、不公平だと思わないんです
か?」


マネジャー :
「うーん、君は不公平って言うけど、そんなに不公平なのかなァ」


部下 :
「不公平ですよ。絶対に、そう思います。課長は鈍感じゃないんですか?」


マネジャー :
「不公平さに敏感になってたら、いつまで経っても幸せは訪れないと思う
よ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「職場でもそうだし、家庭でもそうだし、地域社会でもそうだと思う」


部下 :
「……」


マネジャー :
「自分に与えられた仕事だから、やる。それだけだ。労働時間が超過するな
らいけないけれど、ね」


部下 :
「課長……」



……業務の負荷バランスを考えることは重要ですが、「最適化」できるかとい
うと、それは別の話。

将来において「目指す」のですが、今は現時点で「できる」ことを考えなけれ
ばなりません。

何らかの負荷を背負うとき、気をつけなければならないのは「労働時間」だと
思います。

労働時間内に終わることであれば、「どうして私ばっかりやらなくてはならな
いのか」「あの人は遊んでいるのに」「不公平だ」「手当をもっと増やしてほ
しい」という思考ノイズは、いったん横に置いたほうがいいですよね。

狭い世界で「公平さ」を求め過ぎても、ハッピーにはなれないと思うからです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

妻が持てないという荷物があれば、私が持とう。

部下ができないというノルマがあったら、私がやろう。

隣人が病気だというなら、私が代わりにどぶ掃除をしよう。

ギリギリまで本人に託したいけれど、最後の最後まで粘っても「ムリだ」と言
われたら、すべて自分が代わりにやる。

「なんでこうなるんだ」「世の中、不公平だ」「どうして自分ばっかり」と言
っても、何も解決しない。

誰にも讃えられなくても、評価されなくても、「よくやってるよね」と言われ
なくても、

「人として」そういうものだと受け止めてしまえば、別にいいんじゃないか、
と私は思うようにしています。

葛藤することが多いですが。

2014年7月28日

「予材管理」の最大の勘違いとは?【アンダードッグ効果】

● 今回のテクニック:【アンダードッグ効果(9)】

アンダードッグ効果とは、弱い立場にある人や不利な状況に追い込まれている
人を見ると、人間誰しも応援したくなるものである。もしその方々の一所懸命
に努力する姿を目の当たりにする機会があれば、その思いはいっそう高ぶるも
の。そんな心理効果をアンダードッグ効果といい、「負け犬効果」ということ
もある。

選挙予測報道で不利とされた候補者に同情票が集まるなどの効果も、このアン
ダードッグ効果のひとつ。

部下とのコミュニケーションに活用するためには、上司自身がプライドを捨て
なければならなかったり、多少の演技も要求される。このことなどから、現実
的にはなかなかに難しい。多用もできないだろう。

それよりも、部下にアンダードッグ効果を使われないよう気をつけておく必要
があるかもしれない。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「明日の会議資料、できたのか?」


部下 :
「はい。目標達成に向け、現在どのような商談があるかを書いてみました」


マネージャー :
「おいおい、4社の商談しか書いていないぞ……。どういうこった」


部下 :
「でも、お見せできるのは、これぐらいですよ」


マネージャー :
「お見せできるのはこれぐらい? 現在、既存のお客様、17社をピックア
ップして回っているじゃないか。それに新規の開拓のために70社にアプ
ローチをかけているだろう」


部下 :
「ええ、もちろん。それはやっています。アプローチを継続してやっている
せいで、実際にお客様からお声がかかることが増えました」


マネージャー :
「それだったら、商談が4社しかないというのはおかしいじゃないか。これ
だったら、去年とまるで変わり映えしない……」


部下 :
「しかし、実際にはこれぐらいしかお見せできる商談はないのです。とはい
え、サボっているわけではないんです」


マネージャー :
「そんなことわかっているよォ」


部下 :
「どうされたんですか」


マネージャー :
「もう、本当に、ちゃんと予材管理をやってくれないかな……。社長が疑心
暗鬼になってるんだよ。結果が出ないなら部課長を全員交代させるって」


部下 :
「ええっ?」


マネージャー :
「君たちみんな一所懸命やってるのは、部長や俺たち課長にはわかるけど、
社長までには伝わらないんだ」


部下 :
「……社長には、伝わらない」


マネージャー :
「君がキチンと行動していることを知らせるためにも、正しい予材を書いて
くれ。具体化された商談だけでなく」


部下 :
「わ、わかりました。申し訳ありません。しかし、実のところ、予材と商談
と何が違うのかよくわからなくて」


マネージャー :
「今さら何を言ってるんだよ……。たとえば最近、M社へ積極的にアプロー
チしているだろう。M社の今期の予材はいくらだ?」


部下 :
「えっ? そ、そんなことわかりませんよ。まだM社のキーパーソンである
管理部長との接点が、それほどとれてないんですから」


マネージャー :
「そんなことわかってるって」


部下 :
「だったら……」


マネージャー :
「私にはM社の今期の予材がいくらか、わかるよ」


部下 :
「ええっ? どうして課長が?」


マネージャー :
「M社の今期の予材は300万だよ。部長だって知ってる」


部下 :
「300万? どこから、そんな数字が……」


マネージャー :
「当社の商材Zに対するM社の取扱量は、絶対理論値で年間3000万円ぐ
らいだ」


部下 :
「……そ、そうかもしれません。だいたいそれぐらいでしょう」


マネージャー :
「現時点で当社がM社と取引している量は年間600万円。理論値からする
と全体の5分の1程度にすぎない」


部下 :
「そうです。競合他社を崩すことができていませんから」


マネージャー :
「私はM社へ食い込める理論上の最大ポテンシャル3000万円のうち、実
質ポテンシャルを1500万円とみている」


部下 :
「1500万っ!? 半分、当社がとるんですか?」


マネージャー :
「そうだよ。というか、それぐらいの気概がなくてどうするんだよ。仕事が
来たら受けるが、来なければ受けないという姿勢の営業に、誰が仕事を頼も
うと思うんだ」


部下 :
「まァ、確かに」


マネージャー :
「ポテンシャルを少なく見積もると、そのポテンシャル以上の成果には恵ま
れないじゃないか。『予材』を考えるのだから、これでいいんだ」


部下 :
「なるほど」


マネージャー :
「M社との取引額を1500万円に引き上げるのに3年かかるとし、あと9
00万円の拡大額を、3年で割ると毎年300万円となる」


部下 :
「……おお」


マネージャー :
「だから今期のM社の予材は300万円だと私は考えた。予材は、具体化し
た商談ではなく、自分の目標を達成させるために必要な仮説。その仮説を立
てるための情報を、君が日ごろから収集しているかどうか、だよ」


部下 :
「そ、そうですね……。お客様のところへ行くのは『交渉』のためだとばか
り考えていました」


マネージャー :
「そう考えると、予材はいくらでも出せるはずだよ。社長だって、予材が見
えないと本当に不安になる。だから部下を責めたくなるんだ。社長は私たち
を全然信用していない」


