2014年6月26日

「根拠のない自信」を持つことに、恐れる必要はない【ノーセット】

● 今回のテクニック:【ノーセット(21)】

ノーセットとは、相手(部下)が必ず「ノー」と答える質問を繰り返し、「反
意」を促す手法。イエスセットとは正反対の手法だが、目的は同じ。コミュニ
ケーションをコントロールすることである。

冒頭に3、4回(2回程度では少ない)必ず相手が「ノー」と答える質問を繰
り返し、そのまま本題に入ると効果的と言われている。

こちらの意思とは正反対のことを言い、相手に否定してもらわなければ成功し
ないため、場数を踏んで経験を積み重ねることが非常に難しい。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「今年最も注目されていたイベントが終わったな。……プロ野球の交流戦」


部下 :
「プロ野球の交流戦? 確かに注目していた人はいたでしょうが、それ以上
にもっともっと注目されているスポーツイベントがあるじゃないですか」


マネジャー :
「ウィンブルドンか? 確か錦織選手が初戦を突破したらしいな」


部下 :
「違いますよ。サッカーワールドカップですよ」


マネジャー :
「ああ、ワールドカップか。そんなに注目されていたか?」


部下 :
「何を言ってるんですか……。連日、ニュース番組を独占していますよ」


マネジャー :
「確か日本はコスタリカに勝ったはずだが?」


部下 :
「勝ちましたよっ! しかしそれはワールドカップが始まる前の話です。フ
タをあけてみたら、コスタリカはグループリーグ突破して、日本は敗退して
しまいました」


マネジャー :
「確か本田選手が、グループリーグ突破なんて無理だって言ってたと思うけ
ど」


部下 :
「言ってませんよ! 本田に限って絶対に言わないでしょう。"優勝"する
って公言していたんですから」


マネジャー :
「優勝するって言いながら、1勝もできなかったなんて、カッコ悪いじゃな
いか」


部下 :
「あらっ……」


マネジャー :
「何だ?」


部下 :
「あららららら……。課長、い、いま、絶対に言っちゃいけないことを言い
ましたね? マジで言いましたね。日ごろからお世話になっているからとい
って、マジでそれ、いま言っちゃいけないことですよ。俺、マジでキレます
よ」


マネジャー :
「何なんだ……」


部下 :
「じゃあ、優勝はどうせ無理なので、せめてグループリーグ突破を目標にし
ますと言ったほうがカッコいいんですか?」


マネジャー :
「おいおい、そんなムキになるなよ」


部下 :
「ムキになりますよっ! さっきの課長の発言、いまの日本人の3人に1人
はキレると思いますよ。マジで」


マネジャー :
「本当に?」


部下 :
「営業アシスタントのAさん、本田選手の大ファンですよ。もしそんな発言
が耳に入ったら、職場の空気、とんでもないほど悪くなりますよ」


マネジャー :
「おおお」


部下 :
「チームに一人ぐらい、そういう人がいたっていいじゃないですか。失敗し
たときにバッシングされるのがイヤだからって、低い目標を設定する人のほ
うが、よっぽどカッコ悪いですよ」


マネジャー :
「そ、そうかな……」


部下 :
「そうですよ!」


マネジャー :
「実は、社長から来期の目標を昨年よりも20%アップすると言われて、
『そんなの無理。去年と同額にしてください』と言っているんだが」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「営業はサッカーと違うから、低い目標を言っても、カッコ悪くはないよ
な?」


部下 :
「いや、その……」


マネジャー :
「きっとそうだ。サッカーよりも、営業のほうが難しいんだから」


部下 :
「サッカーよりも営業のほうが難しい? そんなことないでしょう」


マネジャー :
「えっ!」


部下 :
「ワールドカップで戦うことを考えたら、営業活動なんて楽勝です」


マネジャー :
「楽勝?」


部下 :
「楽勝ですよっ!」


マネジャー :
「じゃあ」


部下 :
「社長に言ってください。目標が20%アップしても絶対達成してやるっ
て」


マネジャー :
「すごい気合だな……」


部下 :
「夢を与えた人がバッシングされる世の中なんて、絶対におかしいと思って
るだけです」


マネジャー :
「カッコいい」



……サッカーのことはわかりませんが、

営業活動においては、結果が出ない理由は意外と単純であったりします。

売れない理由は多くの場合、売っている人が、「売れない」と思っているから
です。

「この商品では売れない」「このお客様には売れない」「この時期には売れな
い」「この価格では売れない」……。

そう思っていると、その思いはお客様に伝わります。

特に日本人は「同調性バイアス」にかかりやすいため、お客様は営業の意識に
「感化」されるのです。

自信があっても結果が出ないときはありますが、自信のない人が結果を出すこ
とはほとんどありません。

■ 売れない最大の理由は、売っている人が「売れないと思っている」から
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140625-00036712/


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【編集後記】

サッカーが大好きな息子(11歳)は、心の底から日本の優勝を信じ、願って
いました。

日ごろの言動からもわかります。

「日本勝て~。ギリシャ勝て~」と、先週からずっと口ずさんでいたからです。
頭の中はそれしかない、というぐらいの状況だったようです。

(妻や担任の先生の証言から)

しかし……。

コロンビア戦の後、かなり落胆したようですが、すぐに

「来年はアジアカップかァ。アジアカップは優勝しなかん」

と言って、すぐに「気持ちの切り替え」終了。

その切り替えのスピード感に、妻や私もビックリ。

おそらくすぐさまアジアカップのスタメン予想など、サッカー雑誌を眺めなが
ら紙に書き出すなどし始めることでしょう。

あれだけ応援してたんだから、普通、もっと引きずるだろう、とこっちが心配
していたのですが、「気持ち切り替えスピード、ハンパねぇな」と思ってしま
いました。

息子に対して、日々いろいろ悩むことは多いですが、このままいけば、大人に
なっても悩みを抱えて内にこもることはなさそうなので、その点だけは安心し
ています。

というか、

それ以上に大切なことは、あまりないのかもしれませんね。

2014年6月23日

最も報酬を多くもらえる職種は何か?【アクノリッジメント】

● 今回のテクニック:【アクノリッジメント(13)】

アクノリッジメント(アクノリッジ)とは、相手に関心を寄せて承認し、その
ことを肯定的な言葉で伝えることである。

どのようなときも感謝の気持ちを忘れず、相手の可能性だけを見つめることに
より、行動の変革を促すことができるようになる。

承認することを目的とするぐらいに、承認を意識することが重要である。

承認が目的になってしまうと心が伴わない、と思われる方も多いだろうが、そ
れを気にしていたら何もできない。

「気持ちはあとからついてくる」

と考えるようにして、まずは「相手を承認する」という体験を積むことにフォ
ーカスして取り組むぐらいがちょうどよい。

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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「君はスゴイな。本当に見習いたい」