部下 :
「な、なるほど」


マネージャー :
「『お見せできるような商談はこれぐらいしかない』だなんて、言わないで
くれよ。希望が見えなくなる。組織の空気を良くするために、ちゃんと予材
を正しく定義し、見える化してほしい」


部下 :
「私はまったく勘違いしていました。予材の量は、希望の量でもあるんです
ね」


……上司から期待されるのがイヤで、仕掛かっている商談・案件を隠す人がい
ます。

「隠す」という習慣は、組織の「空気」を悪くします。

「予材管理表」のみならず「予材管理5つ道具」があれば、隠しようがなくな
り、目標達成の希望が見えるようになります。

「予材管理5つ道具」を紹介したDVDがありますので、興味がある人
は参考にしてください。


■「予材管理5つ道具」ご紹介DVD
http://attax-sales.jp/products/2383.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

今年になってから、異常なほどセミナー受講者が増えています。

特に東京地域は、定員どころか会場の収容人数を1ヶ月前の時点で超えてしま
うほど、集まります。

私どもにとって、とても嬉しい出来事ですが、受講したくても受講できない人
が大勢いることも事実です。

私どものセミナーを受講する方は、きわめて意識の高い人が多く、講師である
私ではなく、セミナー会場の雰囲気に感化されて「意欲」をアップされる方が
大勢います。

それが当社セミナーの最大の付加価値なのかもしれませんね。

8月の「コミュニケーション」をテーマにしたセミナーも、東京地区は会場に
入れないほど集まり、ずいぶん前に「満員御礼」となっています。

10月以降のセミナーは、最大人気の「絶対達成マインドセミナー」からス
タート。

以下のページをチェックし、関心のある方はお早めにお申し込みください。
お待ちしております!


※ 2014年のセミナー一覧
http://attax-sales.jp/seminar/single/schedule/s_2014

2014年7月25日

「予材管理」と「案件管理」の違い【カウンター・エグザンプル】

● 今回のテクニック:【カウンター・エグザンプル(8)】

カウンター・エグザンプルとは、物事に対して、ある「一般化」の思い込みを
している人に対し、それが真実ではなく、単なる思い込みに過ぎないことを気
付かせるテクニックである。

「一般化」の表現をしている人は、「みんな」「すべて」「いつも」という表
現をよく使う。

本当に「みんな」そうなのか? 本当に「すべて」そうなのか? 本当に「い
つも」そうなのか?

具体的な過去の体験について語ってもらうことにより、その思い込みを気付か
せることができる。

あいまいな表現をする人には「具体的に?」「たとえば?」という質問を使っ
てみよう。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「目標の2倍の予材を積み上げて、最低でも目標を達成させるようにしてく
れ」


部下 :
「はい。予材管理ですよね。わが部署でも予材管理はやっています」


マネージャー :
「予材は目標の2倍に達しているのか?」


部下 :
「2倍はないですが……。だいたいみんな、やっています」


マネージャー :
「2倍はない? 【具体的】に、どれぐらいなんだ? 曖昧な『ぼかし表
現』はやめたまえ」


部下 :
「具体的にって……。人それぞれです。でもみんな意識してやってます」


マネージャー :
「『みんなやってます』では、まったく具体性がない。【たとえば】Hさん
はどうなんだ」


部下 :
「Hさんの予材、ですか? けっこう積みあがってると思います」


マネージャー :
「だから……そういうぼかし表現はやめてくれ、と言ってるじゃないか。
『場の空気』が悪くなる」


部下 :
「そんなに曖昧な表現をしてますかね」


マネージャー :
「J君はどうなんだ?」


部下 :
「J君の予材ですか? どうでしょう……」


マネージャー :
「この前より増えたのか?」


部下 :
「この前の営業会議からですか? いえ、増えていませんが」


マネージャー :
「だったら1.2倍しかない。J君の予材、2倍には到底足りないよ」


部下 :
「そんなこと言われましても、みんなそんな感じですよ。目標の2倍なんて、
積みあがるわけありません」


マネージャー :
「予材資産はどれぐらい保有している?」


部下 :
「予材資産?」


マネージャー :
「予材ポテンシャル分析をして、KPIカウントシートを作成しただろ
う?」


部下 :
「え……?」


マネージャー :
「予材ポテンシャル分析をしていないのか?」


部下 :
「わが部署にあるリスト40社を全員でチェックして、その中で見込みのあ
りそうな先を予材資産と呼んでいますが……」


マネージャー :
「じょ、冗談じゃない……。君の部署の管轄には、1200社の市場がある
だろう。それを抜け漏れなく分析をするんだ」


部下 :
「分析……」


マネージャー :
「君は本当に予材ポテンシャル分析を知っているのか? 【たとえば】A社
の予材ポテンシャルはどれぐらいある? 【具体的に】言ってみてくれ」


部下 :
「いや、あの、その……」


マネージャー :
「ダメだ。まったく予材管理を理解していない。『行くべき先』へ行ってい
ないどころか、それがどこかわかっていない」


部下 :
「す、すみません」


マネージャー :
「君たちがやっているのは、ただの案件管理だ。すでに発生している案件を
管理していると、どうしても視点が近視眼的になる」


部下 :
「確かに、短期的な思考になりますね……。結果が出ないと焦ってきます
し」


マネージャー :
「その発想で、目標の2倍の予材など積上げられるはずがない。当社の『予
材回転率』を考えたとき、年間予算の5倍の『予材資産』を保有しろ」


部下 :
「予算の5倍のっ?」


マネージャー :
「そうだ。それぐらい保有できれば、年間の2倍の予材ぐらい楽勝に積みあ
がる」


部下 :
「す、すみません、勉強不足で。『予材』と『予材資産』は何が違うんです
か?」


マネージャー :
「やれやれ……」



……私ども予材管理のセミナーに来られる方の中に、「予材管理」と「案件管
理」を混同している方がいらっしゃいます。

『案件』と『予材』はまるで異なるものです。

そして『予材』と『予材資産』も言葉の定義が異なります。

企業に則した「予材管理」を設計する「予材管理研修(6ヵ月間)」が、最近、
とても好評です。

興味のある方はお問合せください。

また、「予材管理5つ道具」を紹介した日経ムックもご参照ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

2月に発売した日経ムックの「あとがき」で予告したとおり、今後は日経BP
社、日経BPビジョナリー経営研究所とともに、「ターンオーバー戦略」とい
う経営戦略の提唱に力を注いでいきたいと考えています。

会社のインフラである「営業・販売力」を武器に、成熟した市場を「ひっくり
返す」戦略です。

マーケティング・ミックス(4P)で考えると、

●プロダクト……「イノベーション理論」の、アーリーマジョリティ・レイト
マジョリティが受け入れられる商材

●プレイス……レッドオーシャン(ブルーオーシャン戦略の真逆)

●プロモーション……「人」を中心としたプロモーション戦略(アセット・ア
ロケーション・マーケティング)

●プライス……「コストリーダーシップ戦略」をとらない

マネジメント手法は「マーケティング・リーダーシップ・マネジメント(ML
M)」をとり、情報システム(SFA/CRM)で集中管理する。

目新しい商材や、IT技術に翻弄されない、堅牢な組織インフラで企業を強く
します。

構想はまとまりつつありますが、「ターンオーバー戦略」をとりやすい業界は
具体的にどこなのか? その特性は? ……などを研究対象としていきたいと
考えています。

2014年7月22日

「ストレス免疫」を身につける最高の書籍【イエス・バット法】

● 今回のテクニック:【イエス・バット法(18)】

イエス・バット法とは、『応酬話法』の代表的なテクニックである。

部下とコミュニケーションをしている最中、相手の答え/考えが間違っていた
り、的を外していたりすると、ついつい反射的に抵抗してしまいたくなる。

それをグッと我慢し、まずは相手の反応を受け止め(Yes)、柔和に反論し
(But)、戦略的に交渉を進める方法である。

マネージャが部下の行動変革を促したい気持ちが強い場合、また部下のことを
考えて話しているのにもかかわらず頭ごなしに否定されたとき、いかに感情を
セーブできるかがポイントである。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「どうした、浮かない顔をして?」


部下 :
「すみません、ちょっと落ち込んでいるものですから」


マネージャー :
「落ち込んでる?」


部下 :
「はい。最近、ストレスに弱いな、と思い始めています。ちょっとした失敗
も恐れるようになって、チャレンジすることができていません」


マネージャー :
「なるほど」


部下 :
「ここしばらくは、週末ずっと家でゴロゴロしています。友人が、疲れてい
るなら休んだほうがいいと言うので」


マネージャー :
「そうか、週末は休んでいるんだね。【でも】、そんなにストレスを感じて
いるのだろうか? 普段は眠れているのか?」


部下 :
「眠ることはできます。だいたい7、8時間は寝ています。食欲も旺盛で
す」


マネージャー :
「起きているときに絶望的な気持ちになったり、将来に希望を持てなかった
りするのか?」


部下 :
「いえいえ。以前からお話しているとおり、私には明確な目標があります。
妻のお母さんが寝たきりですので、はやく同居できるよう、二世帯住宅の家
を建てることが夢です」


マネージャー :
「そうだったな。君は確か、ご両親がいなかったはず」


部下 :
「はい。高校時代に二人とも他界しています。ですから、妻のお母さんが私
の母だと思っているんです。自分の親だと思って、親孝行したいと」


マネージャー :
「頑張る気持ちはある。でも、ストレスに弱いところがある、と?」


部下 :
「そうなんです。仕事でも成果を上げたいし、資格も取りたいです。毎日本
も読みたいし、意欲的な社会人との交流会にも顔を出したいと思っていま
す」


マネージャー :
「しかし、それらすべてストレスに感じる?」


部下 :
「はい。ほとんど先送りしていますね」


マネージャー :
「それだと、単純に堕落しているだけじゃないか」


部下 :
「まったく、その通りで……」


マネージャー :
「先週頼んだ資料、まだできていないだろう」


部下 :
「そうなんです。やらなくちゃいけないとは思っていても、なかなか」


マネージャー :
「しょうがないな。『ストレス免疫』をもっと身につけるようにしなさい」


部下 :
「そのために、週末は休んでいるんです」


マネージャー :
「休んでいるとストレスに強くなると思っているんだな。【しかし】君のよ
うに心身ともに健康な人には有効な手段ではないと思う」


部下 :
「じゃあ、どうすれば……」


マネージャー :
「ストレスに対する免疫力をつけるためには、ストレスをかければいいんだ
よ」


部下 :
「えっ?」


マネージャー :
「脳のニューロンを活動させるものは、すべてストレスらしい。だから会社
に出勤することも、私とこうして話していることも、すべて微小のストレス
がかかっている」


部下 :
「へえ」


マネージャー :
「ニューロンが発火するにはエネルギーが必要で、燃料を燃やす過程でニ
ューロンは摩耗し、傷ついていく。しかし、通常は修復メカニズムが働いて、
ニューロンはむしろ強くなっていく」


部下 :
「ニューロンが強くなっていく……」


マネージャー :
「そう。つまり『ストレス免疫』をつけるためには、適度なストレスと回復
するための休息が必要なんだ。君の言うとおり休息は必要だ。【しかし】、
それは適度なストレスにさらされている日常があるからこそだ」


部下 :
「た、確かに、そうですね。私の場合、やることもやっていないですから」


マネージャー :
「ストレスから逃げていると、打たれ弱くなる。現代社会には、ストレスを
いかに減らすか、といったさまざまなアドバイスが乱れ飛んでいるが、それ
らのアドバイスには、人間は困難があればこそ努力し、成長し、学ぶという
点が欠けている、と言われている」


部下 :
「人間は困難があればこそ努力し、成長し、学ぶ……」


マネージャー :
「人間にもともと備わっているストレス反応は、『1.危険に集中する』
『2.反応を起こす』『3.将来のためにその経験を記録する』という3つ
に絞られる。最後の『将来のための記録』が、知恵、というものを生み出し
ていくんだ」


部下 :
「何となく、わかります」


マネージャー :
「この脳の構造は1万年以上、ほとんど進化してもいない。にもかかわらず、
外部環境は劇的に変化している。だから現代のライフスタイルと我々の遺伝
子は釣り合っていない」


部下 :
「じゃあ、どうすればいいんでしょう。とにかく毎日、目の前のやるべきこ
とをキッチリこなしていけば、ストレス免疫もついてくる、ということなん
でしょうか?」


マネージャー :
「そうだな。でも、もっと簡単で楽しい方法がある」


部下 :
「えっ! それは……」


マネージャー :
「運動だよ」


部下 :
「う、ん、ど、う……?」


マネージャー :
「現代人の運動量は、石器時代の祖先と比べて38%も少ない。それなのに、
カロリー摂取量は爆発的に増えている。現代はエネルギーを消費しなくても
食べ物は見つかるし、『知恵』をつけなくてもよくなった」


部下 :
「私は29歳ですが、この10年ぐらい、これといった運動をしていませ
ん」


マネジャー :
「ストレスを感じると不安だろう? しかし不安を克服するためには、恐怖
を感じても死ぬわけではないと、脳に教え込むプロセスが必要だ。歪んだ認
知を再構築するために、体を使うというのは有効な手段だ」


部下 :
「休んでいるばかりだと、体もなまってきますし、心もなまってきますね」


マネジャー :
「本当にそうだな。適度な運動をしろよ。少しずつでいいから負荷をかけて
いけ」


部下 :
「わかりました。昔は体育会系だったので、無理せず、少しずつ増やしてい
きます」



……私が今年読んだ本の中で「ベスト3」に入る書籍を紹介します。

「運動は自発的にすることなので、そのストレスは予測できるし、コント
ロールできる」「自分を支配しているという感覚と自信が得られるからだ」
「ストレスをコントロールできるとわかっていれば、気持ちの切り替えがうま
くなる」