部下 :
「え? 部長、どうされたんですか?」


マネジャー :
「なんていうか、その……ポジティブというか、楽観的というか。とにかく
前向きじゃないか。その前向きさはスゴイよ」


部下 :
「部長、嫌味ですか」


マネジャー :
「嫌味なんかじゃない。今期の目標、達成しそうにないと判断すると、早い
段階であきらめた営業がたくさんいるのに、君はまったくそうじゃない」


部下 :
「実際に、ラクに目標を達成できたらいいんですが」


マネジャー :
「以前の会社でもそうだったのか? 確か以前はハウスメーカーの営業だっ
ただろ?」


部下 :
「ええ。まるで売れない営業でした」


マネジャー :
「まるで売れない営業、か……。それでも、最後まで、とにかくあきらめな
かったわけだ」


部下 :
「あきらめる、ですか?」


マネジャー :
「そう。全然売れないと、目標が達成できそうにないと思って、あきらめて
しまうこともあるじゃないか」


部下 :
「いえ」


マネジャー :
「え?」


部下 :
「あきらめません」


マネジャー :
「ええっと……」


部下 :
「どうして、あきらめるんですか」


マネジャー :
「……」


部下 :
「申し訳ありません。あきらめが悪いので、私は営業成績が悪かったんでし
ょうか。よくわからなくなってきました」


マネジャー :
「いや、悪い……。私が、悪かった」


部下 :
「今期の目標は7800万円です。現時点で6829万円。約1000万円
足りません。今月が期末で、あと1週間しかありませんが、それでも、まっ
たくあきらめていません」


マネジャー :
「うん……」


部下 :
「別に、いいですよね?」


マネジャー :
「も、もちろんだ」


部下 :
「ハウスメーカーで働いていたので製鉄関連のことはよくわかりませんが、
この1年、何とかやってこれたのは、営業という仕事に就かせてもらったか
らだと思っています」


マネジャー :
「君」


部下 :
「営業は、絶対に仕事がなくならない職種ですよね?」


マネジャー :
「……うん」


部下 :
「仕事の報酬は、仕事だ、と聞いたことがあります。仕事がなくなったら、
自分の存在価値がなくなってしまいます。営業部に配属させていただいて、
本当に恵まれていると思っています」


マネジャー :
「誰も、なり手がなかったんだが……」


部下 :
「え?」


マネジャー :
「いや」


部下 :
「とにかく、あきらめたら、それで仕事がなくなってしまいます。精神論と
かじゃなくって、営業なんですから、あきらめるなんて考えるはずもありま
せん」


マネジャー :
「やはり、君はスゴイな……」


部下 :
「あ、部長、待ってください。重要な電話が入ってきました。はい、はい…
…。ええ…………。ええ……。はい」


マネジャー :
「……」


部下 :
「…………はい……。え……! 970万円っ!? はい! ……ええ。え
え……」


マネジャー :
「……」


部下 :
「…………かしこまりました。……はい。明日の朝、すぐにお伺いいたしま
す。ありがとうございます!」


マネジャー :
「……どうした?」


部下 :
「受注しましたっ! 970万円の案件です。やりましたっ! 今期の目標、
達成ですっ」


マネジャー :
「え……」


部下 :
「やっぱりあきらめないでいると、いいことがありますね」


マネジャー :
「970万って……。それだと、まだ若干足りないだろう」


部下 :
「え? 私の目標じゃありません。Kさんの目標です。Kさんがあきらめか
けていたので、私がフォローしていたんです」


マネジャー :
「えっ」


部下 :
「私の目標は先ほど言ったように、まだ1千万円ほど足りません。あと1週
間、駆けずり回ります」


マネジャー :
「追い詰められているのに、すごく楽しそうだな、君は」


部下 :
「だって、仕事の報酬は仕事なんですよ。こんなに報酬もらっていいのかな、
なんて思ってしまいます」



……私の書籍「空気で人を動かす」で書いたとおり、「仕事の報酬は仕事」。

金銭的報酬で人を動かそうとすると、「場の空気」が悪くなります。

人は追い詰められると、ストレスから逃げるか、立ち向かうか、のどちらかを
選択します。

ストレスに立ち向かうと「ゾーン」に入ります。神経伝達物質「エンドルフィ
ン」が分泌することで、感覚が研ぎ澄まされ、恍惚感・多幸感を覚えるのです。

あきらめたら、その感覚を味わうことはできませんよね。


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【編集後記】

サッカーが大好きな息子(11歳)は、毎日のようにワールドカップの観戦ガ
イドを読んでいます。

「書き込み式スコアシート」というページがあり、毎日、各国の試合結果を書
き込んでいます。

主要チームのメンバーの名前、背番号、所属クラブもすべて覚えていて、かな
り詳しくなっています。

テレビを観ていた妻が「この人、誰?」と質問すると、

「ドイツのミュラー。バイエルンのフォワード。メチャクチャ点入れる」

「この人は?」

「クロアチアのモドリッチ。レアルの人。チャンピオンズリーグでも活躍して
た」

「コロンビアって強いの?」

「メチャクチャ強いよ。去年は世界ランキング3位だった。今は8位だけど
ね」

横で聞いていた私も「へー」と感心するぐらい、いろいろ知っている息子です。

昨日(6月22日(日))、妻がその息子に、

「どこの国が優勝すると思う?」

と質問したところ、息子はこう即答しました。

「日本」

それを聞いた妻は驚き、それを伝え聞いた私もビックリしました。

しかし、

驚いている私たち大人が、何か大事なものを「あきらめている」のかもしれな
いな、と思いました。

何かとても大きなものを「失っている」気がしてならないのです。

ちなみに、息子が「日本」と即答した理由は、こうです。

「本田選手が『優勝する』と言ったから」

2014年6月19日

なぜ「方眼ノート」をお勧めするのか?【ピグマリオン効果】

● 今回のテクニック:【ピグマリオン効果(4)】

ピグマリオン効果とは、人間は周囲から期待されれば期待されるほど成果を出
す傾向が強くなることである。

教育現場における心理的行動のひとつ。

反意語は「ゴーレム効果」。教育者が期待しないことによって学習者の成績が
ダウンすることを言う。

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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「君ね、会議中にパソコンを持ってくるのはやめたまえ」