こういった平易な言葉もあれば、「パニック障害」「うつ」「注意欠陥障害」
「依存症」に悩む人の臨床実験から得られた科学的根拠も示している書籍です。


精神論や根性論とは無縁。科学的で、とても勇気づけられる内容となっていま
す。ストレスに悩むすべての人にお勧めします。


■「脳を鍛えるには運動しかない! ―最新科学でわかった脳細胞の増やし方」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140813539/mysterycon0c-22/ref=nosim


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

日曜日、ちょっと「くよくよ」することがありました。

私は24年前から「知的障がい者のボランティア活動」を続けています。

現在は主要メンバーからははずれていますが、この3年半、ずっと皆勤賞を続
けてきました。

小さなことですが、毎年、この「皆勤賞」をもらうボランティアは、30~4
0名いる中で私ひとりになっているので、今年も当然、「皆勤賞」を目指して
計画を立てていました。

しかし先週、ボランティアを休んでしまったのです。約3年半ぶりです。

仕方のないことだとはいえ、なんか残念で、「くよくよ」してしまいました。

情報によると、障がいを持っている人たちから「今日は横山くんが来ていな
い!」「あれ? 横山くんは? 珍しいな~。休みか~」という声が相次いだ
とか。

うーん、残念。そして申し訳ないです。

45歳にもなれば、週末に都合がつかなくなるときくらいありますよね。1年
に1~2回はしょうがないですよね……。

学生や主婦の方も多いメンバーの中で、ひとりだけ皆勤賞だった自分をほめて
やりたいと思っています。

ただ、重要なことはこれからですね。

継続していたことがいったん途切れると、気持ちも切れてしまうことがありま
す。

来月から再びキチンと毎月参加できるよう、頑張ります。私のライフワークで
すから。

2014年7月17日

家族のための「戦略的時間術」【ロー・ボール・テクニック】

● 今回のテクニック:【ロー・ボール・テクニック(14)】

ロー・ボール・テクニックとは、まずは相手が受け取りやすいボールを投げて
から、徐々にオプションを増やしていく方法である。

説得される側は、気がついたときには最初の条件よりも吊りあがっているため、
騙されたと感じるかもしれず、リスクは高い。

フット・イン・ザ・ドア・テクニックよりも強力な説得技術と言われているが、
多用は禁物である。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「君は、今日も遅くまで仕事をしてるな」


部下 :
「あ、すみません。もうすぐ帰宅します」


マネージャー :
「夜の10時だよ」


部下 :
「大丈夫です。前の会社では、11時でも12時でも平気でしたから」


マネージャー :
「おいおい。何か勘違いしてないか? 長時間労働はダメだよ、この会社で
は」


部下 :
「あ、すみません」


マネージャー :
「前も話したとおり、脳が活性化していないと『幸運』とも巡り合えないも
のなんだから」


部下 :
「ああ、そうですよね。でもU主任が言っていたんです。一心不乱に、がむ
しゃらに動いていたら、幸運の恵みは微笑んでくれるって」


マネージャー :
「……いやいや」


部下 :
「違いますでしょうか……」


マネージャー :
「がむしゃらに働くことを否定はしないけど、さっき言ったように、脳が活
性化していないとダメなんだ」


部下 :
「私はどちらかというと『夜型人間』なんです。夜は強いので大丈夫です」


マネージャー :
「だーかーらー、そういうことじゃないって」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「昨日、提出してくれた資料なんだけどさ、クリアファイルに入れて持って
きただろ?」


部下 :
「あ、はい」


マネージャー :
「このクリアファイル、返しておくよ」


部下 :
「ああ、別にいいですよ。クリアファイルぐらい、いくらでもありますか
ら」


マネージャー :
「中に手紙が入ってた」


部下 :
「……!?」


マネージャー :
「クリアファイルの中、見てみろ」


部下 :
「え……」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……」


マネージャー :
「娘さん、いくつだ?」


部下 :
「……さ、3歳です」


マネージャー :
「宛名がないから、俺への手紙かと思って開けてしまった」


部下 :
「……」


マネージャー :
「封が閉じてあったということは、いま初めて読んだんだろ?」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「どうしてそんな大切な手紙を、会社の資料と一緒にクリアファイルへ放り
込んだ?」


部下 :
「いや、これは……! 別にわざとそうしたわけじゃないんです。間違えた
んです」


マネージャー :
「わかってるよ! イヤミな質問をした俺が悪かった」


部下 :
「いえ、すみません」


マネージャー :
「3歳の娘さんが描いたその絵は、海水浴している絵か?」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「奥様の手紙も入ってた」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「旅行代理店のパンフレットの写真を見て、お子さんは描いたんだって」


部下 :
「……」


マネージャー :
「一度も海水浴に連れて行ったことはないんだな」


部下 :
「……プールにも、ありません」


マネージャー :
「娘さんとは、いつ会うんだ?」


部下 :
「平日は、会っていないですね」


マネジャー :
「そりゃそうだろう。誰よりも早く出社してるもんな。7時過ぎだろ、会社
に来てるの」


部下 :
「ええ。前の会社でもそうでしたから」


マネジャー :
「ゴールデンウィークのときも、半分は出社してただろう?」


部下 :
「……」


マネジャー :
「むごいことを言うが、長時間労働をしてる奴を俺は認めん」


部下 :
「……すみません」


マネジャー :
「能力がないから労働時間が長くなるんじゃない。労働時間を長くしている
と、能力が上がらないんだ。『逆算思考』で考えてくれ」


部下 :
「はい……」


マネジャー :
「明日から残業はゼロにさせる」


部下 :
「えっ」


マネジャー :
「絶対に残業はさせない。定時の6時になったら帰れ。猶予時間は15分だ。
6時16分になっても事務所にいたら、外へ放り出す」


部下 :
「し……しかし、いきなりそれは無理です。業務が立て込んでいるものです
から」


マネジャー :
「そんなこと知らん。俺が横についてすべての業務を他に割り振ってやる。
だいたい君は仕事を抱え込みすぎだ。俺の裁量で一気に役割分担させる」


部下 :
「……」


マネジャー :
「見ていると、やるべきこと以外のこともやりすぎだ。いま抱えている仕事
を俺がいったん片付けてやる」


部下 :
「ど、どうして、そこまで私にしてくれるんですか?」


マネジャー :
「え?」


部下 :
「だって前の会社では、上司から『いつも頭をもっと使え』としか言われな
くって」


マネジャー :
「あたりまえだ」


部下 :
「え」


マネジャー :
「俺はお前の上司だからだよ」


部下 :
「……!」


マネジャー :
「……」


部下 :
「……」


マネジャー :
「今日はもう帰れ」


部下 :
「は、はい」


マネジャー :
「あ」


部下 :
「え」


マネジャー :
「来週の月曜日、休みをとれ」


部下 :
「ええ?」


マネジャー :
「ここに長島スパーランドのチケットがある」


部下 :
「長島……?」


マネジャー :
「ちょうど3枚ある。月曜日に行ってこい。誰を連れて行ってもいい」


部下 :
「え、いや……。そんな、残業もできないのに、休みなんかとれるわけない
と思います」


マネジャー :
「だから俺がついてるから大丈夫だって。俺を信用していないのか?」


部下 :
「いえ……でも」


マネジャー :
「あ、それとさ」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「ジャズドリーム長島っていう、アウトレットモールがあるんだよ。そこで、
香水を買ってきてくれ。俺の妻が欲しがってるから」