部下 :
「あ、でも、私はパソコンでメモをとってるんですよ。決して会議中にメー
ルをチェックしたりとか、他の作業をしているわけではありません」


マネジャー :
「そんなことわかってる。そんな非常識なことをする従業員がいたら、会議
室から出てってもらうよ」


部下 :
「そりゃ、そうですね」


マネジャー :
「そうじゃなくて、パソコンでメモをとるのをやめろと言ってるんだ」


部下 :
「え、でも、パソコンのほうが、後で情報を整理するのに役立つんです」


マネジャー :
「なるほど。ちなみに、先ほどの会議で部長が言っていたことで、君がやら
なくてはならないことは何だ?」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「部長が、とても大事なことを言っていたはずだ。それは何だ?」


部下 :
「えーっと……。部長が言ったことはすべてパソコンでメモしていますので、
少しお待ちください」


マネジャー :
「ダメだ」


部下 :
「えっ!?」


マネジャー :
「パソコンを見ずに言え。君は今後、どう行動を変えるつもりだ?」


部下 :
「ええと……」


マネジャー :
「そのアイデアもないか? そりゃそうだろう。部長が言ったことはパソコ
ンのメモを見返さなくちゃいけないからだ」


部下 :
「そ、そうですね……」


マネジャー :
「君はメモを取る習慣がない。だからパソコンに頼るんだ。パソコンでメモ
を取っても、ただの情報入力をしているだけ。部長の話を聞きながら、自分
はどうすればいいか、会議中に考えていないだろう?」


部下 :
「はい……。考えていません」


マネジャー :
「パソコンでメモることが目的になっているからだ。キーボードをたたいて
いると、あたかも仕事をした気分になるが、それは大間違いだぞ」


部下 :
「す、すみません」


マネジャー :
「君は凄くマジメだ。だから部長も私もすごく期待している。だからこそ、
正しいやり方を覚えてくれ」


部下 :
「あ、はい」


マネジャー :
「部長が言ったことは、顧客戦略だ。顧客を3つに区分して、それぞれどの
ように攻めていくか解説していた」


部下 :
「ええっと……」


マネジャー :
「それさえ覚えていないのか」


部下 :
「おぼろげながら……」


マネジャー :
「そして私がその場ですぐにこう反論した。顧客の切り口を変えることで、
区分は3つではなく、4つになるでしょう、と」


部下 :
「あ! その課長の発言は覚えています」


マネジャー :
「このメモを見たまえ」


部下 :
「あ……!」


マネジャー :
「私が使っている方眼ノートだ。私は部長が顧客戦略の話をはじめたので、
いつも使っているフレームワークをここに書いて整理してみた。しかし、何
かが抜けていると思ったんだ」


部下 :
「わかりやすい……」


マネジャー :
「そして次のページだ。これが私が新しく書いたフレームワーク。これを見
れば、ココと、ココに漏れがあることがわかるだろう?」


部下 :
「これって……。あの会議中に書いたんですか。部長の話を聞きながら?」


マネジャー :
「当たり前だ」


部下 :
「おお……」


マネジャー :
「君も頭を整理するために、いくつもの思考フレームワークを準備しておき
たまえ。その都度フレームワークを書いて、論理的に正しいかどうかを判断
する習慣を身につけなさい」


部下 :
「わ、わかりました」


マネジャー :
「君は飲み込みがとてもはやい。5つほどフレームワークを知っているだけ
で、いろいろと応用がきく」


部下 :
「はい。……ところで」


マネジャー :
「なんだ?」


部下 :
「やっぱりノートは方眼紙タイプがいいんですか?」


マネジャー :
「当たり前だ。常識だろう」


部下 :
「常識ですか……」



……私の書籍「空気で人を動かす」は、1ヶ月も経過せず5刷「2万8000
部」となりました。これでもベストセラーの部類に入るのですが、

ほぼ同時期に出た、とんでもない大ベストセラーがあります。なんと2週間で
「12万部」を記録!

各書店で私の本を押しのけ、上位にランキングされてしまいました。残念です
が……良い本だから仕方がありません。

「方眼ノート」がなぜいいか、ということより、この書籍で紹介されている戦
略的フレームワークが凄く使えます。

セミナーでいつも配っている「ニーモシネ」も方眼紙タイプ。

方眼ノートをどのように3分割してでロジカルシンキングができるようになる、
のか? 「黄金の3分割」の頁は必読ですね。


■「頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761269987/mysterycon0c-22/ref=nosim

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【編集後記】

最近、研修先、コンサルティング先、特訓コースでのセッションでは、かなり
「キレ」ている私です。

「キレキレ」です。

「場の空気」を引き締めるのに、相当、厄介な存在になりつつあります。「不
燃人」の方々には、かなりの脅威となっているでしょう。

とにかく、中途半端な姿勢で研修やコンサルティングを受けている人には、か
なり強い態度で迫ります。

組織に新しい「空気」さえ醸成されれば、徐々に柔和になっていくのですが、
いつまでも「なあなあ」だと、そうはいきません。

いま、凄くありがたいのは、「空気で人を動かす」が出版され、経営者やマネ
ジャーだけでなく、

現場の人たちもこの本を読んでいることです。

マネジャーだけでなく部下たちも読むので、「自分たちは不燃人と見られてい
るのではないか?」「空気を悪くしているのは私のこと?」と、組織改革の布
石を打つことができます。