部下 :
「……」


マネジャー :
「頼むな。月曜日に休みをとってもらうから、明日からこれまでの3倍ぐら
い集中して仕事をしよう」


部下 :
「……」


マネジャー :
「泣くなよ」


部下 :
「部長は……私の娘が……、娘の誕生日が月曜日だって知ってて……」


マネジャー :
「しょうがないだろ、手紙、読んじゃったんだから」


部下 :
「それでチケットを……」


マネジャー :
「俺って恩着せがましいだろ?」


部下 :
「部長」


マネジャー :
「短い期間で仕事を完遂させることで脳の基本回転数は上がり、もっと脳は
活性化していく。そうすれば、必ず素晴らしい運に巡り合えるさ」



……いつも定時で帰り、プライベートの時間はしっかり確保しつつ、常に最高
の結果を出す!

そんな夢みたいなことができるのか?

できます。

私自身も、現在それを実践中です。メルマガを読んでいるすべての皆さま、が
んばりましょう!


(本メルマガは、リクエストがあり、2012年8月23日号を加筆修正した
ものです。過去のメルマガを転載するのは、メルマガスタートさせて6年間の
うち2度目です)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

いつの間にか家族よりも仕事を優先しているときがあり、自分自身、反省する
ことが多々あります。

本日のメルマガは、実のところ「アタックス・セールス・アソシエイツの横
山」から「メルマガ草創花伝の発行者、横山」へとリクエストしたものです。

2014年7月14日

いま見直される「テレアポの技術」【フット・イン・ザ・ドア】

● 今回のテクニック:【フット・イン・ザ・ドア・テクニック(14)】

フット・イン・ザ・ドア・テクニックとは、はじめに小さな依頼を受け入れて
もらい、次に本当に頼みたいことを受け入れやすくするテクニックのこと。

最初の承諾が人間の心を拘束する心理術を応用している。ドアを開けた瞬間に
片足を捻じ込むセールスマンのテクニックからこの名が付けられた。ドア・イ
ン・ザ・フェイス・テクニックの反意語。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「先週のセミナー、どうだった?」


部下 :
「え?」


マネジャー :
「この前、『最近のネットマーケティングの裏事情』というセミナーに行っ
たじゃないか」


部下 :
「ああ、あのセミナーですか」


マネジャー :
「どうだった?」


部下 :
「どうだったって……。うーん、まァ、参考になったといえば、参考になり
ましたね」


マネジャー :
「どういうところが参考になった?」


部下 :
「どういうところが、ですか……。うーん、そう言われても、まァ、その…
…効果的なネット広告の話とか、ソーシャルメディアを使うと反応がよくな
るとか」


マネジャー :
「SNSを使うと効果がアップするのか?」


部下 :
「え? いや……どう、だったかな……。それは商材によって反応は変わる
でしょうが、その……」


マネジャー :
「なんだ、はっきりしないなァ。7時間のセミナーだっただろう?」


部下 :
「そうですね……。7時間もありましたね」


マネジャー :
「イマイチだったのか?」


部下 :
「え? いや、イマイチ、ではないですよ。それなりに参考になりました」


マネジャー :
「そんな風に聞こえなかったぞ」


部下 :
「うーん……。確かに、課長と話をしていると、そう思えてきたんです」


マネジャー :
「ま、そりゃあそうだろうな」


部下 :
「え?」


マネジャー :
「セミナーやイベントに参加して、『どうでした?』と質問されても、うま
く答えられないものだ。たとえ『良かった』という感覚を持っていたとして
も、多くの人はその感覚を的確に表現できない」


部下 :
「あああ、確かに。そうかも」


マネジャー :
「感覚を言葉でうまく表現できないと、イマイチだったと勘違いするケース
もある」


部下 :
「へええ」


マネジャー :
「ところで君はテレアポをよくやってるよな」


部下 :
「ええ。やってますけど、なかなか……。だからネットのプロモーションを
考えたんですが」


マネジャー :
「しかし、今はネットでのプロモーション活動も下火だ。だんだんコンバー
ジョン率が悪くなってきている」


部下 :
「ええ。セミナーの講師もそう言ってました。今はもうネットに頼るのは危
険だ、と。とはいえ、電話でもなかなかアポイントがとれないんです」


マネジャー :
「理由は、『どうでしたか?』と質問しているからだよ」


部下 :
「えっ!」


マネジャー :
「君はいつも、イベントに参加した人にフォロー電話をしているだろう。そ
してトークスクリプトは『イベントに参加してみてどうでしたか?』から始
まるようにできている」


部下 :
「そ、そうです」


マネジャー :
「相手の反応はどうだ?」


部下 :
「なるほど……。課長の言いたいことがわかってきました。反応のほとんど
が鈍いんです。私が『どうでしたか?』などと質問するからなんですね」


マネジャー :
「そういう質問からのほうが入りやすいせいだろ?」


部下 :
「そうです」


マネジャー :
「『当社のイベントに参加してみてどうでしたか?』『当社のパンフレット
を見ていかがでしたか?』『当社の商品を使ってみていかがでしたか?』な
どと質問しも、相手は困るだけだ」


部下 :
「そうそう。そうなんです。相手が『うーん……そうだねェ』なんて言って
いるうちに、こっちが話したいことを話しはじめるってパターンがお決まり
ですね」


マネジャー :
「だったら、最初に質問しないほうがいいんだよ」


部下 :
「確かに、そうですね……。なんか習慣で質問してしまうんですよね」


マネジャー :
「質問してネガティブな反応が戻ってきたら、その後、電話での会話は続か
ないだろう? だから、単純に『イベントに参加いただきありがとうござい
ました』と言うだけでいい」


部下 :
「それから普通にアポイントをとろうとすればいいってことですか?」


マネジャー :
「アポイントをとれるならとっていいが、断られたら、その次に電話する気
力が萎えてしまう。単純なサンキューコールでいい」


部下 :
「感謝するだけでいいってことですか」


マネジャー :
「そう。もしも話がはずんだら、詳しいことはお会いしたときに……と言っ
てアポをとればいい。そうでなければ、また次に電話するときでいい、とい
うぐらいに割り切る」


部下 :
「なるほど」


マネジャー :
「相手に小さなステップを上がってもらうことが重要だ。まずは継続的に電
話ができるようになること。次はアポイントがとれるようになること。次は
継続的に面談できるようになること」