あの書籍自体が「言い訳データベース」になっている、ということなんでしょ
うね。

全社員に書籍を配布した、ある経営者の方から教えられました。

私の研修先もコンサルティング先は、当然、全員読んでもらいますから、「締
まった空気」になりやすいです。

そして実際に、横山という、このうえなく面倒な存在がいるわけですから、現
場の人たちは「抵抗してもムダ」とあきらめ、早々と現状維持バイアスをはず
してくれます。

私どもが「根負け」することは絶対にありませんので。

コンサルタントとして、とても大きな強みだと思っています。組織の風土、
チームの雰囲気をまるごと変えますから。

どんな素晴らしい方法論をお伝えしても、どんなに秀逸な仕組みを導入しても、
「場の空気」が悪い組織には効き目がありません。

2014年6月16日

営業が知るべき「お客様の2つの不思議な言葉」【スリーパー効果】

● 今回のテクニック:【スリーパー効果(3)】

スリーパー効果とは、たとえ説得力のない人からの情報であったとしても、時
間の経過とともに「信頼性のマイナス度合い」が風化し、

本来の情報自体の信頼性による説得効果が働きはじめること。

まだ若く、そして経験が少なく、世間からまだ若輩者と呼ばれる人であろうと、
正しい情報を伝え続ければ、いずれ報われる、とも言える。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「部長、今年の新人4人はなかなかいいですよ」


マネジャー :
「そうか。頼もしいな」


部下 :
「ええ。とても積極的で、指示待ちをするような新人は誰もいません」


マネジャー :
「自分で勝手に燃えている自燃人、他人から火をつけられると燃える可燃人、
なかなか燃えにくい不燃人の3種類で考えると、自燃人が多いということ
か」


部下 :
「ええ。4人のうち2人は確実に自燃人です。少なからず不燃人は一人もい
ないですね」


マネジャー :
「いろんな仕事を任せて成長させてくれ。成長の実感が、一番の報酬なんだ
から」


部下 :
「はい。ただ……」


マネジャー :
「なんだ?」


部下 :
「新人4人を見ていて、つくづく、他の若手の物足りなさが目立ってきまし
た」


マネジャー :
「他の若手?」


部下 :
「30歳前後ですね。特に生え抜きで入社して、5~10年たった連中が一
番まずいです。不燃人ばかりです」


マネジャー :
「一番、会社に貢献してもらわなくちゃいけない連中だろ。そいつらが不燃
人ばかり?」


部下 :
「全員とは言わないですが、チームワークを乱すほどのネガティブな発言を
するのが3、4人はいますね」


マネジャー :
「新人の4人には、近づけないようにしてくれ。そういう奴らに感化される
とマズイ」


部下 :
「そういう不燃人に限って、結果を出しますからね……」


マネジャー :
「あるある。スポーツの世界でもある。協調性がないのに結果を出している
と、新人たちに変な影響を与える。なおさら気を付けてくれ」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「ところで、B社との取引が決まった。月100万円規模の取引が始まると
思う」


部下 :
「B社? 聞いたこともありませんでしたが」


マネジャー :
「先週の金曜日に、ある会社の専務の紹介で訪問した。その場で決めてもら
ったよ」


部下 :
「……相変わらず、決めるときは決めますね」


マネジャー :
「B社の社長が『自燃客』だったからだ」


部下 :
「じ、じねんきゃく?」


マネジャー :
「そう。お客様にも3種類ある。『自燃客』『可燃客』『不燃客』だ。相手
が自燃客だと思ったら、隙を見せずに押して押して押しまくる」


部下 :
「……さ、す、が」


マネジャー :
「そうすれば、自燃客は必ずこう口にするだろう。『そこまで言うなら』
だ」


部下 :
「……なるほど」


マネジャー :
「自燃客に理屈で攻めてもダメだ。押すんだよ。スピード&パワープレイ
だ」


部下 :
「ほォ……」


マネジャー :
「しかし、自燃客は2割しかいない。可燃客は、じっくりと単純接触による
関係構築が不可欠だ」


部下 :
「それじゃあ、不燃客はどうすれば?」


マネジャー :
「不燃客は営業の言うことなどに耳を傾けない。自分自身で念入りに分析し、
欲しければ欲しいと自分で言ってくる。不燃客にあまり執着しないことだ」


部下 :
「新人たちには、どのように指導したらいいでしょうか」


マネジャー :
「『同調性バイアス』のレベルによってお客様のタイプを区別することは、
まだ難しい。」


部下 :
「ええ」


マネジャー :
「お客様の大多数は可燃客だ。新人であろうと、正しい情報を伝え続ければ、
いずれ同調性バイアスがかかってくる。つまり報われてくるものだ」


部下 :
「やはり、継続してお客様に接触することですね」


マネジャー :
「そう。結局、それに尽きる」



……「2・6・2の法則」のお客様バージョンをはじめて紹介しました。

組織論と同様に「同調性バイアス」のレベルが基準です。「自燃客」「可燃
客」「不燃客」それぞれに対する攻め方の基本も書いています。

今日のコラムは力作です。日曜日のコラムと併せてご確認ください!


■ お客様が言う2つの「不思議な言葉」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140616-00036419/

■お客様が気持ちよく騙される「3つのパターン」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140615-00036388/

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【編集後記】

私は昨日(6月15日)、朝から知的障がい者のボランティア活動でした。み
んなで調理実習。「ピザ」「パンナコッタ」「マカロニサラダ」を作りました。

サッカー日本代表の初戦だったので、試合経過が気になって仕方がなかったの
ですが、

そのような思考ノイズが入り込まないほど、忙しく動き回っていました。

それにしても日本代表は初戦を飾れず、残念でしたね。私としては、1次リー
グを突破してくれないとテレビ観戦ができないので、何としても決勝リーグに
勝ち上がってもらいたいと思っています。

ちなみに、試合の後、多くの人からこのようなメッセージをいただきました。

「ドログバが入ってから、いきなりチームの空気が変わった。やはり、『空気
で人を動かす』ですね!」

「横山さんの書籍を思い出しました。ドログバが流れを変えたとしか言いよう
がない」

「この敗戦で日本チームに悪い空気が広がらないようにしてほしい」

……など等。

以前、ドログバ選手の特集をテレビで観ました。コートジボアールでは大変な
英雄なんですね。

サッカー選手をはるかに超越した存在で、生きる「神」とまで言われているわ
けですから、チームの空気を一瞬にして変えてしまい、試合の流れをコント
ロールすることも簡単にできるのでしょうね。

私がいたグアテマラという国にも、サッカー選手ではないのですが、盲目的に
崇拝される人物はいました。

ワールドカップという大会は、個人の技術や組織力といったスポーツ特有の要
素のみならず、政治、民族、宗教……あらゆる要素が混ざり合って存在してい
る気がします。

グアテマラに赴任している最中、グアテマラ人たちと「アメリカ大会」を観戦
した私は、毎日そら恐ろしいものを感じていました。

全国民、総「自燃人」化しますから。

2014年6月12日

説得の「余熱」効果を利用する【スリリングジョーク】

● 今回のテクニック:【スリリングジョーク(9)】

スリリングジョークとは、相手に対して、「もし●●しなければ、■■になる
ぞ」という脅しをしたあとに、すぐに「それは冗談だ」と撤回するコミュニケ
ーション技術。

相手の心象を悪くする可能性が高く、極めてリスキー。相手と強烈なラポール
が構築できていない限り、活用するのはやめたほうがよい。3年に1度ぐらい
使ってもいい、インパクトのあるリーディング技術である。

もちろん、乱用すればご自身の信用は著しく低下する。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「今度のイベントの集客が芳しくありません。企画部にハッパをかけている
のですが、なかなか……」


マネジャー :
「現時点でどれぐらいだ?」


部下 :
「70人ほどです。目標が200人ですので、全然足りません」


マネジャー :
「営業は全員チラシを配ってるんだろ」


部下 :
「はい。7人の営業が600社に訪問しています。2か月で1143枚、配
布しました。そのうち478人とは直接話をしています」


マネジャー :
「ただチラシを放るのと、直接話をするのとでは全然効果が違う」


部下 :
「まったくそうだと思います。コンバージョン率を見ると、その478人の
うち51人が事前申し込みをされています」


マネジャー :
「51人? 現在70人の申し込みなんだろう? 企画部は何をしているん
だ」


部下 :
「メルマガを出しています。あと、ホームページの刷新とか。ブログの更新
です」


マネジャー :
「メルマガの読者は何人だ? そしてクリック測定は?」


部下 :
「読者は確か460人じゃなかったかと……。あとクリック測定などしてい
ないようです。ホームページのアクセス解析もしていないようで、どれぐら
い反応があったかわかりません」


マネジャー :
「それでは、仮説検証しようがない」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「ちなみに、社長と私とで銀行をまわって申し込みをいただいた方が6人い
ただろう。それも加えておいてくれ」


部下 :
「あ、その6人は入っています」


マネジャー :
「入ってる? じゃあそれで57人になるじゃないか」


部下 :
「ええ、まァ……。しかも、私たちが面と向かって説明をしていない企業か
らもファックスで数人の申し込みが来ています。それが確か4人だったか
と」


マネジャー :
「それで61人。つまり、企画部が主導してやっているはずのイベントなの
に、集客はほとんどやっていない、ということになるな」


部下 :
「どんなアプローチをすれば、どれぐらいのリターンが返ってくるのか、仮
説を立てられないのだと思います」


マネジャー :
「企画部の連中は『手段を目的化』しているな」


部下 :
「どうしましょうか」


マネジャー :
「企画部6人に、全員チラシを持たせ、あと5日間で1000枚、配布させ
ろ。営業部は既存のお客様500社の対応をしながらも集客のために汗をか
いてるんだ」


部下 :
「そうはいっても、なかなか言うことを聞かないんですよ」


マネジャー :
「5日間で1000枚配布できなかったら、企画部は解体だ」


部下 :
「え……!」


マネジャー :
「当たり前だ。朝から晩まで会議ばっかりやって、どこの部署よりも残業が
多い。にもかかわらず、手段を目的化しているなんてあり得ない」


部下 :
「……」


マネジャー :
「今夜、社長と飲むことになってるから、言っておく」


部下 :
「……ほ、本気ですか」


マネジャー :
「冗談だよ」


部下 :
「……えっ!」


マネジャー :
「最後に、忘れず伝えてくれ『冗談だ』と」


部下 :
「たぶん……冗談には、聞こえないと思いますが……」


マネジャー :
「それが、説得の余熱効果だ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「私が本気で企画部を潰すと思ったか?」


部下 :
「思いますよ……。だって昨年、業務推進室を解体したじゃないですか」



……マーケティングプランを考えるとき、「どんなアプローチをどれぐらいの
量」するのかという数値目標のみならず、

それによってどのような「期待リターン」が戻ってくるかをセットで考えなけ
ればなりません。

ゴールから逆算したマーケティング戦略を立てないのであれば、「手段を目的
化している」と言われても仕方がないですよね。


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【編集後記】

定期的にお墓参りができる余裕を持ちたいと思っています。

時間的にも、精神的にも。

目先のことに追われる毎日はイヤですね。

2014年6月9日

「具体化ストレス」に打ち勝とう!【時間的フレーミング】

● 今回のテクニック:【時間的フレーミング(14)】

時間的フレーミング(テンポラルフレーミング)とは、時間の単位を変えて表
現することにより、敢えて物事の捉え方を変えさせることをいう。

大きな期間で表現するよりも、小さな時間の単位で伝えたほうが、より具体的
で身近に感じられるため説得効果が高まる。

会議の終了間際にコミットメントをとる場合に使うと、非常に有効である。誰
でも簡単に使えるテクニックであり、セルフコーチングにも役立つ。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「寝不足です。暑いですからね……」


マネジャー :
「昨夜も暑かったな。寝苦しい夜だった」


部下 :
「子どもが暑くて眠れないって言うんですよ。5月末からもうクーラーをか
けて寝ているんですけど、本当にいいのかなと思って」


マネジャー :
「それはマズイんじゃないかな」


部下 :
「やっぱりそうですか」


マネジャー :
「君の子どもは確か、まだ5歳と7歳だろ。その年ごろからクーラーを使っ
ていたら発汗作用が弱まり、代謝が悪くなるよ。体温の調整機能が落ちるん
じゃないか」