部下 :
「いきなり大きな階段を上らせようとするからいけないんですね」


マネジャー :
「お客様にもストレスだし、営業サイドもストレスがかかるよな」



……私どもが現場に入ってコンサルティングするとき、業種にもよりますが、
けっこう「電話」でのアポ取りを実施してもらいます。

「今どき、テレアポなんか効果があるの?」

と、言う人がいますが、最近はヒット率が上がっているのです。

ネットやチラシといった、ツールによるプロモーションに依存している人が増
えているため、逆にコンバージョン率が上がるのでしょう。

キチンと営業を鍛えれば、IT投資することなく、電話だけで新規顧客の開拓
はできるのです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

先週、大きな決断をし、

今後は私のセミナーの数を大幅に減らしていこうと考えています。特に、東京
地区は。

「予材管理」をテーマにしたセミナーは、他のコンサルタントにどんどん任せ
ていこうと考えています。

2014年7月10日

60%の「ダメもと」はうまくいく?【イーブン・ア・ペニー】

● 今回のテクニック:【イーブン・ア・ペニー・テクニック(8)】

イーブン・ア・ペニー・テクニックとは、心理的ハードルを極端に下げて相手
に依頼すること。

「寄付をしていただけませんか」と依頼内容だけを伝えるよりも、「1ペニー
でもいいですから寄付していただけませんか」と頼んだほうが、結果的に多い
額の寄付を得られる可能性が高いことから、このように言われるようになった。

フット・イン・ザ・ドア・テクニックと似ているが、フット・イン~のほうは
依頼内容を段階的に引き上げていかなければならないため、イーブン・ア・ペ
ニーのほうが簡単。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「A社の社長と連絡がついた?」


部下 :
「はい。来週の火曜日に面談の設定をいたしました。部長のスケジュールも
押さえてあります」


マネジャー :
「よく、あの社長が面談をOKしたなァ。誰が交渉したんだ」


部下 :
「私です」


マネジャー :
「いや……。質問が言葉足らずだった。当社の誰がA社の社長と交渉したん
だ」


部下 :
「私です」


マネジャー :
「は?」


部下 :
「私ですって」


マネジャー :
「君が……? まだ4月に入社したばかりの君が?」


部下 :
「はい。私です」


マネジャー :
「まだ23歳の君が?」


部下 :
「いえいえ。私は専門学校しか出ていませんから、まだ21歳です」


マネジャー :
「えええええええ」


部下 :
「年齢なんて関係あるんですか? 少なくともA社の社長はそんな色眼鏡で
私を見てはいないと思ってますが」


マネジャー :
「確かに……。私の先入観かもしれん」


部下 :
「A社の社長さん、娘さんがいるんですよね。管理部の主任さんです」


マネジャー :
「え、そうなの?」


部下 :
「ご存知なかったんですか?」


マネジャー :
「いや……。誰に聞いたんだ」


部下 :
「受付の方に、です」


マネジャー :
「受付の人がそんなことまで教えてくれるのか」


部下 :
「順序としては、まず総務の人を紹介してもらい、その方と仲良くなりまし
た。そして組織図をいただいたんです」


マネジャー :
「組織図?」


部下 :
「ええ。組織図をいただいてから、最近入社した人はどの方ですかって尋ね
てみました」


マネジャー :
「最近入社した人? どうしてそんなことを聞いたんだ」


部下 :
「苦し紛れです。組織図をもらったはいいが、何を話していいかわからなか
ったものですから、とにかく思いついたことを『ダメもと』で質問してみま
した」


マネジャー :
「ほォ」


部下 :
「そうしたら、いろいろと教えてくださいました」


マネジャー :
「それで、社長の娘さんが管理部にいるとわかったのか?」


部下 :
「いえ。A社社長のお兄さんが工場長をされていることを聞いたので、まず、
そのお兄さんにお会いしようと思ったんです」


マネジャー :
「はァ?」


部下 :
「だって、社長に近づかない限り、この案件は前に進みませんよ。とにかく
『ダメもと』で工場へ飛んでみました」


マネジャー :
「工場へ飛んでみました? 本社に隣接しているだろう」


マネジャー :
「いや、社長のお兄さんは北海道にいらっしゃるんです。苫小牧に第二の工
場があり、そこに常駐しています」


部下 :
「えええ」


マネジャー :
「私の姉夫婦が札幌にいるので、週末に個人旅行もかねて行きました。出張
旅費は申請しませんから大丈夫です」


マネジャー :
「そんなことは別にいいんだが、社長のお兄さんは気難しい人だろう? 本
当は自分が社長を継ぐと思っていたんだが、弟に承継されてしまったんだか
ら」


部下 :
「そう聞いていましたが、そんなこと考えていても仕方がないので、とにか
く『ダメもと』で工場へ行ってみました」


マネジャー :
「そうしたら会えたのか……」


部下 :
「会えませんでした」


マネジャー :
「ええっ!」


部下 :
「『ダメもと』だからいいんです。ダメでもともとなんですから」


マネジャー :
「……」


部下 :
「翌週、その総務の人に言ったんです。お兄さんに会いに北海道まで行った
けど、会えなかったって。そうしたら驚いていました」


マネジャー :
「そりゃ驚くだろう」


部下 :
「それで、いろいろと話しているうちに、娘さんの話を聞きだしたんです」


マネジャー :
「かなり遠回りしているな」


部下 :
「遠回り? 全然遠回りではありませんよ。それから主任の娘さんとお会い
できるようになり、社長さんとの面談に繋がりました」


マネジャー :
「スゴイな」


部下 :
「A社へ通い始めて1ヶ月半です。そう考えたら、遠回りではないと思いま
す」


マネジャー :
「うーん。なんか、日ごろからウジウジ考え込んでしまう自分が恥ずかしく
なってきたよ」


部下 :
「『ダメもと精神』でこれからも頑張ります」


マネジャー :
「『ダメもと精神』か……。いい言葉だな」


部下 :
「ところでA社の社長との面談のとき、部長の口から『1社でいいから他社
を紹介してもらいたい』と言ってもらえませんか?」


マネジャー :
「えっ」


部下 :
「お願いします。『1社でいいから』って言ってください。」


マネジャー :
「うーん……、しかし、断られたら」


部下 :
「部長、ダメもとでお願いしますよ」


マネジャー :
「……わかったよ。君は怖いものなし、だな」



……「ダメもと」で何かをすると「60%」の確率でうまくいく。

これは私が考えた発想です。なんの科学的な根拠もありません。

しかし、良識のある人が考える「ダメでもともと」なことって、意外とそれほ
ど非常識なことではありません。

ですから、ちょっと厚かましいな、と思っても60%ぐらいのことは通るもの
だと私は考えています。

やってもいないのに「どうせダメに決まっている」と決めつける回数が減れば
減るほど、人生うまくいくと私は思います。

さて9月に「絶対達成LIVE2014」があります。来週からアナウンスを
始めます。メルマガには注目しておいてくださいね。

リスクを冒せない人の目を覚まさせるLIVEセミナーにしたいと考えていま
す。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

最近、感覚が研ぎ澄まされてきている日が続いています。

ストレスのかかることが増えても、以前よりは冷静に自分自身を観察できるよ
うになってきました。

「ゾーン」に入っているときが多いからでしょうか。

● 超集中状態「ゾーン」に入る方法
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140629-00036859/