部下 :
「マジですか……」


マネジャー :
「ストレスに対する免疫力が落ちると、ちょっとしたことでもストレスを感
じるようになってしまうから、ほどほどにしたほうがいいんじゃないか」


部下 :
「そうですね、気を付けます」


マネジャー :
「ところで、君の1億2000万円の目標を達成するのに、現在の見通しは
どうなってる?」


部下 :
「このままだと、おおよそ1億円で着地しそうです」


マネジャー :
「2000万円のギャップか」


部下 :
「20社の見込み客がありますので、そこに徹底してアプローチをかけてい
きます」


マネジャー :
「もっと理論的に考えようか」


部下 :
「え」


マネジャー :
「もっと具体化してくれないと、君のプランを正しく評価できない。20社
の見込み客から、どれぐらいの予材が生み出されるんだ」


部下 :
「だいたい月に50万円程度の売上が計上できる予材を考えています。来年
の3月が期末ですから、あと9ヶ月。20社すべてから受注できれば、月に
1000万円。これに9ヶ月をかければ9000万円です」


マネジャー :
「その9000万円のうち2000万円をとれたらいい、と考えているの
か」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「いくらなんでも考えが浅すぎる。その20社のうち、来月から9ヶ月間、
売上を見込むことができる会社は何社あるんだ?」


部下 :
「いや、まだ来月からは無理です。これからアプローチをかけていこうと思
っているので」


マネジャー :
「最初のアプローチから受注にいたるまでの平均接触回数は何回だ?」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「目安でいいから、考えてみろ」


部下 :
「うーん……。4、5回は接触しないと当社の製品を理解してもらえるとは
思えません」


マネジャー :
「だったら最短で8月ぐらいから売上が計上されることになるはずだ」


部下 :
「具体的には7月から見込み客へのアプローチをはじめようと思ってますの
で、はやくても9月、いや……10月からになるかと思います」


マネジャー :
「10月から、20社のうち何社から毎月50万円計上されるんだ」


部下 :
「そ、それはわかりませんが……」


マネジャー :
「仮説だ。仮説を立ててみろ」


部下 :
「……そうですね、せいぜい、2社ぐらいかと思います」


マネジャー :
「毎月、2社、新たに50万円計上されていく、と考えればいいのか?」


部下 :
「そ、そんなにうまくいくとは思えません。私は既存のお客様も34社持っ
ていますので、そちらの対応もありますから」


マネジャー :
「しかし既存のお客様をケアしても、2000万のギャップは埋まらないん
だろう?」


部下 :
「はい……」


マネジャー :
「もしも10月から毎月2社、月額50万円の売上がたつようになったら、
3月までにどれぐらいのギャップが埋まるんだ?」


部下 :
「ええっと……」


マネジャー :
「それぐらい、自分で計算しておけよ」


部下 :
「す、すみません。10月からの2社で600万円。11月からの2社で5
00万円。12月からの2社で400万円。1月からの2社で300万円。
2月からの2社で200万円。3月からの2社の売上は来期にまわされる気
がしますのでナシ……」


マネジャー :
「それなら合計、2000万円。ピッタリじゃないか」


部下 :
「いやいや……20社のうち、本当に見込みがあるのは半分ぐらいですので、
とてもこんな理想の結果になるとは思えません」


マネジャー :
「じゃあ、どうするんだ」


部下 :
「ちょ、ちょっと待ってください。もう一度プランを考え直します。そして、
すぐに修正します」


マネジャー :
「我が社はこれまでずっと、強い商品に恵まれてきた。つまりクーラーの中
で気持ちよく寝ていたんだ。しかし外部環境が変わってそうもいかなくなっ
た」


部下 :
「まったく、そうですね……。免疫力が落ちてるんでしょう」


マネジャー :
「物事を具体的にするには少しストレスがかかる。しかしそのストレスに打
ち勝っていかないと、再現性のある結果は出てこないぞ」



……これまで商品力に頼って仕事をしていた営業が、従来の考え方で予材を積
み上げようとしても、目標は達成しませんね。

予材をどのように積上げればいいのか? そしてどこから予材を見つけてくる
のか?

ゴールから逆算してマーケティング戦略を考えるセミナーが7月に開催されま
す。お見逃しなく!


■ 第4回 営業マーケティングセミナー
「予材管理にもとづく営業・マーケティング戦略の立て方」
【大阪 7/10】http://attax-sales.jp/seminar/1745.html
【名古屋 7/17】http://attax-sales.jp/seminar/1743.html
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【編集後記】

「空気で人を動かす」の書籍キャンペーンが明日(6月10日)で終了します。

以前お知らせしたとおり、書籍を購入されたすべての方は特典がもらえます。
https://i-magazine.jp/bm/p/aa/fw.php?i=attaxsales001&c=1&n=__no__

明日は最終日ですが、告知しないでおこうと思います。(くどすぎるので)

合計1時間を超える動画を3本、無料でプレゼントされますので、書籍を購入
された方はぜひ!

どうぞよろしくお願いいたします。

2014年6月6日

「ニーズ―購買マトリックス」とは?【スノッブ効果】

● 今回のテクニック:【スノッブ効果(11)】

スノッブ効果とは、他者と同調したくないという心理作用が働き、敢えて他人
が所有しないものを欲しがったり、他人とは別の行動をしたりすること。

もともとは、誰もが簡単に入手できるようになると需要が減る消費現象のこと
を指している。

反対語はバンドワゴン効果。

部下とのコミュニケーションに応用するのであれば、プライドが高く、協調性
の低い相手に使うと効果が望める。ノーセットなどと組み合わせてもよい。

(協調性の高い相手にはバンドワゴン効果を使うことをお勧めする)


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「なんだか、景気がいいのか悪いのかわかりませんね」


マネジャー :
「どうした?」


部下 :
「関東の店舗売上が軒並みダウンしています。関西は好調なのに、どうして
かなと思いまして。他の地域も悪くありません」


マネジャー :
「君はどう分析しているんだ?」


部下 :
「それがわからないんです。店舗で取り扱っている商品は、全国どこも変わ
りません。スタッフもマニュアル通りに動いています。内装も同じ。立地も
ほとんど変わり映えしません」