2014年7月7日

「イージーカム・イージーゴー」を忘れない【ドア・イン・ザ・フェイス】

● 今回のテクニック:【ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック(15)】

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックとは、はじめに本当に頼みたい事柄よ
りもかなり負担の大きな依頼をし、一度断られてから本当に頼みたいことを伝
えるテクニック。

最初に提示した情報が頭に残り、その後の判断に影響を与えるアンカリング効
果の一部と考えてもよい。

依頼者が一端譲歩すると、ついつい相手も譲歩してしまうことを「譲歩の返報
性」と言うが、これを利用ししている。

※ 「フット・イン・ザ・ドアテクニック」の反意語。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「久しぶりだな」


部下 :
「はい。7月1日に、戻ってまいりました」


マネジャー :
「退職したのは2年前だったか」


部下 :
「はい。30歳の誕生日でした」


マネジャー :
「確か、ビジネスで成功する情報をまとめ、それをネットで販売して儲ける
と言って辞めた」


部下 :
「そうです」


マネジャー :
「それで、君は儲かったのか?」


部下 :
「最初の2ヶ月は全然でしたが、3ヶ月目からは売れ始め、半年で800万
円ぐらいは稼ぎました」


マネジャー :
「半年で800万円か。それは凄いな……」


部下 :
「元手ゼロでしたから、うまくいきすぎですね」


マネジャー :
「その後はどうなった?」


部下 :
「半年たってから、ネットで知り合った人の紹介で、他にも事業をスタート
させ、それも意外と順調にいきました」


マネジャー :
「おおお。凄いじゃないか」


部下 :
「初年度の儲けが1400万円ほどでした。いろいろな経費を除いても」


マネジャー :
「なるほど……。君が退職すると言い出したとき、私は『バカな考えはよ
せ』と言ったんだが、それほど『バカな考え』ではなかったわけだ」


部下 :
「はい。私は確信していました。絶対に儲かるって。うまくいってない人も
いましたが、それはやることをキチンとやってないからです。正しくやるべ
きことをやっていれば確実に儲かるネットビジネスだったのです」


マネジャー :
「へえ」


部下 :
「今でもそう思っています」


マネジャー :
「それでも、君はこの会社に戻ってきた」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「500万円だったか? 借金は」


部下 :
「はい。本当に恥ずかしいですが、次の1年で地獄を見ました」


マネジャー :
「妙な事業に手を出したのか?」


部下 :
「いえ、そうではありません。事業はすべてうまくいっていました」


マネジャー :
「なら、どうして借金を抱えるほどに?」


部下 :
「わかり、ません」


マネジャー :
「わからない?」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「儲かった分だけ散財したのか?」


部下 :
「そんなつもりはなかったんですが……」


マネジャー :
「君は頭がいい。聡明だ。そんな君がわからないはずがないだろう?」


部下 :
「本当にわからないんです。それほど調子に乗っていたわけでもないんです
が」


マネジャー :
「……」


マネジャー :
「ただ……。借金以上の問題が私に残ったことは事実です」


部下 :
「どういう?」


マネジャー :
「ものすごく大切なものを失った気がしています」


マネジャー :
「……」


部下 :
「本当に、大きなものを、なくしてしまった気がするんです。それが何かわ
かりませんが」


マネジャー :
「君は」


部下 :
「……」


マネジャー :
「君は、本当に聡明だ……。よく2年でそれに気づくことができた」


部下 :
「部長、そこでお願いがあるのですが」


マネジャー :
「なんだ?」


部下 :
「9月から始まる新しい事業を私に任せてもらえませんか? 6人でプロジ
ェクトチームを作っているそうですが、私をリーダーに推薦してもらいたい
んです」


マネジャー :
「えっ」


部下 :
「いったん地獄を見てます。人より3倍の仕事をし、10倍の結果を出す覚
悟で舞い戻ってきました。お願いします」


マネジャー :
「い、いきなりプロジェクトリーダーにって無理だよ。メンバー、全員、君
よりも先輩だ」


部下 :
「ぜひ、お願いします。絶対に結果を出しますから」


マネジャー :
「そう、言われても……」


部下 :
「この通りですっ」


マネジャー :
「そんな風に頭を下げられても、困る……。わ、わかった。リーダーは無理
だけど、メンバーには推薦しておく」


部下 :
「本当ですか?」


マネジャー :
「プロジェクトで力を発揮してくれ。君が認められるかどうかは、その後
だ」



……「イージーカム・イージーゴー」とは、ことわざ「悪銭身につかず」の英
語版です。

簡単に手に入ったものは、簡単に外へ出ていく、ということ。

「お金の出てゆくスピードはそのお金を稼ぐために使った時間、労力に比例す
る」

という「ガイアの法則」が私は好きで、ラクして何かを手に入れようとすると、
必ずその発想は後で裏切られると、いつも考えています。

ですから私どもが提唱している「予材管理」は、定着させるまでに苦労はしま
すが、その後は安定して「絶対達成」していくのです。

アマゾンで拙作「空気で人を動かす」を一緒に購入されることの多い田坂広志
氏の久々のベストセラーは、「知性」という切り口でそのことを語っています。

著書「仕事の報酬とは何か」で、「良き仕事を残すうえでもたらされた人間的
な成長」こそが最大の報酬だと語った氏は、「知性」という視点で鋭く問い掛
けてくれます。


■ 知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334038018/mysterycon0c-22/ref=nosim

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

「イージーカム・イージーゴー」と聞くと、B'z(ビーズ)を思い出す方もい
らっしゃるのではないでしょうか。

B'zの「Easy Come, Easy Go!」は初期の代表曲ですよね。

恋愛の曲ですから、簡単に付き合える相手はすぐに去っていく、という意味合
いなのでしょう。

私はずっとヴァン・ヘイレンやボン・ジョビ、MR.BIG、スキッドロウな
どのハードなロックを聴いていたので、

この時代(1990年ごろ)に頭角を現したB'zにすごく親近感を覚えていま
した。

なぜなら(ご存知の方も多いでしょうが)、B'zの曲はすごく、これらアメリ
カンハードロックバンドの曲に似ているのです。

もちろんすべてではないのですが、友人にアルバムを借りて聴いていると、

「これはエアロスミスのあの曲とすごく似ている……」

「曲の入り方がヴァン・ヘイレンのあの曲と同じように聴こえるが……」

など、いろいろな発見があるのです。

これもB'zの曲の楽しみ方? の一つかもしれません。

曲のオリジナリティも重要ですが、ライブの時に正しく演奏できるか、迫力あ
る歌声をオーディエンスに聴かせられるかはもっと重要だと思っています。

その意味合いでは、B'zは世界でも一級品なのでしょうね。

2014年7月3日

観ると「行動スピード」が速くなる映画【イエスセット】

● 今回のテクニック:【イエスセット(19)】

イエスセットとは、相手(部下)が必ず「イエス」と答える質問を繰り返し、
「同意」を促す手法。

コミュニケーションをコントロールしやすくすることが目的である。「ハイ」
と手を挙げさせて催眠にかける「催眠商法」と原理は似ている。

打合せをはじめる冒頭に3、4回(2回程度では少ない)必ず相手が「はい」
もしくは「そうですね」と答える質問を繰り返し、本題に入ると効果的と言わ
れている。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「あれ? 髪型変えたよね?」