マネジャー :
「なるほど」


部下 :
「いろいろと要因分析しているのですが、全国的に関東の地域だけが落ちて
いるのが解せません」


マネジャー :
「ほう」


部下 :
「いろいろと数字で分析しているのですが、他に何が足りないのか……」


マネジャー :
「ところで、君はワールドカップを観るつもりか?」


部下 :
「ワールドカップ? ラグビーのですか?」


マネジャー :
「……?」


部下 :
「2019年にラグビーのワールドカップが日本で開催されますよね。歴史
的なことです。そのことですよね?」


マネジャー :
「……」


部下 :
「……」


マネジャー :
「君とこれ以上、話を続けていいかどうか悩んでいる……」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「私が過去ラグビーの選手をしていたというなら、そういう発言もありだろ
う。しかしこの時期に『ワールドカップ』と言ったらサッカーのワールドカ
ップに決まっている」


部下 :
「そうですか。サッカーの、と言ってもらえなければわからないと思います
が」


マネジャー :
「……」


部下 :
「あの……」


マネジャー :
「もう少し素直になれ」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「君は同調性が低すぎる。ミーハーじゃないことを批判するつもりはないが、
マーケティング分析をする際、人に共感する力があるかどうかは極めて重要
なポイントだ」


部下 :
「う……」


マネジャー :
「君は全国のお店をまわったな?」


部下 :
「はい。26店舗、全部に回りました」


マネジャー :
「現地現物が大事だ。数字だけを見ていてもわからないことが、現場に足を
運ぶことで明らかになることがある」


部下 :
「はい。わかってます」


マネジャー :
「関東の店舗の売上が落ちているのは、『財布のヒモ』が堅くなる空気が漂
っているからだ」


部下 :
「えっ!」


マネジャー :
「そのことに気付かなかったようだな。店の内装やスタッフの動きをチェッ
クすることはあっても、その店に漂う空気までは意識がいかなかったよう
だ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「関東のエリアマネジャーが、かなり理不尽な指導をしているとわかった。
その影響で、店舗スタッフたちが思考停止になっている」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「スタッフがマニュアル以上の動きをしない。自発的に動こうとしないんだ。
それに気付かなかっただろう?」


部下 :
「あ」


マネジャー :
「君には共感する力が足りないからだよ」


部下 :
「どうすれば……」


マネジャー :
「もっとミーハーになりたまえ」



……「財布のヒモ」が緩くなる空気、硬くなる空気があります。

そのことをお客様の「ニーズ―購買マトリックス」を使って解説しました。


■ ついつい「財布のヒモ」が緩むのはどんなときか?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140606-00036077/

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【編集後記】

サッカーのワールドカップがもうすぐ始まります。

南アフリカ大会の後から、息子と一緒にずーっとサッカー日本代表の試合に注
目してきた私としては、とても楽しみです。

何としても「1次リーグ」は突破してもらいたいですね。

私は1次リーグの3戦すべて観ることができません。コートジボワール戦は日
曜日の午前中に試合があるのですが、私は知的障がい者のボランティア活動が
あるのです。

息子には、家でひとりで観てもらおうと思います。

ボランティアは毎月あるけど、ワールドカップは4年に1度……。しかも息子
と一緒にテレビ観戦できるなんて、これから何度訪れるかわからない……

といった「思考ノイズ」が入るときもあります。

しかし、

それはそれ。これはこれ。

ノイズカットしてボランティアを楽しんできます。決勝トーナメントに進んだ
日本代表を、息子とテレビ観戦できたらと思っています。

2014年6月5日

これが『残業ゼロ』の実践記録だ。

私のコラムの中で、口コミで広まったコラムは多数ありますが、昨年末(12月31日)に書いた、


「『自爆営業』の報道に、営業コンサルタントが物申す!」


は、当時の世相を反映していたせいか、ものすごい勢いで拡散されました。


そのコラムと同レベルの拡散をしているのが、先日アップした「残業代ゼロ法
案」に関わるコラムです。


■「残業代ゼロ法案」を真剣に考えるためには1ヶ月以上サラリーマンをすべ
きである
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140601-00035900/


政府が産業競争力会議にて「残業代ゼロ法案」(ホワイトカラー・エグゼンプ
ション)を議論している最中に出たコラムだったからでしょう。爆発的なバイ
ラル効果を発揮しました。


このコラムにも書いたとおり、残業を削減したければ「強行策」しかありませ
ん。そして、


こういった策を実践して大成功をおさめた企業があり、話題となっていますの
で、ぜひ本メルマガにて紹介させてください。


●全員6時半退社 商社スギモト、創業以来47年の黒字を支える「ノー残
業」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140525-00000500-san-bus_all


スギモト様は経営トップから、中間管理職の皆さんまで、当社のセミナーに何
度も足を運んでくださる企業です。


そういった企業が実績を出され、こんな大きな成果を生み出しているわけです
から是非とも紹介したいと考えました。


長時間労働に疲弊する社員が多く、離職の原因の一つにもなっていた。規模の
大小を問わず「人」が最大の財産とされる商社で顧客の満足度をあげるには、
従業員の満足度をあげなければならない。杉本社長はこう考えたのだ。「社員
が疲弊したら会社は続かない」


……という文章が心に響きますね。


杉本社長は大変お忙しい方ですので、なかなか連絡がつきませんでしたが、何
とか了承を得てメルマガで紹介させていただきました。


「残業は文化」。理屈ではなかなか変革を及ぼすことはできません。本気で改
革するには、このように、組織のリーダーの強い信念と覚悟が必要ですね。



以上

2014年6月2日

お客様にエラそうにされなくする技術【刺激馴化】

● 今回のテクニック:【刺激馴化(9)】

刺激馴化とは、刺激にさらされつづけるとその刺激に順応してしまい、徐々に
特定の反応を示さなくなる現象をいう。

どんなに嫌な刺激も、馴れることで回避されていく傾向にある。

たとえば、最初は気が進まない事柄であったりしても、無理やりにでもスター
トして回数を重ねてしまえば、自然と体が慣れてしまって嫌な気分にならなく
なったり。(たとえば早起き。ジョギングなど)