部下 :
「はい。そうなんです。ワールドカップを観てて、コロンビアのハメス・ロ
ドリゲス、かっこいいなと思ってたら、短くしようと思って」


マネジャー :
「時計も変えた?」


部下 :
「ええ。そうなんですよ。隣の課の部長がオメガをしていたので、私もそれ
が欲しいなと思ったんです」


マネジャー :
「ネクタイは赤系が多くなってきたよね?」


部下 :
「はい。この前、受講したセミナーの講師がつけていたネクタイを真似てみ
たんです。赤系のほうが熱意が伝わると聞いたんで」


マネジャー :
「すぐに感化されるよね?」


部下 :
「はい。ホント、そうなんです。昔からすぐ誰かに影響を受けてしまうんで
す」


マネジャー :
「この前まで関西弁、喋ってなかった?」


部下 :
「そうなんですよ~。付き合ってる彼女が兵庫の人なんで、完全に移りまし
た。でも、友達にお前の関西弁おかしいぞと言われるんで、気を付けてま
す」


マネジャー :
「ところで、先週金曜日まで作ってくれと言った見積り資料、まだできてな
いよね?」


部下 :
「あああ、そうなんです。本当に申し訳ありません。すぐにやります」


マネジャー :
「A社へのアポイントもまだだよね?」


部下 :
「はいィィ。この後、すぐにやりたいと思います」


マネジャー :
「髪型をすっきりさせ、ネクタイを変えて熱意を伝えようとしても行動が遅
いんじゃダメだよね?」


部下 :
「まったくおっしゃる通りです。時計を変えても、行動が変わらないんじゃ
ダメですね」


マネジャー :
「君のように感化されやすい人は、スピード感のある映画を観るといいよ」


部下 :
「映画、ですか?」


マネジャー :
「君は映画を観ると、すぐに主人公になった気分になるだろう」


部下 :
「よくご存知ですね。最近『LIFE!』という映画を観たせいで、私も旅
に出かけようと思ったぐらいですから」


マネジャー :
「おいおい、影響を受けすぎだ。でも、スピード感のある映画を観たら、君
の行動スピードは変わるかもしれないぞ」


部下 :
「なるほどっ」


マネジャー :
「そうだよね?」


部下 :
「そうです、そうです。どんな映画を観たら行動スピードがアップするんで
しょう? キアヌ・リーブス主演の『スピード』とかですか?」


マネジャー :
「そうだな。トム・クルーズ主演の『ナイト&デイ』もいいぞ。示唆に富む
内容ではないが、とにかく最後までノンストップだ」


部下 :
「ノンストップ、というところがいいですね」


マネジャー :
「『アンストッパブル』という映画も文字通り、止まらないアクション映画。
『ウォンテッド』もだ」


部下 :
「さっそく今夜、ビデオ店で借りてみます」


マネジャー :
「映画を観たあとは確かに行動スピードが速くなるが、しばらくしてその影
響もなくなる」


部下 :
「ああ、そりゃそうですね」


マネジャー :
「そこで、たまにその映画のコマーシャル動画を視聴するんだ。ユーチュー
ブにたくさんある。その動画を1、2分観るだけで、映画のスピード感がよ
みがえってくる」


部下 :
「単純ですね、課長……」


マネジャー :
「君に言われたくはないよ」



……著書「空気で人を動かす」に書いたとおり、人は人に影響を受けます。
「感化」されるのです。

「同調性バイアス」にかかりやすい人は、すぐ「その気」になります。映画な
どの影響も受けやすいことでしょう。

私はマット・デイモン主演「ボーン」シリーズのDVDを3つ持っています。
DVDを何度も観ようとは思いませんが、

たまにユーチューブで予告編の動画を観て「行動スピード」を速めています。

また、私の「絶対達成LIVE2014」が9月に東名阪で開催されます。こ
のライブセミナーに来ていただいても、確実に行動スピードが速まるでしょう。

今回のテーマは「ゾーンに入る」です。

7月中旬ごろから、順次案内していく予定です。ご興味のある方はもうしばら
くお待ちください。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

5月末に出版した「空気で人を動かす」は1ヶ月超で6刷【3万部】となりま
した。ありがとうございます。

その出版記念講演が名古屋であり、その出席者の方から私の誕生日プレゼント
ということで「桃のゼリー」をいただきました。

「ご家族でお召し上がりください。いったん凍らせて半解凍ぐらいで食べるの
が絶品です。今なら冷凍庫から出し、20分ぐらい待ったらいいと思います」

このように助言いただきましたので、実際にそうしてみました。

その日のうちに冷凍庫に「桃のゼリー」を入れ、翌朝、食事を食べる前に家族
の分、外に出しました。

「ご飯を食べた後、ちょうど半解凍になってるかも」

と私が言ったので、子どもたちはその凍った「桃のゼリー」を眺めながら、い
つもより数倍のスピードで朝食を終えようとします。

「はやく食べたい!」

とせがむ小5の息子に、

「ちょっと待て。まだ12分しか経ってない。20分たつまで待つんだ」

と言い聞かせました。

小2の娘はいつも食べるのが遅く、マイペース。「桃のゼリー」は食べたいが、
はやく食べられないので、わーわー言ってます。

「騒げば騒ぐほど、食べるのが遅くなるぞ」

と言っても、言うことを聞きません。

そうしているうちに20分が経過。

私は仕事に行かなくてはならないので、玄関先へ移動。息子が「よし、食べる
ぞっ」と言って、半解凍になったゼリーにありつく姿が見えました。

玄関先で靴を履いていると、

「うんめェェェェ!!!!」

という息子の叫び声が聞こえてきます。娘がその声を聞いて「私も食べたい、
私も食べたい!」と叫んでいます。

それを聞いて妻が「それなら早くご飯を食べなさいよっ! いっつも喋ってば
かりで遅いんだから」と一喝しています。

私が玄関のドアに手をかけ、「いってきまーす」と言おうとすると、さらに息
子が叫びました。

「このゼリー、めちゃくちゃうめェェ! なんか桃の味がするっ!!」

と言うではありませんか。

「お母さん、桃の味がするっ! お母さん、桃の味がするっ!」と、興奮して
何度も言うのです。

私は玄関先で茫然と立ち尽くしました。

妻もあきれた顔をして、玄関で突っ立っている私の顔を見ています。

(当然だろう、桃のゼリーなんだから……)

と、妻と私も思ったのですが、なぜか「桃の味がする」ことに興奮する息子に、
そのことを指摘できないのでした。

桃の味がする「桃のゼリー」をプレゼントしてくださった方に、感謝・感謝で
す。