たとえば、最初は怖い人だなと思い込み、できれば会わないままにしておきた
いと考えていた人とも、面談回数を重ねていくことによって、それほど気にな
らなくなったりすることがある。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「君はどうして、そうなんだ?」


部下 :
「すみません」


マネジャー :
「見積りは350万円で出せと言っただろう? どうして290万円の見積
もりを作ったんだ?」


部下 :
「お、お客様にそう言われて……」


マネジャー :
「お客様に言われたから値引きをしたのか? 290万円だったら、まるで
採算が取れない」


部下 :
「し、しかし、これまでの関係上……値引き要請を断ったら仕事はいただけ
ません」


マネジャー :
「そんなことがあるか。前の担当のMさんは、そのお客様と価格交渉をした
ことがないんだぞ」


部下 :
「その時代とは違います。お客様の置かれている環境の変化があったもので
すから……」


マネジャー :
「自分のせいではない、ということか? じゃあたとえMさんであっても、
値引きをしないと仕事はとれないと言いたいのか?」


部下 :
「た、たぶん……。そうだと思います」


マネジャー :
「本当か? うーん、今度からは絶対にダメだぞ。こんなこと部長にどう説
明したらいいかわからん」


部下 :
「あ、あの……」


マネジャー :
「どうした?」


部下 :
「実は、その……」


マネジャー :
「何だ?」


部下 :
「あの……。さらに値引きをしてくれと、お客様から言われているんです」


マネジャー :
「……」


部下 :
「……」


マネジャー :
「……はァ?」


部下 :
「……す、すみません」


マネジャー :
「何を言ってるんだ、君は?」


部下 :
「も、申し訳ありません……。し、しかし、先方の本部長を説得するにはさ
らに30万円を落とし、260万円ぐらいじゃないと意思決定できないとい
う話になっていて……」


マネジャー :
「ダメだ、ダメだ」


部下 :
「ええっ! し、しかし、向こうの要望を飲まないと、今回の仕事は……」


マネジャー :
「これ以上の値引きはいっさい応じない」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「たとえ、それで破断になってもかまわない」


部下 :
「そんな」


マネジャー :
「君がどうしてそんなに焦っているかわかる。そのお客様からの仕事がとれ
ないと、今期どころか来期以降の目標も達成できなくなるからだ」


部下 :
「そ、そうです……」


マネジャー :
「余裕がない人は顔に出る。表情を見ていればわかる。君の態度や話し方を
見ていると、相手はつけあがってくるだろう」


部下 :
「は……は、い」


マネジャー :
「『刺激馴化』だ。誰だって最初から価格交渉はイヤなもの。しかし営業が
抵抗を見せないと、お客様はその『刺激』に慣れてくる。もっと値引きして
もらえるかもしれないと、つけあがってくるんだよ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「いったん値引きに応じたら、相手はその刺激に慣れてくる」


部下 :
「それじゃあ、どうすればいいんですか……」


マネジャー :
「だから、普段から予材をたくさん積み上げておけと言ってるんだ。予材が
ないから、そのように余裕がなくなるんだ」


部下 :
「あああ」


マネジャー :
「君から『売れない空気』が漂っている。お客様は、その空気に感化されて、
君に値引き交渉を仕掛けてくるんだ」



……「売れない営業」は、「売れない空気」をまき散らしています。「売れる
営業」は「売れる空気」を纏っているのです。

それでは、結果を出してもいない営業が「売れる空気」を身に纏うためにはど
うすればいいのでしょうか?

そのことをコラムに書きました。かなりの力作となりました。ぜひお読みくだ
さい。


■「空気」でお客様を買う気にさせるテクニック
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140602-00035929/

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【編集後記】

先日、ある育児の専門家から言われたことが、すごく頭に残っています。

それは、「空気で人を動かす」に書かれていることが、そのまま育児にも使え
る、という話です。

「君はどうしたいんだ?」「結局、お前がどうしたいかだよね?」「じゃあど
うすればうまくいくと思った?」と子どもに質問ばかりしていても良くない。

人生経験の少ない子どもに正しい「答え」はなく、質問スキルが乏しいのに質
問ばかりしているとかえって混乱させ、悩みを深めて無限ループに入っていく
危険性がある。だから「コーチング」よりも「ティーチング」。

親が繰り返し繰り返し、諦めることなく「ティーチング」する姿勢が必要だと
いう話でした。

その方は「過剰承認」も、子どもをダメにすると言われていました。ストレス
に強くなるために、子どものころから「慢性ストレス」の耐性が落ちないよう
に正しいストレスをかけ、正しい承認をすべきだとのこと。

私は「部下育成」と「育児」は別物だと思っていて、

今回の書籍に書いたことは、家庭教育に使えないと思っていたのですが、意外
とそうでもないようです。

確かに「空気で人を動かす」に書いたとおり「金銭的報酬」で子どもを釣るのは良くないですね。やり過ぎると「刺激馴化」を引き起こします。

何か特典がないと宿題をしない、褒められないとお手伝いをしない、という風
ではなく、

そうすることが「当たり前」だという空気を家庭の中で作り上げることができ
れば、

みんな自然と相手をおもんばかって動き出すでしょうね。

日ごろからの挨拶、声かけ――存在欲求の承認(無関心の裏返し)を続けて、
良い空気を作る下地を築き上げておきます。

そして家庭における最低限のルールは守ることが必要ですね。

「息抜き」も大事ですが、

家にいるときも「なあなあ」ではいけません。使ったものを出しっぱなしにし
ておくとか、お菓子を食べながら寝転がってテレビを観るとか、子どもの話を
聞かずにスマホばかり眺めているとか……子どもには真似して欲しくないこと
を親がしていてはいけませんね。

家庭に「締まった空気」が蔓延していなくてもいいですが、「親しき仲にも礼
儀あり」という言葉はいつも頭に入れておきたいと思っています。


●「空気で人を動かす」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894516195/mysterycon0c-22/ref=nosim